2011年7月19日火曜日

20110719 満田正さんの「福島原子炉包囲網日誌」7/15〜日本消費者連盟要請書、放射能の毒性、単位、他

From満田正 
日付2011年7月15日2:13
件名福島原子炉包囲網(7/15)日誌

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NPO法人日本消費者連盟では次のような要請書を政府に提出しています。
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10FSCW9
2010日消連第47
2011324
食品安全委員会
委員長 小泉直子様
要請書
食の安全・監視市民委員会
代表 神山美智子
特定非営利活動法人日本消費者連盟
代表運営委員 富山洋子
2011320日、厚生労働省から放射性物質についての食品衛生法上の指標値に関する諮問を受け、貴委員会は323日よりわずか1週間ほどで答申しようとしています。この問題は国民の健康に関わる重大なことがらであり、私たちは以下の点に留意して評価することを求めます。
1 放射性セシウム、放射性ヨウ素は発がん性があることを前提にすること。
2 体内被曝の長期的影響を考慮すること。
3 WHOの『非常事態及び災害における環境健康:実際的なガイド』(2003年)、コーデックスの『食料と飼料における汚染と毒素に関する一般基準』などを参考にすること。
4 飲料水については、『非常事態及び災害における環境健康:実際的なガイドライン』(2003年)を参考にすること。
5 母乳からの曝露も考慮すること。
6 水質汚染と食物連鎖による放射性物質の蓄積を考慮すること。
7 土壌汚染の状態を考慮すること。
8 今回の緊急事態における評価終了後も継続的に評価を実施すること。
なお、緊急事態であったとしても、本来であれば厚生労働省が317日付けで「放射性物質の指標値について」の暫定規制値を示す前に、食品安全委員会に諮問すべきだったのではないかと思われる。また、これまで放射性物質についての規制値が定められていなかったことは、貴委員会も反省すべきである。
以上
http://www.nishoren.org/statement/statement-contents/bunsho110324.html
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3月20日と言えば、まだ、福島第一原発の爆発が起きていない時であり、それを前提としての食品衛生上の指標値を設けるという極めて、意図的な政府の動きへの反応としては時期を得たものである
また、その後に発表された、日本消費者連盟副代表天笠啓祐氏真正面からとらえる放射汚染の影響(日本消費者連盟2011/4/7NO1483CRレポート)」も重要な視点である。
としても、このレポートへの疑問点については放置するわけには行かないので、二つ三つ記述する。
放射線についての4つの特徴①不透明性②毒性の処理困難③毒性の時間減衰④体内取り込みの4点を指摘されているのですが、
③の毒性の時間減衰は放射線量の減衰を意味するのでしょうか。放射能の減衰は放射線量の減衰ですが、毒性が弱まるという風に考えてはよくないのではないでしょうか。放射線量が弱まろうが、毒性は持ち続けるのですから、放射線量が減衰すると安心とする考えが出来ます。この考えは危険であると後で展開されているのではないでしょうか。核分裂は一旦始まると安定するまで、放射線を出し続ける。従って、核分裂はあってはならない。核分裂反応を人間が利用することは「パンドラの箱」を開けたようなもので、元へ戻せない。人々には、この現実を知ってもらうことが重要ではないでしょうか
④の体内取り込みは生命体が生命を維持するために多くのミネラル(鉱物)を取り込みますが、当然鉱物である放射線物質も取り込まれるわけで、そこから発生する放射線が身体に影響を与えるわけです。ところがいったん体内に取り込まれた放射線物質は、体内から排出されるには、身体の新陳代謝を待たねばならない。それは、身体の部位によっても新陳代謝の違いがあって、沢山蓄積される部位と比較的蓄積が少ない部分との違いが出てきます。従って、「いったん、体に取り込むと、体外に排出されず、影響が大幅に増幅されるます」という記述は明らかに間違いで、「いったん、体内に取り込むと、体外に排出されるまでには、時間を要し、重なれば、蓄積していきます。従って、影響が大幅に増強されますとするべきでしょう。
後の記述では物理的半減期に加えて生物的半減期も記述されていますので、放射線物質が体外に排出されないという記述は間違いです。以下、代表的な放射性物質の物理的半減期、生物的半減期の表非常に参考になります。

代表的な放射性物質の物理学的半減期・生物学的半減期
部位 物理学的半減期 生物学的半減期
コバルト60    全身 5.26年     9.5日
ストロンチューム90骨  28年      50年
ヨウ素131    甲状腺8日      138日
セシューム137  全身 30年      70日
プルトニューム239骨  2万4400年   198年 
この表から理解されることは、いったん体内に取り込むと、一生影響を受け続けるということです。福島第一原子炉の事故はそうした放射性物質を福島のみならず、日本中、地球上にばら撒くという犯罪性を帯びていることです
放射線には、これで安全というしきい値(閾値)の無いことは誰でもが知っていることです。そして、それが、政治の都合、実は企業の都合で決定されているという恐ろしさがあります。もっとも困るのは、そのしきい値が色々な単位で記述されることです。しきい値の話では放射線量の単位の問題を抜きにしては考えられません。
このレポートでは、各国際機関による集団的被爆線量100万人remによるがん死者の予想が次のように記述されています。

評価者                 がん死者
國際放射線影響科学委員会(1977年)   100人
全米科学アカデミー(1980年)      *500人
J・ゴフマン「放射線と健康(1981年)」 3333~255人
R・パーテル「放射線毒性辞典(1984年)」*369~823
註:*は被爆後11年~30年に限定したものです。

この表では、がん死者の予想が余りにまちまちであるのにびっくりしますが、このremという単位にも注目する必要があります。私たちが、市販のガイガーカウンターで放射線量を測っているのはシーベルト時の単位で、時間当たりの放射線量を測っています。
実際にはシーベルト時の単位は現実に存在する放射線量としてはすぎるので、その100万分の1の単位マイクロシーベルト時(μSv)という単位を使います。実際の市販のガイガーカウンターもこのように表示してあります。
それでは、remとはどのような関係にあるのでしょうか。レポートで示された単位比較表ではrem=1/100Sv=10mSv=10000μSvと示されています。市販のガイガーカウンターで測った放射線量の数値を1万倍すれば、remの単位だということです。0.1μSv=1000remす。
従って、100万人remとは0.1μSvの放射線量で10億人が被爆した場合に相当する、10億人0.1μSvとなります。
この関係で、ガイガーカウンターで測っていく数値で比較していくと、表で示された100万人当たりのがん死者の100μSvの被爆に匹敵するわけで、現状では、福島第一原子炉極周辺では、100μSv程度の放射線量が測定されているのですから、100万人に対して、最低100人~最大4255人の死者が出ることになります。100万人という数値は大きいようですが、そうではありません。作業者500人が、現在週交替で作業し42年繰り返すと、500人×4週/月×12ヶ月×42年=100.8万人になります。実際に福島第一原子炉の冷却を続けるには当面これだけの人数と期間が必要なわけです。そしてその中から、最低100人~最大4255人の死者が出という予想がされるのです。
私たちは、福島第一原子炉事故以前にも広島・長崎原爆投下、クリスマス島核実験、ビキニ島核実験、チェルノブイリ原発暴発事故、スリーマイル島原発暴発事故と、多くの被爆社会経験を経て今日に到っています。蓄積された放射能被爆・障害データは膨大なものです。将来の子孫のためにもこのような貴重なデータを整理し、我々の命を守ると同時に将来を担う子供達へと伝えていかねばなりません。
このレポートでは、急性放射線障害と晩発性放射線障害が記述されています。放射線被爆は、直接火傷を除くと総て晩発性放射線障害であると考えてよいように思います。むしろ、急性放射線障害と晩発性放射線障害を分けるよりは、直接被爆と内部被爆(間接被爆)としての識別が必要であると思います内部被爆は、生命体が摂取する食物と食物連鎖、呼吸活動に依拠するものです。
人々は食物連鎖、呼吸活動を抜きには生きていけないのですから、大気と土、水、空気を広範囲に放射能汚染を拡大する福島原子炉の犯罪性は、言語を絶するものです。その意味で、消費者サイドからの本レポートの大切さが、改めて認識されます。天笠啓祐さんには改めて、感謝の意を表したいと思います。
満田

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