2011年6月10日金曜日

20110610 「セシウ ム 137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理について(3)」 by 福本勤先生









福島県内の放射性物質に汚染された瓦礫の焼却処理に関して、福本勤先生から今日、追加メールが届きました。既に紹介した以下の提言の続きです。
今日のメールは「先ずは焼却処理実験を...可及的速やかに行う必要があります」との書き出しで、政府担当者及び主要関係者宛に送られています。先生の許可を得て以下掲載します。感謝。:
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差出人: 福本勤
件名: セシウ 137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理について()
日時: 2011610 17:02:42:JST

セシウ ム 137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理について(3)

 福島県内の放射性物質に汚染された可燃性廃棄物については、結局 先ずは焼却処理実験を、大きくは次の1と2の場合に分けて可及的速やかに行う必要があります。何れの場合もゼオライト吸着塔の性能、吸着効率が、① 乾式の場合、② 湿式の場合、どの程度であるかが 重要な問題になります。これに関するデータを、実験で可及的速やかに採らなければなりません。

1.排ガス処理用のバグフィルターが付設されている既存施設を用いて焼却処理を行う場合

 セシウ  137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物を既存施設を用いて実際に焼却処理し、バグフィルター通過前と通過後の排ガス中の 137Csの放射性物質の濃度を実測します。

a 通過後の排ガス中の 137Csの濃度が、0~無視小Dngであった場合
 
 既存施設を用いて焼却処理を行えばよいと思います。ここで、無視小Dngというのは、焼却処理を長期間続けても、137Csの大気中~環境中の濃度が現在の濃度よりも増えない濃度です。

b 通過後の排ガス中の 137Csの濃度がDngを超える濃度であった場合

 ① 排ガス一部を連続的に抜き取って、小型ゼオライト吸着塔を通して、ゼオライト吸着塔効率 及びゼオライト吸着塔通過後の排ガス中の 137Cs等の濃度が0~無視小Dngかどうかを調べます。排ガスの一部を抜き取らずに、ゼオライト吸着塔の吸着効率等を実測しようとすれば 大型ゼオライト吸着塔(実装置)を設置しなければならず これは高価になります。                            
  実験の結果、137Cs等の濃度(ガス状137Cs等の濃度+フューム状137Cs等の濃度)が0~無視小Dngであれば、既存施設バグフィルターの後にゼオライト吸着塔を設置した既存施設を用いて焼却処理を行います。

 ② 実験の結果、137Cs等の濃度(ガス状137Cs等の濃度+フューム状137Cs等の濃度)Dn以上になれば、この排ガス処理設備を用いる限り、137Cs等の大気中~環境中の濃度がどんどん増えていくことになりますので(1)バグフィルター前の排ガス全部を湿式洗浄(後記ご参照)するか、又は(2)バグフィルター通過後の排ガス全部を湿式洗浄(後記ご参照)します。   (1)、(2)の何れかの選定は、実験結果やコスト試算結果を考慮して決めます。バグフィルターを使い続ける場合、フィルターのしばしばの交換の必要性(費用が掛かる)、使用中バグフィルターを頻繁に叩いて堆積ダストを落とす際の137Cs等を含むダストの飛散の問題等々を考慮して、(1)、(2)の何れかを選定します。 後記充填塔の煤塵負荷が大きくなることを考慮すると、バグフィルターは必要になるかもしれません。後記充填塔に流す水に捕捉される煤塵(飛灰)についてですが、捕捉煤塵の粘着性がどうか、サラサラしているかどうか、遠心分離機で効率的に分離出来るかどうかが、バグフィルターの必要、不要に大きく関わるものと思われます。推察するに、粘着性でなくて遠心分離機での分離理は困難でなく、バグフィルターは不要になるかもしれません。

2.排ガス全部を湿式洗浄する場合

2a  ① バグフィルターの後に吸着塔を設置しても、バグフィルター&吸着塔通過後の排ガス中 137Cs等の濃度が無視小Dngを超える場合の、排ガス全部の湿式洗浄

 ② 新設焼却施設(バグフィルターは必要に応じて付設。必要不要は、捕捉煤塵の湿式状態での粘着性、サラサラ性が大きく関わる)の排ガス全部の湿式洗浄

 1の実験や検討の結果を考慮して 湿式洗浄がよい(必要)ということになれば、排ガス全部を湿式洗浄します(新設焼却施設の場合、バグフィルターは必要に応じて設置[上記])
                  
 この場合、例えば充填塔を2基 直列に設置します。 第1基目で 137Cs等を循環冷却水(吸収液)に溶解(吸収)て濃縮し、137Cs等の濃度が高くなった濃縮液の一部を連続的に抜き出して、ゼオライト吸着塔【仏アレバ[フランス原子力大手アレバAREVA)]製。ゼオライトの表面の微細な孔にセシウムやストロンチウムを吸着させる。】に供給して 137Cs等を吸着除去します(137Cs等の濃度が無視小になるまで)。                                    
 第1基目吸着塔からのミスト同伴の排ガス全部を 新たな水が供給される第2基目の充填塔に通して、排ガ中に残存の137Cs等とミストを、除去します。 第2基目の充填塔からの水蒸気とミストを含んだ排ガスは、ミストセパレーター(キャッチャー、エリミネーター)でミスト除去後、白煙が排出しない温度まで加熱して、煙突から排出します。第2基目の充填塔で 137Cs等の濃度が幾らか上がった循環冷却水(吸収液)の一部は 第1基目の充填塔に供給します。              
 第1基目充填塔、 第2基目充填塔、ミストセパレーター、煙突、ゼオライト吸着塔を含む系からは、137Cs等の濃度が0~無視小の排ガスと水(液)が 環境中に排出されることになります。


セシウ  137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物焼却主灰のセメントコンクリート固化 或いは 硫黄コンクリート固化137Cs等の放射性物質で汚染された不燃性廃棄物・瓦礫の硫黄コンクリート製容器中での長期保管についての愚見は、「セシウ  137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理について()」に記載の愚見と同じです。
 取り急ぎ更なる検討結果を纏めて送信する次第です。                              
 以上何卒宜しくお願い申し上げます。

 2011年6月10日 福 本  勤

()環境技術実践機構 理事
環境保全工学研究所 代表
中国 清華大学  客員教授
京大工博  福  本     
環境保全工学研究所
658-0001神戸市東灘区森北町4-15-16 
TEL078-411-9606
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