2011年6月30日木曜日

20110622 満田正さんの「福島原子炉包囲網日誌」6/22

From満田正 
日付2011年6月22日23:12
件名Re: [tamakannet:36] 福島原子炉包囲網(6/22)日誌

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H氏から、色々の情報が寄せられておりますが、中々批判というところまで行かない。それらを批判的に理解しようとすれば、無限の作業が必要です。何とかならないものかと、悶々としているのですが、今日は試みに、風評被害について、挑戦してみようと思う。

H殿
内部被爆(体内被曝)、外部被爆の違いについては、一見明確なようで、実は最も難しい問題のようです。
内部被爆量が、シーベルトでなく、ベクレルを使わざるを得ないことも問題ですが、それは、食物摂取から、起きるもので、我々は食物については、質量共に余りに個体差が多く、マスメディアが一律に被害をクローズアップするところから風評被害が生じます。
以下は貴殿が紹介してくれた、Niftyニュース週間朝日2011/6/10記載)は風評被害の典型例ですが、この数行だけでも大問題で、大変な作業ですが、一応詳しく解説して見たいと思います。
記事内容は、琉球大学の矢ケ崎克馬・名誉教授(物性物理学)の発言で「内部被曝の恐ろしさは、1千万分の1グラムのヨウ素131が体内に8日間とどまっていた場合、1シーベルト被曝した計算になるほどなのです」というものです。
この記事内容で1千万分の1の単位がまずは問題で、例えば、われわれがほうれん草を摂取した場合には、1回に100gも食べないのですが、その中に含まれるミネラル量は、それでもμg単位で、100万分の1gですが、1千万分の1は更にそれを10等分したものです。これをほうれん草の摂取量に換算しなければならないのですが、これが難しい。
この単位を直感的にしろ、理解する人は皆無であると思います。
これが8日間体内に留まるという算定は、ヨウソ131が半減期を迎える8日間を目安としたものでしょうが、半減期といっても放射能が半減することであって、全然なくなるわけではない。そして、放射能は、それ以降、前8日間よりはゆっくりと減少するわけです。従って、一旦体内に吸収されたヨウソ131を半減期という概念で捉えることよりは、体内での新陳代謝がどの程度の速度であるかを目安とした方が良いわけです。
新陳代謝というと、人間の骨は3年で入れ替わります。骨はカルシューム等軽金属から形成されますが、カドミューム、水銀など重金属も吸収しやすく、公害問題でも騒がれています。重金属と軽金属の中間にある、セシュームやヨウソは比較的骨に取り込まれ易いので、現在、原子炉から放出されて、内部被爆の原因となる放射性物質として恐れられています。
まずは、身体がどの程度のミネラルを受け付けるのかの算定です。
栄養食品コラーゲンは1日0.1~10gと制限されているようですが、これが骨の新陳代謝に補給されるカルシューム等の目安です。この栄養素は95%吸収されるようです。従って、1日に代謝される量は、コラーゲン量はこれを目安とします。そのうちのカルシューム成分が1/10ですので、0.01~1gが1日のカルシューム摂取量です。それ以外は体外排出されます。カルシュームに限らず、金属類はこうした新陳代謝を行っているわけで、それぞれに飽和量が設定されるはずです。
ただ、この飽和摂取量についてのデータは手元にありません。従って、身体中に存在するミネラル量で、飽和量を推測するしかないのです。カルシュームだったら、0.01から1gがその飽和量だと推測したわけです。
ヨウソ1千万分の1は人の体の飽和量でしょうか。これはいかに示す、人体中のミネラル量について、70kgの人体で1日摂取量が0.6であるとほぼ一致するデータです。
多量ミネラル:カルシューム:1050g:1日摂取量600mg
少量ミネラル:カリューム:140g:1日摂取量2~4000m
         ナトリューム:105g:1日摂取量3900mg
         マグネシューム:105g:1日摂取量300mg
微量ミネラル 鉄        :6g:1日摂取量10mg
         亜鉛      :2g:1日摂取量15mg
         マンガン    :0.1g:1日摂取量2.5~5.0mg
         銅        :0.08g:1日摂取量2~3mg
超微量ミネラル セレン    :12g:1日摂取量0.05~0.2mg
          モリブデン  :10g:1日摂取量0.15~0.5mg
          クロム    :2g:1日摂取量0.05~2.0mg
          コバルト   :1.5g:1日摂取量0.1~0.2mg
セシューム、ヨウソもモリブデンに近い原子量ですので、その性質が良く似ていることもあり、超微量ミネラルとして考えると、その飽和量はその1日摂取量0.15~0.5mgであると考えることもできます。
放射性物質としてのセシューム、ヨウソを1日0.15~0.5mg=0.00015~0.0005gの摂取量になります。放射能線量に換算すると、1500~5000Svになるわけですが、それでも人の身体はこの程度のセシューム、ヨウソは受け入れるであろうということです。所謂、1500~5000Svの致死量を遥かに超える放射性物質を人の身体は受け入れることが出来るということです。
あくまでもこれは推測です。
私たちがほうれん草を摂取すると、ミネラルによっては、吸収し易さや難さがあり、また個体差によってもその差が生じます。ほうれん草ゆで(可食部100g)に含まれるビタミン・ミネラルなどの構成成分は以下のようです。
    栄養素  量  単位
    ビタミンA  レチノール  0  μg
    α-カロテン  0  μg
    β-カロテン  5400  μg
    クリプトキサンチン  45  μg
    β-カロテン当量  5400  μg
    レチノール当量  450  μg
    ビタミンD  0  μg
    ビタミンE  α-トコフェロール  2.6  mg
    β-トコフェロール  0.2  mg
    γ-トコフェロール  0.3  mg
    δ-トコフェロール  0  mg
    ビタミンK  320  μg
    ビタミンB1  0.05  mg
    ビタミンB2  0.11  mg
    ナイアシン  0.3  mg
    ビタミンB6  0.08  mg
    ビタミンB12  0  μg
    葉酸  110  μg
    パントテン酸  0.13  mg
    ビタミンC  19  mg

    栄養素  量  単位
    ナトリウム  10  mg
    カリウム  490  mg
    カルシウム  69  mg
    マグネシウム  40  mg
    リン  43  mg
    鉄  0.9  mg
    亜鉛  0.7  mg
    銅  0.11  mg
    マンガン  0.33  mg
(他の食品と比較して多めに含まれている成分は太字で表示してます。)
※五訂増補食品成分表より

セシューム、ヨウソがカルシューム並にほうれん草に吸収されれるとして、ほうれん草の放射性濃度の測定を参考にします。
ちなみに、空間線量がわかれば、地表の汚染度が、1μSv/hの線量増加につき50万Bq/m2程度の放射性セシューム(Cs)の存在がある、というざっくりした予想が立ちます。これは日本分析センターの中庭での測定結果ら得られた結果のようです。因果関係から言うと、土中の放射性物質が空間線量を決めているわけで、気象条件、地形条件当無視すれば、この数値は使えます。

福島県環境放射線監視センターが3/19に発表したデータでは、以下の通りです。
高萩市 ねぎ          ヨウソ:201Bq/kg、セシューム:7Bq/kg 


     ほうれん草      ヨウソ:15020Bq/kg、セシューム:524Bq/kg
日立市 ねぎ          ヨウソ:497Bq/kg、セシューム:8Bq/kg
     ほうれん草      ヨウソ:14500Bq/kg、セシューム:359Bq/kg
常陸大田市 ねぎ       ヨウソ:114Bq/kg、セシューム:8Bq/kg
        ほうれん草   ヨウソ:8830Bq/kg、セシューム:374Bq/kg
常陸大宮市 ねぎ       ヨウソ:601Bq/kg、セシューム:5Bq/kg
太子町    ほうれん草   ヨウソ:6100Bq/kg、セシューム:478Bq/kg 


東海村 ねぎ          ヨウソ:686Bq/kg、セシューム:5Bq/kg
     ほうれん草      ヨウソ:9840Bq/kg、セシューム:233Bq/kg
ひたちなか市 ねぎ      ヨウソ:578Bq/kg、セシューム:8Bq/kg
         ほうれん草  ヨウソ:8420Bq/kg、セシューム:140Bq/kg
暫定規制値ヨウソ(I-131):2000Bq/kg、セシューム(CS-134,136,137):500Bq/kg

まずは、データはkg表示ですので、g表示に変換しますと、最も大きな放射線量は高萩市のほうれん草の1万5020Bq/kg=約15Bq/gです。これをほうれん草中の放射線量ですが、土中の放射線量に換算する場合には、土中からのミネラルを吸収するほうれん草のミネラル吸収率が必要ですが、吸収率を100%とします。
すると、ほうれん草100gが1Lの土から栽培されるとすると10cm×10cmでの放射線量が約100倍の1500Bq/平方cm=15万Bq/m2です。
これは、ほうれん草中の放射線量ですので、大気中の線量に換算するには、1μSv/hの線量増加につき50万Bq/m2であるとの日本分析センターでの測定結果を参照すると、高萩市の大気中の放射線量は、15万Bq/m2÷50Bq/m2ですので、高萩市の大気中の放射線量は、0.3μSv/hです。
0.3μSv/hは自然放射線量よりも大きいものの近い値です。
この値は問題にならないのです。
勿論、この測定値は規制値を遥かに超えるものばかりです。ほうれん草は出荷停止せざるを得ないのです。ほうれん草の放射汚染については多様な要因が働いているので、この議論はこれまでです。

ところが、このデーターを信用するとして、ヨウソ1千万分の1gとはどのような数値かを考えます。これは、1万分の1mgです。これをほうれん草の1日摂取量に換算すると、マンガン同等と考えて、ほうれん草100g当たり0.33mgですので、ほうれん草0.01g相当を摂食した数字です。これは全く現実でない数値です。
考えられるのは、チェルノブイリ原発で起きたホットスポットには、摂食ではなくても放射能物質が散らばっているというものです。埃を吸うだけで、1万分の1gのヨウソが体内に入ってくる可能性がある。
すなわち、チェルノブイリ原子炉事故では、成層圏にまで届いた放射線塵を人口雨で地表に落とす試みが為され、放射能物質の塊が、世界に飛び散ったと言われています。所謂、火山爆発yと同じような死の灰が世界に飛び散ったのです。福島原子炉では、メルトダウン、メルトスルーまで起きたものの、成層圏に届くような爆発は起きていません。勿論、その可能性は否定できませんが、現状は爆発はおきていないのです。
あたかもその爆発があったのかのごとく、記述は風評以外の何ものもありません。その可能性があるとしても、現在の状況はそれを指摘しても、何らの方針も出ないのです。
とにかく、チェルノブイリクラスの爆発は避けねばならない。チェルノブイリの数百倍と言われる核燃料棒の爆発は、とてつもない地球上の悲劇です。その阻止のために、多くの人々が頑張り、それではまだまだ微々たる努力、今こそ、あらゆる技能、知能、勇気を尽くして、福島原子炉停止、安定に向けて結集すべき時です
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