福本勤先生から以下メールを頂きました。許可を得て掲載させて頂きます。感謝:
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差出人: 福本勤
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差出人: 福本勤
件名: ●被災地での発電焼却処理。●児玉教授の 「641℃で焼却」は法令違反、「Csは641℃以上で気化」は間違い では?
日時: 2012年2月20日 14:55:35:JST
セシウム137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理について(16)
東大児玉龍彦教授の 「汚染木・葉を641~800℃で焼却」は法令違反、 「セシウムは641℃以上で気化」は 間違い では?
正しくは「641℃では ダイオキシン類が多量生成し セシウムは気化しない」では?
汚染瓦礫や森林間伐材を 被災地で発電焼却処理すれば、政府が 推進しようとしてきた広域処理の際のように、多大の資源・エネルギー、費用を消費し、CO2を発生しながら、遥々受け入れ先に運ぶ必要はなく、①被災地雇用、②補助金受取り(➞被災地潤い)、③電力補給、④PREC(≡資源・エネルギー、環境の保全・保護[CO2発生量少]、コスト少)、⑤受入れ先住民の汚染への不安解消 の5つのメリットがあること から、僕は昨年4月からの、「被災地支援」と称しての政府の「広域処理」方針が不可解で、被災地での発電焼却処理が 望ましいと 昨春来 考え 提言してきました。甲斐あって福島県川内村やその他被災地で 発電焼却処理計画が徐々に進んできています。
●福島県放射性物質汚染地域の7割を占める森林の除染に関する東大児玉龍彦教授の提案(関西テレビ2012.2.15放送)と 同案への筆者コメント●
福島第一原発事故によって 県内の各地には 多くの放射性物質が降り注ぎ、今その除去、除染活動が 進められています。
森林の汚染問題は深刻です。児玉龍彦教授は汚染された森林を有効活用する方法を提案しています。
児玉教授「グリーンエネルギーの一つの大きな基礎にしていくことが除染作業の中で物凄く大事です。」
先ず、市街地や水源から離れた場所で森林を切り開き放射性廃棄物の保管場所を造ります。その傍に放射性セシウムを回収する焼却処分場とバイオマス発電所を造ることを 児玉先生は提案しています(ここまで(及びバグフィルター以後)は筆者の昨春来の提案と殆ど同じ)。
ところが、次いで、「これは641℃以上で気化するセシウムの特性を利用したものです。汚染された木や土壌を(燃焼室で)641℃以上で燃焼させると、木等に付着していたセシウムが 気化※1)します。」とのことなのですが、これは問題です。
児玉先生仰せの“付着していたセシウム”は、CsClのような微粒子状化合物になっていて(多くの化合物の中CsClになっている可能性大)、その沸点(気化温度)は1250℃で、641℃では気化しないから問題な訳です。尤も、1気圧で水の温度が沸点の100℃未満~室温でも多少は蒸発(気化)するように、641℃でもCsClが極僅少ながら気化することは考えられますが。
※1)気化:物質が液相(又は固相)から気相に転移する現象。蒸発(又は昇華)と沸騰の場合があります。
また、800℃未満の641℃での燃焼(焼却)は 法令違反ですし、法令違反でないと仮にしても、641℃では ダイオキシン類(DXNs)が分解せず 多く生成、排出します。
放送によると、気化したセシウム(正しくは微粒子状セシウム)を含む排気(正しくは燃焼ガス)を200℃程度にまで下げて冷却し、バグフィルターに通すことで、大半のセシウムを回収することが出来ます(正しくは100%近くのセシウムを除去することが出来ます)。上記( )内は筆者注。【セシウムの殆ど100%近くを除去(回収)できることは、「セシウム 137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理について(12)~(15)」などで、理論、実証の両面から 詳しく論述しています。】
写真3は、「焼却炉燃焼室⇒冷却塔⇒バグフィルター⇒放射性セシウム付着灰⇒放射性廃棄物保管場所の流れ図」の写真です。 |
写真4は、児玉龍彦教授と青山 繁晴独立総合研究所社長の写真です。 |
残った灰を保管場所で長期間保存。更に、発電に使えるエネルギーはバイオマス型の発電(バイオマス発電)として利用し、切り開いた土地に新たに植林することを繰り返していくというものです(可燃がれきの焼却発電も、概して バイオマス発電)。
「一遍に山の木を切るのは難しいので、30年から何年かかけて一部づつ切っていってはそれを新しく植え替えていくという恰好での山林除染をエネルギーと合わせてやるみたいなモデル事業が始められないかというのが すごく大事だと思っています(児玉教授の発言のまま)。」
「一遍に山の木を切るのは難しいので、30年から何年かかけて一部づつ切っていってはそれを新しく植え替えていくという恰好での山林除染をエネルギーと合わせてやるみたいなモデル事業が始められないかというのが すごく大事だと思っています(児玉教授の発言のまま)。」
この関西テレビ放送に出演視聴していた青山 繁晴独立総合研究所社長は、上記の間違いと法令違反に気付かず、それどころか「児玉龍彦教授のプランニングは素晴らしい。私は間もなくフランスに行ってフランスの原子力庁と山林の除染に焦点を絞って議論してきます。児玉さんのアイデイアをフランス側にも問題提起したいと思います。」と言い、更には、「バイオマス発電をデンマークで見た時の一番の印象は 兎に角 すごい高温で燃焼しないと、CO2が かなり出るんですね※2)。従って、今までのバイオマス発電に加えて日本の新たな技術力を高めていってCO2の量が少ないバイオマス発電を福島で出来たら世界に対して新しいメッセージになると思います。(発言のまま)」と言っていました。 このCO2に関する発言、解説も 間違いです。 ※2)筆者注:CO2が減りもしないのに高温燃焼➔エネルギーの無駄使い。
児玉教授の焼却は641℃のような低温での焼却ですが、「すごい高温で燃焼しないと、CO2が かなり出るんですね。」などと、高温で燃焼するとCO2の発生量が少なくなるような 誤ったことを青山先生は 主張しています。
僕の思い違いであれば その旨 乃至 訳を お知らせ戴ければ幸甚です。
以上ご参考まで。
2011年2月20日 大安 福 本 勤
(財)環境技術実践機構 理事
日本サステナ㈱取締役 環境保全工学研究所 代表
中国 清華大学 客員教授
京大工博 福 本 勤
環境保全工学研究所 〒658-0001神戸市東灘区
森北町4-15-16 TEL:078-411-9606
差出人: 福本勤
日時: 2012年2月21日 12:43:20:JST
件名: ①質問への回答。②写真を省き容量を減らして送信。Re: ●被災地での発電焼却処理。●児玉教授の 「641℃で焼却」は法令違反、 「Csは641℃以上で気化」は間違い では?
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3.先便をお読み戴いた方からの質問への回答:
先便記載(下にも再度掲載)の「児玉先生仰せの“付着していたセシウム”は、CsClのような微粒子状化合物になっていて(多くの化合物の中CsClになっている可能性大)、その沸点(気化温度)は1250℃で、641℃では(殆ど)気化しないから問題な訳です。尤も、1気圧下で水の温度が沸点の100℃未満~室温でも多少は蒸発(気化)するように、641℃でもCsClが極僅少ながら気化することは考えられますが。」は、
Wordを3ページ内に収める為、少し簡略して書いたのですが、少しだけ加筆しておきます
上記の先便記載の拙文では、セシウムCsの化合物の一例として、燃焼ガス中に存在する可能性の大きい塩化セシウムCsClを取り上げたのですが、CsClの融点(1気圧のもとで固体が液体になる時の温度)は645℃、沸点(気化温度)は1250℃です。
従って1気圧下、641℃では、CsClは 液体になる直前で、大部分は固体状と思われます。しかし、氷状の水H2Oでも 極僅少ながら、水蒸気に昇華(気化)することが考えられるように、641℃で 固形状のCsClも 極僅少ながら、ガス状のCsClに昇華(気化)することが考えらます。しかし、ガス状のCsClは 直ぐに凝集・凝縮して微粒子状になり(特に200℃程度以下では)、バグフィルターで捕集されるものと思われます。(拙文シリーズ(12)~(15)ご参照)。
ご質問、ご批判、異論、反論 よろしくお願い申し上げます。
関係記事:
2011年2月21日 福 本 勤
(財)環境技術実践機構 理事
日本サステナ㈱取締役 環境保全工学研究所 代表
中国 清華大学 客員教授
京大工博 福 本 勤
環境保全工学研究所 〒658-0001神戸市東灘区
森北町4-15-16 TEL:078-411-9606
差出人: 福本勤
日時: 2012年2月24日 13:18:02:JST
件名: 関西TV「間違ったことは一切放送していないので・・・・」。Re: 「環境省の災害廃棄物・広域処理政策を批判する」他
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関西テレビに電話して、「訂正されるのがよいのではないでしょうか」と申し上げましたところ、「間違ったことは一切放送していないので、訂正することはありません。児玉、青山両先生お二人とも有名な高度有識者であり、関西テレビスタフ陣容でも キッチリと チェックしていることであり、1視聴者から指摘されるような間違いがある筈はありません。」と言い、僕の名前と連絡先を伝えようとしましたが、「それには及びません」との返事でした。「何でしたら間違いを指摘した拙文をE-mailしましょうか?そちらの、E-mail Addressをお知らせ下さい。」とも 話しの途中で 伝えましたが、「それには及びません」との返事でした。困ったものですね。
テレビ放送はこんなものかと呆れ果てました。
2011年2月24日 福 本 勤
-------------------------------関係記事:
その他関係記事:
- 資料:震災がれきの可燃、不燃割合(発生量、性状)
- 「福本さんとは?」の知人からの問合せに返事
- 20111125 福本勤先生へのお願いメール:「震災がれき広域処理はばかげてる」「先生、そのこと書い...
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