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K殿
先日の低炭素化研究会は楽しく過ごさせて頂きました。
若いメンバーなので、福島原子炉包囲網については、厳しいところもありますが、逐次理解して頂ければと思います。
それに既に東北に目を向けて居られる御仁も多く、是非連携をして行きたいと思います。ここでは、社団法人低炭素化社会研究会の面 々を対象とした「たまかんねっと福島包囲網(6/26)」日誌の ための原稿を書いておきます。
さて、その連携の問題ですが、2つの流れが考えられます。
1つは、災害地のボランティアです。
災害地には未だに復興が進んでいませんが、例えば、廃棄物量が23年分貯まっているようです。産業廃棄物(17年度4. 2億トン強)+一般廃棄物(17年度0.5億トン強)です。ごみ 処理事業費用産業廃棄物では1兆9024億円、一般廃棄物では1 0円/kgですので、が、これが1年度分というと、0. 5億トン/年×1万円/トン=5000億円/年で、 年間2兆4千億円もの費用が必要です。これを23年分だとすると 、55.2兆円もの費用が新たに必要となります。
この膨大な廃棄物量を通常の手段では処理不能です。しかもこの廃棄物は、宮城、岩手、福島に限られていて、放射線被害を蒙ってい て、今後更に蒙る地域です。放射線物質の処理は、 現状では殆んど目処が立っていませんが、処理するとしても、 従来の廃棄物処理と同等とは行きません。むしろ、 その処理方法が不透明ですので、費用は無尽蔵であると考えられま す。
現在、放射能冷却廃水処理費用が、アメリカ企業、フランス企業にお願いし、数千億円での費用が使われています。排水処理すらこの 費用で、しかもその冷却停止は予想できない訳ですから、延々と嵩 んでいくわけです。
私たちは、この東日本大震災が齎した、災害の規模が国家予算では勘定できないところに来ていることを理解しなければならないと思 います。
その上に、私たちの生命は放射能で脅かされ続けます。現在は、避難地域が20km圏内に限られているわけですが、徐々にこの避難 地域が拡大せざるを得ないと思います。
先日の「たまかんねっと福島包囲網(6/22)日誌では、福島県知事佐藤雄平が政府に頼み込んで、年間被爆量を20mSv以内に して欲しいとお願いしたという情報をお伝えしましたが、 このレベルでは、福島県全域が避難対象に成りかねないという事態 を迎えようとしています。
問題はこのように閾値(しきい値)を決めることではなくて、まずは正確な福島県全域の測定値、福島の人々の総てのホールボディカ ウンターで被爆量を正確に測定することです。その結果、放射線値 の高いところでは直ちに避難勧告、被爆量の大きな人も直ちに退去 を強制する必要があります。
その時の目安となるものは、年間被爆量ではなくて、放射線瞬間被爆による、発病可能性を目安とするべきです。そのためには、 日本では、広島、長崎、クリスマス島実験と膨大な被爆者数を抱え ており、その症例に事欠かないわけですから、その情報の公開、そ の評価を人々に委ねる方法で提示するべきです。
既に、この日誌でも、大まかなところでの発病データを提示しています。
その1つに1mSv被爆するとがん発病率1万人に1人起きます。これは、0.1μSvを年間受け続けるとこの1万人に1人はがん になるということです。ところが、もっとも死亡率の高い肺がんで の年間死亡率は1万人に6人ですので、 この数字が問題になるかどうかは本人次第です。これを福島県では 、20mSvを閾値としたいと訴えたわけですが、これだと、1万 人に20人のがん患者が出ても仕方ないという方針です。これにつ いても評価は分かれますがあくまでも人々が独自に判断すべきこと です。
人々は、放射線量とこの発病率とを比較しながら判断していくことになります。所謂分らないでは済まされない時代に入ったのです。 嫌が上でも自らの判断を迫られる時代に入ったのです。放射線量に しても、発病率にしても大まかには人々は知ることができます。人 々は自らが認識し、自らが判断するという姿勢が必要です。
これを今までのように政府発表、学者発表で判断する姿勢はもっとも危険であることを認識すべきです。勿論、 仲間との協議も必要です。また、避難するにしても、しないにして も、仲間との連携が必要です。これは福島県人だけの問題ではない ことを理解すべきです。これは、日本人、地球人の問題です。
まずは、この災難が永遠に続けば、人類の生存に関わります。最優先すべきは原子炉安定停止です。その為には、危険を冒しつつもそ の作業は続けなければなりません。そのための人材は限りなく必要 です。原子力技術者、排水処理技術者、 それに廃棄物処理技術者がまずは、原子炉を包囲しつつ、原子炉・ 安定化停止作業を行わなければなりません。
それは今からどの規模の人数かを算出はできません。
現在、現場に数百名の作業員が滞在しています。彼らの状況を考えると、1日交替が理想的です。とすると、この作業が30年間続く としても、数百名×365日×30年=延べ約110万人の人が必 要になります。勿論、これは現場での作業です。その為にはそれを 支える人々が10倍必要です。すなわち延べ人数にしても、日本の 人口の1割ぐらいの人々が原子炉安定化停止作業に必要なわけです 。
しかもこの人々は上記に示した放射能による発病の危険を冒す人々です。
これは、日本人が果たすべき最低限の行動です。そうしなければ、地球・人類の忌々しき将来が予想されるからです。
日本人にとっては、廃棄物処理は欠かせません。
ただ、これはお金で済む問題とそうでない問題があります。
原子炉100km圏内での放射線に汚染された廃棄物は、処理することは当面できない。少なくとも除線作業が必要です。私の福島原 子炉包囲網の1つにこの汚染された、廃棄物の即時の除去がありま す。放射線濃度は高まる傾向にありますが、現状ではまだ充分除去 作業が可能です。そのために、包囲網の1つにこれらの廃棄物処理 があるのです。ここには、勇気ある人々の結集が必要です。
当面100km以遠については、日本中のボランティアの出動が可能です。
国家年間予算の半分にも達する廃棄物処理はボランティアによる作業に依存するしかないと考えるからです。この時に、アメリカ、フ ランスの廃水処理業者ではないですが、この機会にぼろもうけを企 む業者の登場の可能性は多々あります。これらについては彼らに必 要以上の経費を払わないというボランティア集団が監視する体制が 必要です。
私たちが担うべきボランティアの最大の問題は避難民の受け入れです。最終的に100km圏内の人々をそれ以遠の人々が受け入れる 準備が必要です。特に、55歳未満、病人・障害者の避難が欠かせ ません。
宮城県、岩手県、秋田県、福島県、山形県の総人口は800万人弱です。そのうちの60歳以下人口約470万人は優先的に避難場所 、少なくとも働く場所の確保を含めて、 準備しなければなりません。
以上、ボランティア二つの流れを提示しました。
老若男女誰もが、この2つの流れに沿った行動が起せるものと判断します。
満田
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