差出人: 福本勤
件名: 福島第一原発 放射性廃棄物の処理。政府の方針。問題点。解決案。
日時: 2011年5月6日 16:27:59:JST
去る4月30日の(社)廃棄物資源循環学会主催の東日本大震災の災害廃棄物に関する緊急報告会(シンポジウム)で、京大植田和弘先生から、福島第一原発の水素爆発などによって散乱してできた中・低レベル放射性廃棄物の保管・処理に関する政府の方針に関する質問が講演者にありました。
周りを見回したところ、回答できそうな方がおられないようでしたので、僕が回答しようかと思って手を挙げて立ち上がったところ、東大教授の森口裕一先生が先にお答えになりました(司会の京都府立大の山川先生が「森口先生が放射性廃棄物の保管・処理もご専門」と思われたのかもしれません)。
しかし、植田先生の質問のお声が大変小さかったこともあり、政府の方針が出ているのかどうか、出ていたとしてもどのような方針なのかは、分らないような森口先生のお話でした。お話が長かったので、僕が回答する時間がなくなり、回答が出来なくなりました。(後で僕の所に聞きに来られた方々には お答えしました。その方々によると、山川先生に遠慮せずに、敢えて皆に話すべきだった とのことでした。)
つきましては、その時 お話しようとしました回答の概要を下記しておきます。山川 肇先生 今大きい問題になりかけているだけに、関心者が多く、緊急報告会にご出席の方で、放射性廃棄物の保管・処理に関する政府の方針にご関心のありそうな方々に、このE-mailをご転送戴ければ 幸甚です。
記
1.東電福島第一原発放射性廃棄物の処理 2.癒着・凭れ合い=真面な指摘を無視する政府・御用学者・事業者
1.①東電福島第一原発政府関係者の話によると、第一原発原子炉建屋が水素爆発などによって崩落散乱してできたセシウム汚染(中・)低レベル放射性廃棄物(100~200ミリシーベルト[Sv]/h程度、最大900Svの瓦礫類)、散布汚染ゼオライト等回収&土壌類、作業員防護服(現在数万着)・マスク、東電社員・作業員ら排出の食料品容器、残飯等のごみ等、排泄物の保管~処理処分方法は殆ど決まっていません。官僚に対策案・意見を述べても、聞き置かれるだけになる、何も決まらないという印象を受けています。 (一般には 0.01mSv/y以上が放射性廃棄物)
放射性廃棄物の保管・処理の提案をしようとしていますが、彼らの話によると、「福島県の担当部長が一番力を入れている、同担当部長に話をするのが、話が早い、話が早く進む。東電も、官僚も、国も、責任回避からか(と言ってよいのかどうか)、何も決まらない状況が続いている観がある(彼ら自身も反省を込めて言っているよう)。福島県担当部長は、住民を守らなければならない以上、自主、積極的にやる元気はあるよう」ということです。
② 最近開発の代替コンクリートは汎用のセメントコンクリートよりも、強さ、硬さ、耐久性、放射線遮蔽効果等々の特性に優れていで(セメント製造時のCO2の排出もない)、低価格なので、先ずは代替コン製コンテナが低レベル放射性廃棄物の長期間保管に好適と思われることから、彼らもその採用を検討するのではないかと思われます。
今進行中の日本原子力発電 商用東海原発 廃炉の場合、放射性廃棄物の見込み量は、2.35万トンと言われています。 福島第一原発の場合について、政府は4月30日の時点で、何万トン~何万m3かの数値は持っていないようです。
何万~2,30万m3の説もありますが、如何にも多すぎる観があり、話が進んだら又 ご希望の方に お知らせしようかと思います。
因みに、僕は昔 京大 原子エネルギー研究所、原子炉実験所(時々)、九大で、高レベル放射性廃棄物の処理に関する研究(僕の学位論文)をしていたことがあります。【小著:産業・都市・放射性 廃棄物処理技術(1973)。増訂:資源化技術(1977)。新増訂:ダイオキシン類ゼロ化技術(1999)。共立出版、を ご参照】
2.癒着・凭(もた)れ合いの問題
一般・産業廃棄物処理問題に関しても、(御用)学者、行政、業者の間に癒着・凭れ合いの問題がありました。廃棄物学会が社団法人化【⇒(社)廃棄物資源循環学会】を目指していた頃は 特に、廃棄物学会副会長、理事らが、発言を柔らかくしてほしいと頼んできました(その他 色々の 環境行政、審議・審査、法改正等々の多数の不都合な真実・問題[歴代廃棄物学会長の多くが関わっていた]の詳細については、後記の小著の「電子図書の概要の⑤」ご参照。
原子力発電推進に関しても、(御用)学者、政府、事業者(電力会社)の間に癒着・凭れ合いの問題がありました[御用学者は安全性の判断を任され、学者は適当な・そこそこのレベルの安全性を提言し(⇒規制)、事業者は規制に従ったのだ と主張するという無責任体制]。
原発推進に関しては、①日本のエネルギー問題上での原発の重要性、②僕自身が高レベル放射性廃棄物の処理に関する研究に従事していたこと、③原発の安全性に関しては専門家でないこと、から 僕は 原子力発電推進に関しては否定的ではありませんでした(むしろ肯定的でした)。原発の安全性に関しても もっと勉強すべきであったようです。
女川原発や福島第二原発が 巨大地震と大津波に耐えた事実の真剣な検証に 期待しています。
こういう立場から、唯今は、取り急ぎ東電福島第一原発の放射性廃棄物問題解決に取り組んでいます。愚案を提案しつつあります[政府関係者~地方自治体責任者~福島県担当部長に]。 万一、癒着問題の気配を感じたら、又怒り出さなければならないのかもしれません。
ご参考: 昨秋 「電子図書:「(ベストの)廃棄物サステナ処理 & 生物多様性--環境省審議・審査等の不都合な真実⇒環境行政の歪」(2010年9月23日)」を発行しました。
この電子図書の概要:
1.持続可能(サステナ)社会構築の為には、生物多様性の保存も最重要課題になってきており、入門的に詳しく記述。即ち、生物多様性(の保存): 動植物の存在は危機の状態/生物多様性とは/生態系/生産者(植物)、消費者(動物)、分解者(微生物)/食物連鎖/種(種間)の、遺伝子(種内)の、生態系の多様性/絶滅危機に瀕する生物の種/侵略的外来種/生物多様性条約COP10/双子の条約/TP/SATOYAMAイニシアティブ/経済的損失/生態系サービス(恩恵):調節的-、供給-、文化的-、基盤的-サービス/4つの危機/企業の取り組み/生物多様性オフセット/Green Wash/環境影響評価/生物多様性基本法/自然再生推進法/等々。
2.『種々の廃棄物処理・リサイクルの各方法を、環境・資源・エネルギーの保護(PREC)の上から定量的に比較評価し、評価点数の最も高い処理・リサイクル方法』、換言すれば、『循環型・低炭素・持続可能(サステナ)社会の構築に繋がり、環境・資源・エネルギーの保護(PREC)の上でベストの廃棄物処理・リサイクル方法』を、サステナ処理の方法と称することにし、廃棄物は、PRECの為に、このサステナ処理の方法で処理していくべきである。 その一環の廃棄物焼却高効 率発電(熱回収)も期待される。
○サステナ処理は、簡易的には、種々の処理・リサイクルの方法の中で、処理・リサイクルの際の(消費エネ量A-取得エネ量B)が、最小になる処理・リサイクルの方法である【A-B論】
○サステナ処理~A-B論のもと、盛んに行なわれているリサイクル賛否論は、無用・無意味になる。世に憚るリサイクル反対論(例:武田邦彦論)は、その根拠が曖昧(あいまい)で、説得力に欠けている。
2.『種々の廃棄物処理・リサイクルの各方法を、環境・資源・エネルギーの保護(PREC)の上から定量的に比較評価し、評価点数の最も高い処理・リサイクル方法』、換言すれば、『循環型・低炭素・持続可能(サステナ)社会の構築に繋がり、環境・資源・エネルギーの保護(PREC)の上でベストの廃棄物処理・リサイクル方法』を、サステナ処理の方法と称することにし、廃棄物は、PRECの為に、このサステナ処理の方法で処理していくべきである。 その一環の廃棄物焼却高効 率発電(熱回収)も期待される。
○サステナ処理は、簡易的には、種々の処理・リサイクルの方法の中で、処理・リサイクルの際の(消費エネ量A-取得エネ量B)が、最小になる処理・リサイクルの方法である【A-B論】
○サステナ処理~A-B論のもと、盛んに行なわれているリサイクル賛否論は、無用・無意味になる。世に憚るリサイクル反対論(例:武田邦彦論)は、その根拠が曖昧(あいまい)で、説得力に欠けている。
3. 地球温暖化防止、サステナ社会構築の為には、また、再生可能(別称自然)エネルギーである太陽光(主役)、風力、バイオマス等も不可欠である。太陽光発電。
4.リサイクルの上からも重大・緊要問題になっているレアメタル(希少金属)、レアアース、 資源戦略・争奪戦~都市鉱山、代替材料開発にも適確に言及されている。
5. その他、次の①~⑦等の重大問題(不都合な真実)についても具体的に詳述: ①環境行政・研究開発を歪ませた政府審査・審議会等の杜撰(ずさん)審査の重大問についても具体的に詳述されている:【例: A.ダイオキシン類濃度 基準値 超過焼却炉の改善案についての出鱈目審査。B.市販品焼却炉の開発に補助金交付を決めた出鱈目審査(市販品の開発などあり得ない)。 C.焼却炉の構造を、資源・エネルギーを浪費させる構造に決めた検討・審査会の極ずさん、出鱈目審査】。②杜撰審査されては折角のサステナの努力も報われない。③委託研究費を食い物にする審議・審査委員。④無謀な法令改正(改悪)。⑤資源浪費型 廃棄物処理法令(焼却施設構造基準)の改正が必要。⑥ダイオキシン類排出量は、環境省発表量のように大幅に減っていない。大幅に確実に減らす実現可能な方法・技術は存在し実用化。環境省は「寝た子を起こすようなことはしたくない」と無視しようとする。⑦反サステナ的RDF発電の二重投資と爆発のリスク。 等々。
4.リサイクルの上からも重大・緊要問題になっているレアメタル(希少金属)、レアアース、 資源戦略・争奪戦~都市鉱山、代替材料開発にも適確に言及されている。
5. その他、次の①~⑦等の重大問題(不都合な真実)についても具体的に詳述: ①環境行政・研究開発を歪ませた政府審査・審議会等の杜撰(ずさん)審査の重大問についても具体的に詳述されている:【例: A.ダイオキシン類濃度 基準値 超過焼却炉の改善案についての出鱈目審査。B.市販品焼却炉の開発に補助金交付を決めた出鱈目審査(市販品の開発などあり得ない)。 C.焼却炉の構造を、資源・エネルギーを浪費させる構造に決めた検討・審査会の極ずさん、出鱈目審査】。②杜撰審査されては折角のサステナの努力も報われない。③委託研究費を食い物にする審議・審査委員。④無謀な法令改正(改悪)。⑤資源浪費型 廃棄物処理法令(焼却施設構造基準)の改正が必要。⑥ダイオキシン類排出量は、環境省発表量のように大幅に減っていない。大幅に確実に減らす実現可能な方法・技術は存在し実用化。環境省は「寝た子を起こすようなことはしたくない」と無視しようとする。⑦反サステナ的RDF発電の二重投資と爆発のリスク。 等々。
2011年5月3日 福 本 勤
(財)KGJK 理事
環境保全工学研究所 代表
中国 清華大学 客員教授
京大工博 福 本 勤
環境保全工学研究所 〒658-0001神戸市東灘区
環境保全工学研究所 〒658-0001神戸市東灘区
関係記事:
0 件のコメント:
コメントを投稿