放射能で汚染された瓦礫の焼却処理に関して、福本勤先生の関係者宛の提言メールを先生の許可を得て掲載しています。
先程、新しい内容が加わったメールが福本先生から届いたので、以下に掲載します。先生に感謝:
「....去る31日、1日に 廃棄物資源循環学会に参加し、幾つかの場(討論会、会合、意見交換会、昼食会、専門家との議論)で、 セシウム137 Cs を含む排ガスの処理についての下記の愚案 を説明しました。 専門家の考えは「福本案がベスト」でした。
こうした折、拙文(情報交換文)をお読み下さった京大名誉教授の松井三郎先生が、「皆さんの重要な情報交換に加わります。いままでの 福本様の セシウムを中心とする対策の考え方に賛成です。」との仰せのもと、この情報交換に加わって戴くことになりました。
同先生のお考えを参考にさせて戴いて、拙文に以下のように 修正を加えておきます。....」
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差出人: 福本勤
件名: セシウ ム 137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理
日時: 2011年6月5日 12:44:47:JST
セシウ ム 137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理について
1. 国立環境研究所から、環境省の「第一回災害廃棄物安全評価検討会」に、焼却炉からの排ガスの処理装置 である バグフィルターによって「セシウムをほぼ100% 捕捉で きる」 とする資料 提出されている、とのことです。
【因みに、仰せの排ガス中のダイオキシン類の場合は、 ①排 ガス中の飛灰の中 に存在するダイオキシン類と ②排 ガス中にガス (蒸気) 状で存在するダイオキシン類とがあり、① は バグフィルターによって ほぼ100%(100%近く)捕捉できますが、 ② はアンモニア吹き込み位置直後の触媒塔( 接触分解) や活性炭吸着塔によって除去されます。】
2. 筆者は先般来、「セシウ ム 137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の莫大な量を、大幅に(5%以下に)減らす為の焼却処理を行う場合、 137Cs等の放射性物質の大部分は焼却主灰に含まれることになるが、放射性物質の残部の大部分は排ガス中の飛灰に含まれ、残部の残りである一部の放射性物質が ガス(蒸気) &/or 極微粒子のヒューム(フューム。Fume。0,01~1μ)として 排ガス中に存在する可能性に言及し、ガス(蒸気)として存在する場合は、排ガス中設置のゼオライト吸着塔で除去できるが、ヒュームとして存在する場合は、ヒュームはバグフィルターでは捕集出来ないことから、排ガスを湿式洗浄して 水に溶けた137Csなどを、ゼオライト吸着塔で除去する という方法を採らざるを得ない」と言ってきました。
去る31日、1日に 廃棄物資源循環学会に参加し、幾つかの場(討論会、会合、意見交換会、昼食会、専門家との議論)で、 セシウム137 Cs を含む排ガスの処理についての下記の愚案 を説明しました。 専門家の考えは「福本案がベスト」でした。
こうした折、拙文(情報交換文)をお読み下さった京大名誉教授の松井三郎先生が、「皆さんの重要な情報交換に加わります。いままでの 福本様の セシウムを中心とする対策の考え方に賛成です。」との仰せのもと、この情報交換に加わって戴くことになりました。
同先生のお考えを参考にさせて戴いて、拙文に以下のように 修正を加えておきます。
3. セシウ ム 137Csで汚染された可燃性廃棄物を焼却しますと、排ガス中の137Csの大部分は飛灰の中に含まれることになりますが、残りの微量の137Csは、排ガス中の水蒸気に含まれる(水蒸気に溶ける)ことになります松井三郎)。 水蒸気に含まれる137Csは、バグフィルターによって捕捉されずに、水蒸気に含まれたまま (燃焼)ガスと共に、バグフィルターを容易に通り抜けてしまいます。 しかし、この微量の137Csは、排ガス(煙)道にゼオライト吸着塔を設置すれば、これによって吸着除去されます。137Csが排ガス中の水蒸気に含まれるのであれば、 排ガスの湿式洗浄の必要はなくなります。 【ただし、137CsがFume(粒径0.01~1μ)状で存在すると 排ガスの湿式洗浄が必要になり厄介になります。安全の観点から、その可能性に先便で(その一部を上記2項で)触れましたが、その可能性は小さいのではないかと思われます。 これについては 今 微粒子の道の専門家と話をしているところです。実験で要確認かも】。
以上は、放射能汚染した可燃性廃棄物を 焼却処理して大幅に(5%以下に)減容し、焼却主灰に放射性物質を濃縮し、これを長期間保存して放射線量を時間的に低下させるという合理的な方法が前提になっています。
3a 説明の仕方を変えますと、焼却処理中の137Cs等の放射性物質は 灰中とガス中に分離しますが、ガス中の放射性物質の量は僅かであり、灰中の放射性物質はバグフィルターによって100%近く捕集されます。ガス中の水蒸気に含まれる137Csは バグフィルターを通過します。 バグフィルター通過した排ガス~水蒸気中の137Csは、ゼオライト吸着塔を通すことによって吸着除去されます。極微粒子ヒュームの137Cs等の放射性物質は、 バグフィルターでは捕集出来ないので、排ガスを湿式洗浄して137Csなどを、ゼオライト吸着塔で除去する という方法を採らざるを得ません。
3b バググフイルターを通過した水蒸気中には、陰イオンの塩素、硝酸が残存していますから、それと電気的中性を保存する陽イオンに Na,K,Csが 存在することになります。 ただし、燃焼ガス中のCs量は大変微量ですから、捕捉されるCsも大変微量です。
4. 放射能汚染した可燃性廃棄物は、現在の進んだ焼却処理方法に対策強化して 処理かできます。 問題は 放射能が濃縮する焼却主灰の処分方法です。 原子炉作業で発生する放散線汚染物は、原子力基本法に基づく 最終処分方法が決められていますが、この方法の実行場所は六箇所村になります。しかし 長期保管容積に限界があります松井三郎)。
そこで、 廃棄物埋め立て用の「管理型処分場」を使わざるを得なくなります。 現在の管理型処分場に、焼却灰をゼオライト処理して吸着封じ込め、セメント固化すれば、十分に安全に長期保管最終処分ができます。
日本サステな㈱—(財)環境技術実践機構では、セメントの代わりに 殆ど無料の硫黄を使って硫黄コンクリートを造ることが出来るのですが 、硫黄、( 137Csを含む)焼却灰 、スラグ等から硫黄コンクリートを造って、焼却灰を 硫黄コンクリート固化をすれば、十分に安全に長期保管最終処分ができます。 硫黄コンクリートは、硬さ、圧縮、曲げ、引っ張りなどの強度等々の特性、放射線遮断効果、有害物質溶出等々の点で、セメントコンクリートよりも優れています。廉価です。 因みに、セメント製造時生成のCO2の生成もありません。
そして、例えば、厚さ20mm、2×2×2m3の容器に放射能汚染無機性瓦礫類を入れて長期保管することを提案しています。 これは、焼却灰中の重金属を封じ込めるセメント固化(硫黄コンクリート固化)と同じ方法です。
今後、放射能汚染物の核種は、Cs,Sr,その他が増えますが、 ゼオライトの選択吸着能力が高く、CsとSrに対する吸着(実は収着)は確実です。
【ただし Pu汚染がある場合は、焼却する前に、Pu除染の前処理が必要です。これは慎重にやる必要があります。今後必ずこの問題が発生すると思います。 Pu汚染は 大変頭の痛い問題です。 Cs,Srについては、処理方法があると言うことで、一概に 喜べないのが 残念です。 Pu除染の前処理は、極めて難しい問題です。廃棄物の形状と材質で、Puが 化学除染しやすいか、そうでないかになります。酸性水による洗浄で、洗浄水中のPuをイオン交換樹脂捕捉になります。 放射線レベルが低ければ、作業はやりやすいですが、線量が高いと極めてやりにくいです。 さらに重要なことは、 焼却灰中の 放射線レベルが低い場合は、 ゼオライト処理封じ込めの後、セメント固化せず、脱水汚泥で、「一般廃棄物処分場」に埋め立てることです。 浸出水にCsが溶出しなければ問題がありません。どのレベルの放射線量で セメネント固化で管理型埋め立てか、 ゼオライト脱水処理で一般埋めたてか? これは実験をして確認が必要のようです松井三郎)。】
今後、放射能汚染物の核種は、Cs,Sr,その他が増えますが、 ゼオライトの選択吸着能力が高く、CsとSrに対する吸着(実は収着)は確実です。
【ただし Pu汚染がある場合は、焼却する前に、Pu除染の前処理が必要です。これは慎重にやる必要があります。今後必ずこの問題が発生すると思います。 Pu汚染は 大変頭の痛い問題です。 Cs,Srについては、処理方法があると言うことで、一概に 喜べないのが 残念です。 Pu除染の前処理は、極めて難しい問題です。廃棄物の形状と材質で、Puが 化学除染しやすいか、そうでないかになります。酸性水による洗浄で、洗浄水中のPuをイオン交換樹脂捕捉になります。 放射線レベルが低ければ、作業はやりやすいですが、線量が高いと極めてやりにくいです。 さらに重要なことは、 焼却灰中の 放射線レベルが低い場合は、 ゼオライト処理封じ込めの後、セメント固化せず、脱水汚泥で、「一般廃棄物処分場」に埋め立てることです。 浸出水にCsが溶出しなければ問題がありません。どのレベルの放射線量で セメネント固化で管理型埋め立てか、 ゼオライト脱水処理で一般埋めたてか? これは実験をして確認が必要のようです松井三郎)。】
以上、取り急ぎ認め 送信致します。 ご高説、ご意見を 賜ることが出来れば幸甚です。
2011年6月5日 福 本 勤
福 本 勤
(財)環境技術実践機構 環境保全工学研究所
〒658-0001神戸市東灘区森北町4-15-16
(財)環境技術実践機構 環境保全工学研究所
〒658-0001神戸市東灘区森北町4-15-16
TEL:078-411-9606
E-mail:t2fukumoto@gaia.eonet.ne.jp
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