福島の震災廃棄物処理に関して、6/5日に第二回、6/19日に第三回の環境省「災害廃棄物安全評価検討会」が開かれ、処理方針についての報道があり、数日後には資料も公開されましたが、放射能汚染の恐れがある瓦礫の処理に関して、今なお批判の声が多々聞かれ、行方定まらず、現地の担当者の納得も得られていないようです。
そんな折り、福本勤先生から、"環境省「災害廃棄物の処理の方針」に関して"という件名で 、政府や福島県の担当者に宛てたメールの控えが届きましたので、先生の許可を得て、掲載させて頂きます。感謝。
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差出人: 福本勤
件名: 4&5項修正。セシウ ム 汚染可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理(5)ーー環境省「災害廃棄物の処理の方針」に関して
日時: 2011年6月24日 18:28:49:JST
セシウ ム 137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理について(5)
環境省「災害廃棄物安全評価検討会(第2回、第3回)」--「放射性物質により汚染されるおそれのある災害廃棄物の処理の方針」に関して
【大変取り急ぎ書きました。ご意見、ご高説、ご異論、反論がありましたら、何なりとご教示下さい。 2011.6.24 環境保全工学研究所 〒658-0001神戸市東灘区森北町4-15-16 福本 勤 TEL:078-411-9606 E-mailt2fukumoto@gaia.eonet.ne.jp 】
次の4項と5項を 少し修正しましたので、恐縮に存じますが、送信し直させて戴きます。
1. この方針には、筆者が これまでに提言・主張してきたことが、かなり取り入れられている観があります。
しかし、放射性セシウム(137Csと134Cs。アルカリ金属中最も反応性に富む)によって汚染された可燃性廃棄物はどれだけ発生したか、燃焼排ガス中の放射性セシウム(137Csと134Cs)が環境中に排出させる量を如何にして少なくするか、例えば燃焼排ガス中のセシウムの濃度を如何にして0~無視小の濃度(環境中に放出しても環境中のセシウム濃度が増えない濃度)にするか、について 全体的・系統的に 調査・実験が行われ、追求、論述されていない観があります。
膨大な発生量の災害可燃性廃棄物につきましては、出来るだけ焼却や再生利用することによって減容・減量し、埋立処分量を可能な限り少なくすることが、基本的な方針になっています。 これは、以前からの筆者の考えと同じです。
このうち、再生利用品の多くは 何れ 遅かれ早かれ 最終的には焼却せざるを得なくなります。 従って、焼却の際に排出されるセシウム等の量を如何にして少なくするか、燃焼排ガス中のセシウム等の濃度を如何にして0~無視小にするかが 重要な問題になります。
2.国立環境研究所から環境省へ提出の「災害廃棄物安全評価検討会」資料によると「バグフィルター⇒湿式スクラバー⇒活性炭吸着塔⇒触媒塔」で99.9%になっています。 日経新聞(2022.6.20)によると、環境省の方針では、福島県の焼却施設12カ所(筆者の調査によると その殆どがバグフィルターのみ付き。ごく一部が電気集塵機のみ付き)で、可燃性廃棄物を焼却処理することになっています。これらの殆ど場合、バグフィルター、湿式スクラバー等を合わせ設置して得られるという99.9%の集塵効率は 得られないことになります。 福島県の某市に聞いたところ、バグフィルターだけで99.7%の集塵効率が得られた場合もあったとは言うことでしたが。
一方、可燃性廃棄物はどれだけあって、そのうち放射性セシウム等で汚染された可燃性廃棄物はどれだけあるのか、汚染されていない可燃性廃棄物は既設の焼却施設で焼却できるとしても、汚染された可燃性廃棄物は既設の焼却施設で焼却できるものかどうか、等々については、多くの人が関心を持っているところなのですが、この点に この「方針」は言及していません。
例えば、「放射性セシウム濃度が 何100或いは何1,000Bq/kg以上であろうと以下であろうと、可燃性廃棄物は焼却処理する」とは この「方針」には謳われていません。ということは、「可燃性廃棄物は全部(乃至殆ど)焼却処理する」ということになります。
系統的調査・実験・分析して、燃焼排ガスに放射性セシウムが殆ど含まれてきそうもない可燃性廃棄物と それ以外の可燃性廃棄物とに分け、後者は排ガス処理設備の性能の良い焼却施設(放射性セシウムを十分除去できる排ガス処理設備を備えた焼却施設)で焼却するようにするのが良いのではないかと思われますが、「方針」では言及されていません。分けるほうが、特に焼却施設を新設する場合、経済的に処理できることになるのですが。 充分、系統的調査・実験・分析・試算した上で、得られた「可燃性廃棄物は全部 焼却処理する」という結果に基づいているのであればよいのですが。 それほど多くはないと思われる放射性セシウム等で高濃度に汚染された可燃性廃棄物は、新設の高性能排ガス処理設備を備えた新設の焼却施設で処理するのが、経済的にも安全の面からも よいのかもしれないのですが、このような点について「方針」では言及されていません。
また、災害廃棄物のうちの可燃性廃棄物全部を、既設の焼却施設で焼却するのは、能力的にも とても無理なので、焼却施設を新設する案も出ていますが、この「方針」では触れられていません。
3.焼却に伴って発生する主灰や飛灰については、放射性セシウム濃度が8,000Bq/kg以下であれば、一廃課最終処分場(管理型最終処分場)に埋め立ててもよく、 100,000Bq/kgを超える主灰や飛灰については、適切に放射線を遮蔽できる施設で保管し、8,000Bq/kg~100,000Bq/kgの主灰や飛灰については、国によって 処分の安全性が確認されるまでの間 ドラム缶等で一時保管するのが適当とされています。
放射性セシウム濃度が8,000Bq/kg以上の主灰や飛灰については、①適切にレサット(硫黄コンクリート)に固形化して 管理型最終処分場に処分する方法や、②レサットの遮蔽箱に、一時 又は 長期保管する方法(不燃性の瓦礫の保管も勿論可)を、筆者らは開発済みです。
4. 先月から筆者が提言してはいるものの、未解明、未解決のままになっているのが、 燃焼排ガスに含まれているガス・蒸気状放射性セシウムの量・濃度です。 放射性セシウム等が、ガス状で存在することは、H ― O-―H と Cs+ とが半極性結合状態にある可能性を用いて説明してきました。 原研には僅かながらガス状での存在を証するデータがありました。原子力学会S56年秋の分科会予稿集(Ⅱ)G45によりますと、CsCl(Cs-134)は500℃で揮発率は約20%です(Cs-134が用いられたのは、半減期を考慮して汚染が長期間残らないようにするため。加藤清 他)。
燃焼排ガス中のガス状セシウムの濃度のデータが乏しく、ガス状セシウムの燃焼排ガス中での吸着除去効率のデータも乏しいので、これらのデータを実験によって採取する必要があります。
5.一般廃棄物焼却施設でも排気・排水中の放射性物質濃度測定は必須になりますが一般施設で実際に それがどこまで出来るのかという問題もあります。
指針に基づく、排気モニタなど設置には多額な費用がかかります。
原研(日本原子力研究開発機構)の場合、もし洗浄液が濃度限度を超えた場合は、“液体廃棄物”として取り扱い、隣接する液体廃棄物処理施設に引き渡して、処理してもらうことになっています。
(廃棄物処理施設は、液体施設と固体施設が隣接しているそうです。)
原研では、こういう担保(保険)がありますので、安心して処理できています。
おそらく、他の原子力発電所などでも、洗浄液が濃度限度を超えた場合の措置は同様と思われます。
従って、そのような設備がない一般廃棄物焼却施設における対策は 洗浄液中の濃度測定を行い、セシウムなどの核種がトータルで濃度限度を超えた場合にゼオライト吸着塔、その他 イオン交換樹脂、中空糸膜、活性炭などで処理できるよう、事前の検討・準備が必要になります。
3か月以上も経っても遅々として進まず、一般廃棄物焼却施設で放射性物質濃度測定等が必須の作業が、お金も余りなさそうな今、 果たして出来るのかと心配になります。 (2011.6.24 環境保全工学研究所 福本 勤)
6.福島県 生活環境部 の一廃課と産廃課 に次の1~10の質問を電話とE-mailでしました。 一廃課は「分りませんが、一般廃棄物処理施設の状況の一覧表がありますのでE-mailします」、と言って一覧表を送って下さいました。
産廃課 は「E-mailで質問して下さい」とのことでしたので、E-mailしましたところ、質問10に対してだけ、次の返事( 「 」内 )がありました。しかし、余りよくは分らない返事でしたので、次の再質問をしました。 しかし返事が戻ってきません。こういう問題に お慣れに なっていないようです。
福島県産業廃棄物課 様
ご回答有り難く拝受致しました。次の再質問について、ご回答・お返事を よろしくお願い申し上げます。
1. 「焼却炉は既存施設で足りる」は、 “産業廃棄物焼却炉も含めて、焼却炉は既存施設で足りる”という意味ですか? 1a 環境省の19日の方針は、12箇所の廃棄物焼却施設が対象になっているのですが。 “この12箇所の廃棄物焼却施設の中に、産業廃棄物焼却施設も含まれている”ということでしょうか?
2. 「必要に応じて新設もあり得ます。」の新設は、産業廃棄物焼却施設として ですか、一般廃棄物焼却施設として ですか?
3. 「規模は200t級の炉から数十tのものまで様々です。」において、規模は新設の規模ですか、既設の規模ですか?
4.「バグフィルターが必要であると考えますが、電気集塵でもスクラバー等と併せれば可能」との仰せですが、スクラバーを設置しますと、セシウムが洗浄水に容易に溶けてしまい、その吸着設備などが必要になります。 この点 どうお考えか、ご教示下さい。
ご多忙のところ 恐縮に存じますが、よろしくお願い申し上げます。
2011年6月21日 福 本 勤
(財)環境技術実践機構 理事
環境保全工学研究所 代表
中国 清華大学 客員教授
京大工博 福 本 勤
環境保全工学研究所 〒658-0001神戸市東灘区
森北町4-15-16 TEL:078-411-9606
ご多忙のところ恐縮に存じますが、焼却施設の排ガス処理設備について ご教示、お返事賜ることが出来れば幸甚です。
①3焼却炉の能力は それぞれ225トン/日 ですか?
②各炉排ガス量(Nm3/h)はどれだけですか?
③各炉の次にバグフィルターが設置されていますか?
④各バグフィルターの集塵効率は何%ですか?
⑤排ガス処理設備として、バグフィルター以外に何か設置されていれば、それをお知らせ下さい。
⑥高温排ガスの冷却設備は何ですか?
⑦何度まで冷却しますか?
⑧次の福島県生活環境部 一廃課宛のメールの中の、質問1~10につきましても、分りましたらご教示下さい。福島県生活環境部 一廃課では よくは分らないそうです。
以上何卒よろしくお願い申し上げます。
本日中にでもお返事戴ければ幸甚です。
後記の 「セシウ ム 137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理について(1)~(4) 」 には、放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理について記載しています。 ご関心がありましたらご参照ください。 ご意見がありましたら、何なりとお知らせ下さい。
2011年6月20日 福 本 勤
5月31日の学会(川崎市)でお会いしました産廃課の鴨田 美奈子様によりますと、
「災害廃棄物については、法的には一廃であるため、一廃課が主に担当していますが、災廃の処理には産廃施設も使わざるを得ないため、その部分については産廃課が関わっているという状況です。 なお、私は6月1日付けで災害廃棄物関係の担当からはずされてしまいましたので、恐れ入りますが、災害廃棄物関係の情報の御提供やお問い合わせは、今後は一廃課又は産廃課のアドレスにお願いいたします。」とのことです。
つきましては、 ご多忙のところ 恐縮に存じますが、 次の一廃課宛E-mailの中の質問1~10項のうち、産廃課に関係のある10項:
「10.焼却すべき放射能汚染可燃性廃棄物は、
①既設焼却施設で焼却するのですか?
②新設の焼却施設で焼却するのですか?
②a 既設、新設焼却施設の両方で焼却するのですか?
③既設の産廃焼却施設も使用するのですか?
④使用する既設の産廃焼却施設の規模(T/D)は?
⑤その排ガス処理設備は何で構成されていますか? バグフィルター、スクラバー、触媒塔、吸着塔などですか? 排ガス量(Nm3/h)は? 」
の中の③~⑤などについて ご教示戴くことが出来れば幸甚です。
ご多忙のところ 恐縮に存じますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
2011年6月17日 福 本 勤
5月31日の学会(川崎市)でお会いしました産廃課の鴨田 美奈子様に、
「セシウ ム 137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理について(1)~(4)」をお送りし、 次の1~6項の点についてお尋ねしていました。
しかし、「災害廃棄物については、法的には一廃であるため、一廃課が主に担当していますが、災廃の処理には産廃施設も使わざるを得ないため、その部分については産廃課が関わっているという状況です。 なお、私は6月1日付けで災害廃棄物関係の担当からはずされてしまいましたので、恐れ入りますが、災害廃棄物関係の情報の御提供やお問い合わせは、今後は一廃課又は産廃課のアドレスにお願いいたします。」とのことです。
つきましては、ご多忙のところ恐縮に存じますが、 次の1~6項の点について、ご教示、お返事賜ることが出来れば幸甚です。
お忙しいでしょうから、今のところ、大体のところでも結構です。 ご多忙のところ、一々調べて ご確認戴くには及びません。 大体のところを、拙文の中に朱字で書き込んで戴ければ幸甚です。 返信するお時間がなければ、お電話(078-411-9606)戴ければと思います。
その前に次の7~10項点についても ご教示下さい。
7.福島県の大震災廃棄物量(万トン、万m3)
8.焼却すべき可燃性廃棄物の量(万トン、万m3)
9.焼却すべき放射能汚染可燃性廃棄物の量(万トン、万3)
10.焼却すべき放射能汚染可燃性廃棄物は、
①既設焼却施設で焼却するのですか?
②新設の焼却施設で焼却するのですか?
②a 既設、新設焼却施設の両方で焼却するのですか?
③既設の産廃焼却施設も使用するのですか?
④使用する既設の産廃焼却施設の規模(T/D)は?
⑤その排ガス処理設備は何で構成されていますか? バグフィルター、スクラバーなど?
1.①福島県 に設置され(多分平成9~14年にダイオキシン類削減を目的に改造又は新設)、使用されてきている都市ごみ焼却施設のメーカーは、荏原、三菱重工業、川崎重工業、JFE、日立造船、タクマ、クボタ、三機工業でしょうか? これ以外のメーカーの都市ごみ焼却施設も使用されていますか? 出来ればご教示下さい。 メーカー名を教えるのが万一不都合であれば、お知らせ戴くには及びません。
②ごみ焼却施設 各々の能力(Ton/d)は? 排ガス量(Nm3/h)は?
2.これらのうち、排ガス処理設備として、バグフィルター⇒湿式スクラバー⇒活性炭吸着塔⇒触媒塔を設置しているのは、幾施設ありますか? 排ガス量(Nm3/h)は? そのメーカー名は?
3.バグフィルター⇒湿式スクラバーだけの施設もありますか? 幾施設ありますか?
4.バグフィルターだけの施設もありますか? 幾施設ありますか? 5.バグフィルターを設置せずに、湿式スクラバーを設置している都市ごみ焼却施設はありますか? 幾施設ありますか?
6.各湿式スクラバーの型式は?
以上何卒よろしくお願い申し上げます。 お返事には、福島県生活環境部 産廃課(ご所属)の電話番号、所在地等もご記入しておいて戴ければ幸甚です。
2011年6月17日 福 本 勤
-----Original Message-----
Subject: RE:乞うご教示「福島県設置のごみ焼却施設の排ガス処理設備について」
福本様
貴重な資料を数々お送りいただきありがとうございます。
ごみ焼却施設の件ですが、当県の廃棄物行政は一般廃棄物課と産業廃棄物課に分かれており、都市ごみ(一般廃棄物)は一廃課で所管しております。
私は産廃課であるため、都市ごみ焼却施設については、申し訳ありませんが把握しておりません。
メールを一廃課に転送し、そちらから回答を差し上げるようにしたいと思いますが、お知りになりたいのが各焼却施設のメーカーということだと、一廃課でもおそらくすぐにはお答えできないと思われます。
災害廃棄物については、法的には一廃であるため、一廃課が主に担当していますが、災廃の処理には産廃施設も使わざるを得ないため、その部分については産廃課が関わっているという状況です。
なお、私は6月1日付けで災害廃棄物関係の担当からはずされてしまいましたので、恐れ入りますが、災害廃棄物関係の情報の御提供やお問い合わせは、今後は一廃課又は産廃課のアドレスにお願いいたします。一廃課:itupan@pref.fukushima.jp 産廃課:sangyou@pref.fukushima.jp
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福島県 生活環境部 産業廃棄物課
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福島市杉妻町2-16
TEL 024-521-7264
FAX 024-521-7984
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7. 以下の(1)、(2)、(3)、(4)は 送信済みの先便と同じです。初めてご参加・ご一読戴く方の為に、ご参考までに 以下に 再掲しておきます。
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