6/12「原発震災廃棄物・広域処理問題」ブログに「福島の木質形の放射能瓦礫に関する、既存焼却炉で焼却した場合の排ガス・試算」が紹介され、文末に「考え方、計算等ミスがあるかもしれません。。。排ガス計算の専門家ではないので、詳しい方にご検証いただけるとありがたいです」とありました。
★原発震災廃棄物・広域処理問題: 既存焼却炉で焼却した場合の排ガス・試算
そこで、福本勤先生にこの件をお聞きしました。以下が今日先生から頂いた回答メールです。ご参考にして頂ければ幸いです。福本先生に感謝。
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差出人: 福本勤
件名: セシウ ム 137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理について(4)
日時: 2011年6月14日 10:23:07:JST
セシウ ム 137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理について(4)
お送り戴いた国立環境研究所から環境省へ提出の「第二回災害廃棄物安全評価検討会」によると、バグフィルター⇒湿式スクラバー⇒活性炭吸着塔⇒触媒塔で、集塵効率は99.9%以上になっています。 ダイオキシン類発生・排出が社会問題になった頃の平成9~14年に、ダイオキシン類削減の為に、全国の焼却工場が改造、新設されましたが、京都市某焼却工場は 湿式スクラバーを含む上記のような過剰設備で構成される焼却工場(大変高価。その分市民税増加)を建設しました。 しかし、湿式スクラバーを含む過剰設備を設けている焼却工場は多くありません。福島県にもないようです。
過剰設備の例を背景とする、国立環境研究所から環境省へ提出の「第一回災害廃棄物安全評価検討会」資料に記載の「バグフィルターによって『セシウムをほぼ100% 捕捉で きる』 」は 一寸具合悪いのではないか思います。
これ(「第二回災害廃棄物安全評価検討会」報告書)からは、バグフィルターの捕集効率は分りません(後記の引用文献には 或いは記載されているのかもしれませんが、湿式スクラバー⇒活性炭吸着塔⇒触媒塔で除去されたA%分だけバグフィルター捕集効率は 減少する筈です。99.9-A%になるものと思われます)。
尚、バグフィルターを通過した排ガスが通る洗浄等の工程において、
①どんな湿式スクラバーが使用されているのか、
②湿式スクラバーの集塵効率はどれくらいか、
③どんな有害物質が何%除去されたのか、
④活性炭塔と触媒塔はダイオキシン類等除去の為の設備と思われますが、それらの除去効率は何%ぐらいだったのか、
⑤バグフィルター自体の集塵効率はどれくらいか、
などを知りたいところです。引用文献で確認したいのですが、吉田様のほうで、若しも入手できたらお送り下さい。
ご参考:「第二回災害廃棄物安全評価検討会」報告書によると、排ガス処理システムは、次のようになっています(大きい文字は小さくできません)。
ご参考:「第二回災害廃棄物安全評価検討会」報告書によると、排ガス処理システムは、次のようになっています(大きい文字は小さくできません)。
(資料の2ページ)
2.上記1項のデータ(2010年発表)は、当時なかったと思われる排ガス中のセシウム137Csは対象にはなっていなかった筈です(去る5月31日の学会での国立環境研究所の回答では 137Csでないセシウムも対象になっていたとのことでしたが)。
今問題になっているのは、福島県既設の「バグフィルター付設の6、7社(?)のメーカーが建設した焼却炉」が、そのまま、セシウム137Csを含む排ガスの処理に使えるかどうか、です。 従って、問題は
①「バグフィルターの集塵効率は何%なのか?」です。バグフィルターだけで、排ガス中の137Csの濃度が0~無視小になるのであれば、次の②以下の検討は無用になります。又
②「セシウム137Csは、ガス状で どの程度存在するのか(どの程度排ガス中に含まれるのか)」です。
③燃焼ガス中137Csは、ゼオライト吸着塔で何%吸着されるのか? ゼオライト吸着塔出口で無視小濃度Dng(ng/Nm3 又は pg/Nm3)になるのかどうか。
④燃焼ガスを湿式洗浄する場合、137Csは、ゼオライト吸着塔で何%吸着されるのか? ゼオライト吸着塔出口で無視小濃度Dng(ng/Nm3 又は pg/Nm3)になるのかどうか。
東電は 福島第一原発の137Cs(及びストロンチウム90Sr)放射能汚染水約10万トン超をゼオライトで吸着処理しようとしています。
先ず、米キュリオン社のセシウム吸着装置(ゼオライト充填。1200t/d)で137Csとヨウ素を吸着処理し(三菱重工業も同様の技術保持)、次いで仏アレバ社のゼオライト吸着装置で、 137Cs及び90Srを吸着除去するとのことです。 吸着効率は、 米キュリオン社のセシウム吸着装置、仏アレバ社のゼオライト吸着装置両者で99.9~99.99%とも、前者だけで、99.9~99.99%とも言われています。(前者を6月14日の本日から2日間試運転の予定。その後、後者の試運転予定。)米キュリオン社のセシウム吸着装置には 4系統計24基があり、各系統ごとに主に(1)油分とテクネチウム、(2)セシウム、(3)ヨウ素―の順で吸着処理するそうです。
仏アレバ社製の吸着除去は70~80%との朝日新聞報道も前にありました。仮に これが事実とすると、 燃焼ガスを湿式洗浄する場合、吸着塔を何段かにすれば、137Csやストロンチウム90Sr濃度を無視小濃度Dngに出来るのかどうか。 これらのことを可及的速やかに実験で確かめる必要があります。
要するに、①生物が生きる環境中の137Csやストロンチウム90Srの濃度が、現時点よりも増えないような濃度Dng以下の排ガス、排水にして排出できるようにすれば、②出来るだけ経済的な焼却施設を採用するようにすれば よいのだと思います。 それを確認する為の実験を可及的速やかに行わなければなりません。
3.放射能汚染可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理に限って話を進めてきましたが、水道浄水場の汚泥、下水道処理汚泥に放射性物質が濃縮され、下水道汚泥は消化、メタン発酵後脱水、焼却され、焼却灰には放射性物質がに濃縮されます。濃縮汚泥の焼却処理で発生する飛灰に分配される放射性物質が、共存する粘土鉱物に収着されているかどうかが、良否の重要な判断基準になります松井三郎先生)。
これは重要な問題なのですが、本題目の、「放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理について(1)~(4) 」では 必ずしもない観もあり(濃縮汚泥も可燃性廃棄物の言えないこともないのですが)、日を改めてお話しする機会があればと思っています。
以上何卒よろしくお願い申し上げます。 ご意見、ご反論がありましたら、ご一報戴ければ幸甚です。
2011年6月14日 福 本 勤
福 本 勤 環境保全工学研究所 〒658-0001神戸市東灘区
森北町4-15-16 TEL:078-411-9606
E-mail:t2fukumoto@gaia.eonet.ne.jp
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Sent: Sunday, June 12, 2011 11:28 PM
To: 福本勤様
Subject: 「既存焼却炉で焼却した場合の排ガス・試算」に関して
福本勤先生
お世話になっております。
先程、以下の記事が「原発震災廃棄物・広域処理問題」ブログ主から私宛に送られてきました。
本記事に「福島の木質形の放射能瓦礫に関する、既存焼却炉で焼却した場合の排ガス・試算」が紹介されていて、文末に「考え方、計算等ミスがあるかもしれません。。。排ガス計算の専門家ではないので、詳しい方にご検証いただけるとありがたいです」とあります。
つきましては、この試算に対する先生のご意見をお聞かせ頂くことは可能でしょうか?
只今先生は大変ご多忙と推察、勝手なお願いと心苦しく、ご無理な場合はどうぞ無視して下さい。
以上、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
★原発震災廃棄物・広域処理問題: 既存焼却炉で焼却した場合の排ガス・試算
以下の(1)、(2)、(3)は 先便と同じです。初めてご参加・ご一読戴く方の為に、ご参考までに 以下に 再掲しておきます。
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