2011年6月12日日曜日

「ごみ焼却は高い財政負担がかかるーー政官業の談合構造」〜青木泰著「プラスチックごみは燃やしてよいのか」233-235pp

2.ごみ焼却は高い財政負担がかかる
ーー政官業の談合構造
廃プラ焼却の問題を考える時、ごみの焼却がそもそもどのような問題をもっているのかを見てみたい。
(1)過大な焼却施設を建設する仕組み
なぜ各地で自分の自治体が処理する以上の焼却施設が建設されるのだろうか。議会や周辺住民を納得させる(偽る?)仕組みは、第四章四で書いた通り、
① ごみの処理量の予測値を過大に予測
② 予備炉を1.5倍や2倍に建設
ということだが、行政は、過大な施設を作れば、道路やその他の公共施設の例に漏れず、財政負担で縛られることになる。では、なぜそのようなことが行われるのか。
(2)特定の焼却炉メーカーによる寡占状態
日本におけるごみの焼却炉建設は、大手の焼却炉メーカーによる寡占状態にある。東京都の指名業者から出発し、全国の自治体の指名業者に参入し、場所によっては、旧来の業者との死闘を経ながら、市場勢力を拡大してきた。これらの業者は、焼却炉シンジケートと業界内では呼ばれ、その中心となってきた日立造船がまとめ役となって、全国をほぼ支配してきた。
これらの業者は、ダイオキシン問題に対しても、影では「ダイオキシン景気」といって寡占化のチャンスと捉えていた。
環境省(当事の厚生省)が、ダイオキシン対策のためには、焼却炉を高温領域で連続稼働する必要がある、そのためには、広域からごみを集め、連続的にごみ処理をする必要という「広域化」「連続化」「大型化」の方針を打ち出したこともあり、国の方針の下、日量100トン以上の大型の焼却炉の建設実績があるとして、各自治体に販路を広げた。
そうした中で1999年、公正取引委員会(公取委)が大手5社による焼却炉建設での談合を摘発し(読売新聞9989日)、公取委の排除勧告・各地での賠償訴訟での支払決定後も、同様の体制が続いている。
またその前年、朝日新聞(98111日)、では焼却炉メーカーに東京都幹部職員が天下っていたことを報じた。その結果、次のことが分かった。

① 焼却炉の建設に伴う費用は、次のような問題を持っていた。
・炉体本体の国際価格と国内価格は、2~3倍違う。
・日量のごみ処理量、1トン当たり約5,000万円(または1億円)という値段から、他の産業では規模によるコスト効果があり、このような値段づけは考えられない。
・生ごみ堆肥化の施設の場合、数分の一から10分の一の費用で済む。
② 一度自治体に入った指名業者は、次の(15~20年後)入札の時にも同じ自治体だ落札する仕組みとなっていて、この談合構造はほとんどチェックされていない。
③ 焼却炉の運転や維持管理もほとんど焼却炉の関連のサービスメーカーが運転管理を引き受け、さらに焼却炉の定期点検の補修も同じメーカーや関連メーカーが行っている。
こうした結果、たとえば日量100トンのごみを燃やす時には、日量150~200トン以上の能力を持った焼却炉を建設し、その費用に75億~100億円、20年間の維持管理に建設費と同額の費用が使われ、ごみ焼却は政・官・業の巨大な癒着構造の下に進められて来ている。処理コストからいっても決して安くはない。
従って、ごみを焼却して処理するというのは、環境や費用コストの天でも得策ではない。....
出典:「プラスチックごみは燃やしてよいのか」青木泰著、233-235pp
プラスチックごみは燃やしてよいのか―温暖化を進めるサーマルリサイクル

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2010年2月12日 ... 今週号の「週刊金曜日」に「ごみ焼却炉談合事件に正義のメスを」を書きました。皆様ぜひご覧ください。 1999年、公正取引委員会が大手焼却炉メーカ5社(日立造船、 三菱重工、タクマ、JFEエンジニアリング、川崎重工)に、排除勧告を ...
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    blog.goo.ne.jp/.../da7faa9b5d59834b00b6c4a7741381af - キャッシュ - 類似ページ


  2. 東京23区のごみ問題を考えるより以下転載

    http://blog.goo.ne.jp/wa8823/arcv


  3. http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col15266.htm [廃棄物処理施設..国から自治体への補助金及び地方交付税交付金の仕組み 青山貞一:事業総額100億円での公共事業で国庫補助が1 /2の公共事業、国が50億円地方自治体に補助..] webから


    1. http://www.yc.tcu.ac.jp/~kiyou/no5/P054-059.pdf [●青山貞一:廃棄物焼却主義の実証的研究~財政面からのアプローチから:国から地方に流れる焼却施設等への国庫補助金、特別地方交付金などの資金量とその流れのメカニズムを中心に..]







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