2011年6月24日金曜日

福本勤先生の経験〜ずさんな「ダイオキシン類発生防止等ガイドライン」の取り纏め、を含む〜旧厚生省と現環境省審議会、審査委員会のありよう




今、放射能汚染された瓦礫の焼却処理に関して、福本勤先生は政府関係者に対して提言されています。その内容を、先生の許可を得て、このブログでも掲載しています。

以下は、今回の放射能汚染瓦礫の話ではないのですが、日本のゴミ処理行政の法改正、処理施設の許認可や審査に関係する旧厚生省や環境省の審議会や審査委員のずさんさについて、福本先生が経験されたことを、ご自分のホームページに書かれたものです。問題の多かった"「ダイオキシン類発生防止等ガイドライン」の取り纏め"のいい加減さについても項目6.8で触れられており、興味深い内容です。
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6.6 福岡大学(環境省審議会委員、審査委員会委員でもある教授ら)が受託研究費を食い物に
九州のE社(D社長)から、小型焼却炉TRD炉【韓国宋氏が平成12年日本特許取得。市販品。ウエステック等の展示会で展示】の改造(排ガス中のCO、ダイオキシン類等の濃度を基準値未満にする為の改造等)と大型化への協力を、筆者は依頼されました。しかし、炉の形式から判断して短期間、低コスト、神戸からの遠路出張での改造は困難・無理と思われたので、協力を辞退させて戴きました。 仕方なく(かどうかは確かでありませんが)、D社長は、福岡大学資源循環・環境制御システム研究所【花嶋正孝所長(TRD炉研究会会長。廃棄物学会会長。中央環境審議会委員・部会長)、長田純夫教授】に依頼し、福岡大学(山下宏幸学長)はE社と受託研究契約を締結しました【200141日。E社が支払った研究経費1,200万円、試験設備費3,000万円、諸経費3,000万円】。しかし、受託研究報告書の内容は大変お粗末で、TRD炉改造の目的・約束は全く果たされていませんでした。福岡大学教育・研究者らは、零細企業のE社のD社長が苦心・借金して支払った7,200万円を食い物にした観があります。温厚な紳士であるD社長は怒って、ある時点で委託(受託)研究の中止と委託費の返還を求めました(400万円返還されたとか)

6.7 審査委員会委員(一部は中央環境審議会委員でもある)のずさん審査の一例
以上のみならず、今度は、上記TRD炉研究会のメンバーである長崎大学武政剛弘教授、石橋康弘氏らが、同じ市販品のTRD炉について、「新燃焼方式によるダイオキシンフリーの小型焼却炉の開発」とのテーマで、水蒸気注入、旋回流、耐火物フリー(不使用)の新燃焼方式炉と称して、環境省の200220032004年度廃棄物処理対策研究推進事業補助金を申請し、4,8005,000万円の補助金を交付されました。
  
上記の環境省審査委員会には、焼却炉に詳しい筈の5名【廃棄物学会会長の田中 勝、花嶋正孝(この2名は  中央環境審議会委員)、平岡正勝、藤田賢二(焼却炉の専門家でない。筆者の畏友の同期生)4氏と2009年賀状記載のずさん審査専門家占部武生氏】が含まれていて、同委員らは水蒸気注入、旋回流、耐火物フリーは従来技術で新燃焼方式炉でなく、しかも市販品なので、この開発は補助金交付に到底該当しないことが、容易に分かる筈なのですが、いい加減、ずさん審査をして、国家予算の無駄遣いになる補助金交付を決めました。この研究の成果発表内容は、惨憺たるものでした。ダイオキシンフリー(ゼロ)を謳い文句にしながら、2003年の成果発表会では肝心のダイオキシン類濃度の報告がなく、CO濃度は2001,200ppmもありました【概して、燃焼状態が良い(悪い)ほど CO濃度が低く(高く)、ダイオキシン類濃度は低く(高く)なる。CO濃度基準値は100ppm】。
  
中央環境審議会委員には、上記2名以外に、上記の項の資料(4頁論文)項の2009年賀状に記載の極めてずさんな審査をした専門家委員会代表(武田信夫廃棄物学会会長)も含まれています。 かかる類いの人物数名もが国の環境行政の方針を審議する委員であることを 憂えざるを得ません。この数名も、筆者の狭い活動分野の中で、偶々ぶっつかった件(依頼された仕事)の中で現れた人物であり、筆者の知らない他の多くの分野の中にも、かかる類いの人物が多くいるのではないかと類推され、案じられます。

6.8 ずさん検討会による問題ある「ダイオキシン類発生防止等ガイドライン」の取り纏め-資源・エネルギー浪費に繋がる構造基準は不要
かかる人物が数人含まれるダイオキシン類削減対策検討会によって、問題のずさん「ダイオキシン類発生防止等ガイドライン」が、取り纏められました(平成9年1)。   このガイドラインは、資源・エネルギー、税金の浪費・無駄遣いに繋がっている平成9年8月29日改正(121日施行)の廃棄物処理法令(焼却施設構造基準)のベースになりましたし、資源・エネルギー、税金の浪費・無駄遣いに繋がるごみのRDF1を推奨しました。 【1)RDFは単1~単4形乾電池形状のごみ圧縮固形化燃料ですが、ごみのRDF化は、資源・エネルギー、税金の浪費・無駄遣いに繋がると共に、RDFは筆者の経験から発酵したりして発熱、発火、発煙、爆発のリスクがあることから、筆者は当時 ごみのRDF化に猛反対しました。2003年には三重RDF発電所RDF貯蔵槽の大爆発死傷事故が起こりました。】    上記の焼却施設構造基準の改正では、800以上の燃焼ガスの燃焼室滞留時間は2秒以上と規定されましたが、筆者が強く主張した温度測定の細部規定が設けられなかった為、800以上の規定は形骸化しています。  上記の「2秒以上」の規定の為、燃焼室を無駄に大きくせざるを得ない場合が多くなり、その他の規定【(1)ダイオキシン類の余り出ない高性能焼却炉にまでバグフィルター等の高価排ガス処理設備付設の義務付け、(2)ガス化炉におけるダイオキシン類が生成しない熾き燃焼(無煙燃焼)時の助燃(灯油等使用)の義務付け等々】とも相俟って、資源・エネルギー、税金の浪費・無駄遣いに繋がっています。などの構造基準は不要で、排ガス中のダイオキシン類濃度等の規制(性能規制)だけで十分なのです。

6.9 ずさん委員会と環境省による全国小型炉調査結果に反する法令改正
上記のような類いの人物が含まれる小型焼却炉対策指針策定調査委員会(旧厚生省)は、 多額の国家予算を使って、全国131基の小型焼却炉の調査をして最終報告(平成12718)を纏めましたが、この最終報告結果(ダイオキシン類濃度と燃焼ガス温度とは相関が無い)等々)と正反対の結果になっている32基の小型焼却炉についての調査の中間報告結果(ダイオキシン類濃度と燃焼ガス温度とは相関が有る)等々)に基づいて、廃棄物処理法令(小型焼却設備構造基準)を、環境省(平成1316日設置)は改正しました(平成13326)
) 燃焼ガス温度が800以上(以下)になっても排ガス中のダイオキシン類濃度は減らない(増えない)ということ。 ) 燃焼ガス温度が高くなるほど 排ガス中のダイオキシン類濃度は低くなるということ。特に、「燃焼ガス温度が800以上になると、ダイオキシン類濃度が相当に低くなる」との結果が出れば、「燃焼ガス温度は800以上」と法規制すればよいのであるが、上記)の結果(燃焼ガス温度が800以上になっても排ガス中のダイオキシン類濃度は減らないとの結果)が出たので、この法規制は出来ない。にも拘らず環境省は強引に法規制(法改正)してしまった。】
  
筆者は田中 勝委員長に「最終報告結果に反する改正は出来ない。再調査してダイオキシン類濃度と燃焼ガス温度とは相関が有るの結果が出ない限り改正は出来ないの旨伝えましたところ、同委員長は了解。再調査の際は温度測定などの技術面でご協力願いますの旨の返事をしましたものの、環境省に伝わらなかったのか、その2ヶ月後に環境省が強引に改正しようとしましたので、部外者の筆者は意見書を環境省に提出しましたが、環境省は意味不明のことを言って最終調査結果無視の改正をしてしまいました(平成13326) これでは多額の国家予算を使って行った調査の意味が全くありません。環境省の強引改正にストップをかけられない杜撰(ずさん)委員会委員長と言われても仕方がないように思います。それどころか、環境省、6.10項記載 受託調査機関(日環衛セ)、田中委員長はぐるであったのかもしれません。

6.10 環境省調査受託機関の調査結果に反する学会発表
一方、6.9項の調査を旧厚生省から受託して調査した(財)日本環境衛生センター
(小林康彦理事長(問題の環境省審査委員会委員)。藤吉秀昭部長。河辺安男課長ら)は
最終報告結果と正反対の結果が出ていて全く無意味の(最終報告結果の事実に反する)
中間報告結果を、廃棄物学会で発表しました。 調査結果に反する環境省の強引法令改正
を正当化しようとしたのかもしれません。筆者は、同発表論文(ポスター発表)が偶々筆者
発表論文の次頁に掲載されていたので、同発表論文に気づきました。その時、筆者は
中間報告結果の存在を知らず、最終報告結果の存在のみしか知らなかったので、最終
報告結果と正反対のデータ(図)を見て、大講演会場での講演の冒頭で、「次頁の発表
論文に掲載のデータ(図)は改竄・捏造されています」と話しました。聴いていた
日環衛セの発表者は 反論しませんでしたし、直後のポスター発表会を欠席しました
(出席してポスターの説明・質疑応答が義務付けられているにも拘わらず)。
上記の事にも触れた2007年賀状を、小林理事長にも出したところ、 元日早々 小林さんから
「改竄・捏造はしていない」の旨の文句の電話が筆者に掛かってきました。「最終結果
を旧厚生省に報告せず、最終結果と正反対の結果を掲載した中間結果だけ旧厚生省に
報告して、最終結果と正反対の中間結果のデータだけ廃棄物学会で発表したのは、改竄
したのと同じですね」の旨の返事をしました。日環衛セは実際は最終結果も旧厚生省に
報告したものの、環境省が 日環衛セと示し合わせて 中間結果だけしか受け取っていな
いことにしたのかもしれませんし、上記(6.9項)のように3者はぐるであったのかも
知れません。【→】。それとも、このようなことは 霞ヶ関では朝飯前~日常茶飯事な
のでしょうか。霞ヶ関では、「行政の責任を追及するべく調べようとしたが、書類が
廃棄されていた」というようなことが時々起こっています。 薬害エイズ事件の場合、
旧厚生省が「存在しない」と主張していた筈のファイルが倉庫で発見されたことがあり
ますし、社会保険庁の杜撰な文書管理が 次から次へと明らかになりました。
【→面識のあった高野博師元環境副大臣から筆者に同調査結果報告書として送られて
きたのは、中間報告結果だけが載っている「小型廃棄物焼却炉対策指針策定調査報告書
(財)日本環境衛生センター」(全127頁)でした。】

6.11 文科省の反サステナ的なバイオマス活用(豚糞処理)への補助金交付
以上のような杜撰(ずさん)審査委員会の例は 環境省に限りません。これも、近年余り動いていない筆者が偶々ぶっつかられた例で、筆者を36年振りに訪ねてきた教え子(昭和44年九大卒)の話から始まりました。同君は、その時 次の創成事業(研究開発)への協力を筆者に頼みました。
  
それは、文部科学省の知的クラスター創成事業『都市エリア産学間連携促進事業-バイオマスの高度徹底活用による環境調和型産業の創出』で、これは 林地残材を多く排出する都城盆地で、 これら未利用木質バイオマス(主として間伐材)を有効活用して山村の活性化、持続可能な(サステナ的)林業経営を図る為に、間伐材等のエネルギーの徹底的活用を機軸とした豚糞焼却処理・木材乾燥システムを研究開発しようというものでした(宮崎大学、宮崎県木材利用技術センター、教え子の企業等の共同研究開発)。 しかし、この間伐材等と豚糞との混合焼却処理は、 従来技術で 十分対応出来る筈で、2、3億円もの補助金を貰って開発しなければならないような難しい技術ではありませんでした(補助金を貰う為に 素人には分かりにくい難しい反サステな的技術に 態々した観があります)
  
この研究開発の内容は、 間伐材等からの低品質木炭の製造技術の確立、低品質木炭と豚糞との混合焼却処理技術の開発(これが中心テーマ) 焼却発生エネルギー利用システムの開発等でした。 しかし、間伐材等を態々木炭にせずに、間伐材等の持つエネルギー全部を利用して豚糞を焼却処理すればよいのに(しかもそのほうが技術的に易しいのに)間伐材等を それが持つエネルギーの約2/3が減ってしまう木炭に態々し、エネルギーが約1/3に減ってしまった木炭で豚糞を焼却処理(反サステナ的焼却処理)する、しかも混合焼却が技術的に困難な木炭に態々して 豚糞と混合焼却処理する、これが この補助金研究開発なのでした。 因みに、 分解燃焼(有炎燃焼)する間伐材と豚糞との混合焼却処理は容易ですが、 熾き燃焼(表面燃焼、不均一燃焼、無炎燃焼)する木炭と豚糞との混合焼却処理は容易でありません。
  
この研究開発に着手する前に、 研究推進委員の1人の準大企業理事・開発部長の教え子が、上記の木炭と豚糞との混合焼却処理技術開発への協力を筆者に依頼してきた次第です。 しかし、 「このような反サステナ的焼却処理技術の開発には協力し難い。 上記の大部分(約2/3)のエネルギーの有効利用も含める技術の開発であれば協力させて貰います」の旨を伝ました。 この時、同君は、世間は狭いもので、6.6項で述べた小型焼却炉TRD炉を、焼却炉の一形式として採用することを検討したいとも言っていました。
  
清成忠男法政大学総長、鈴木基之国連大学副学長、末松安晴国立情報学研究所長等15名からなる文科省地域科学技術施策推進委員会は、どうして斯かる反サステナ的研究開発への補助金交付を決めたのでしょう。 杜撰審査をしたとしか言いようがありません。
ひとこと
拙文に対するご批判、ご反論、ご高説、ご忠言を歓迎します。
出来れば、ご氏名、ご所属、お電話番号等をご記載の上福本 勤宛にご連絡戴ければ幸甚です。


(財)環境技術実践機構 理事
環境保全工学研究所 代表
中国 清華大学  客員教授          
京大工博  福  本     勤 
環境保全工学研究所 〒658-0001神戸市東灘区
森北町4-15-16 TEL:078-411-9606

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