差出人: 青木泰
日時: 2012年6月15日 13:41:20:JST
皆様へ
3点のお知らせです。
1 政府交渉ネット―環境省交渉に代え6月19日講演集会企画中
来る6月19日(火)、326政府交渉ネットによる第2回目の環境省交渉が予定されていましたが、(場所は衆議院第1議員会館多目的ホール。丸の内線「国会議事堂前」か有楽町線「永田町」)環境省が会期末を理由に断ってきたため、私たちでの講演集会を準備中です。参加希望書は、3・26政府交渉ネットにご予約ください。
326の環境省交渉のあと、震災がれき問題は大きく動きました。被災地のがれきの総量が下方修正され、次は被災地でのがれきの処理方法も自区内処理を基本に見直しの段階に来ています。そうした中で、今後を展望して行きたいと思います。
1) 広域化の実態が明らかになり、見直しが開始された。
環境省の震災がれき広域化政策が、音を立てて崩れつつある。
広域化処理は列島を汚染し、被災地や汚染地から避難してきた子供やお母さんたちを追いかける非情な政策であるという事実が、世論を占めるようになって来た。
1月~2月にかけて政府は博報堂を使って大宣伝を行い、復興の遅れは、がれきの受け入れが進んでいないからとした。国や被災県の責任を棚上げにし、被災地との絆を考えて受入れが必要だと大キャンペーンを行ってきた。
しかし事実は、さまざまなメディア、インターネット、週刊誌、TVそして大メディアへと徐々に広まり、また多くの自治体から広域化への疑問が次々と出されてきた。
326の交渉を通して、環境省ががれきの処理に1兆円の予算を組んでいることや、被災地での処理コストで言うと、当初の2250万トンを処理しても、約5000億円弱しかかからないことが分かり、広域化のために、約2倍も費用をかけようとしている実態が明らかになった。被災地の復興を真剣に考えるなら、広域にかける5000億円を被災者の避難や被災地への安全な食材の供給体制の確立に使う。誰が考えても広域化は、環境省の省益しか考えない、税金の無駄使いであることが分かってきた。(注1:朝日新聞「記者有論」)
また安全性に国は責任を持とうとせず、岩手県、宮城県が汚染されていたことに蓋をし、放射能汚染問題は㈰バグフィルターで99.99%除去できるという架空の主張を行い、㈪震災がれきについては、規制基準を80倍緩める8000Bq/kg処置で乗り切ろうとしてきた。
こうした環境省の広域化に、新潟県や徳島県、札幌市を始め、多くの自治体から広域化に対しての批判の声が上がり始め、広域化の見直しが不可避の選択となった。
2) 首の皮一枚の広域化
宮城県が5月21日これまでのがれき発生量1570万トンを約420万トン下方修正し、約1150万トンにすると発表した。量が減ったのは、倒壊家屋の柱などが、津波で沖に流されたせいなどと発表されている。そうすると減量されたのは、可燃ごみが中心になる。しかも宮城県、岩手県を含めて31基の仮設焼却炉が建設過程にあり、青山貞一氏や奈須りえ氏の共同調査チームは「がれき広域処理の合理的根拠なし」と下記に記載している。
がれき広域処理の合理的根拠なし 合同調査チーム緊急速報
http://eritokyo.jp/independent/aoyama-democ1525..html
青山貞一・池田こみち・鷹取敦・奈須りえ
掲載月日:2012年6月3日、 6月6日改訂
(ここでの数値は、市町村の処理分を除いた宮城県の受託量)
実際東京都では、当初10万トンを女川町から受け入れ、来年3月までに処理を済ませる計画にしていたが、その量を6.1万トンに下方修正した。本来なら宮城県によるがれきの総量の大幅な下方修正を受け、東京への広域化自体の見直しも打診しなければならないのに、見直し前の受入れ協定は手をつけず、それでも6.1万トンに下方修正せざるを得なかったという。
しかしがれきの総量が、大幅に見直しされた現状を考え、しかも見直し以前の計算でがれきの仮設焼却炉の建設が行われているとしたら、広域化を断念しなければ、きな臭い臭いが漂ってくることになる。
たとえば、がれきの仮設焼却炉は、日量4700トンのごみの処理ができ、これは年間で約150万トン処理、3年間で450万トンもの量になる。仮設焼却炉建設は、がれきの総量の見直し(12年5月21日)前に計画し、総量が下方修正された中では、たとえ一度は、広域化に予定していた分があっても、それは取り消して、仮設焼却炉を使って、自区内的に処理するということが必要だ。そうでなければ、広域化という無駄遣いと、過大な焼却炉建設という無駄遣いの2重の投資になり、過大な予測をした責任は免れない。
一方岩手県は、反対にがれき量が多くなったということだが、この話は、そのまま信じることができず、検証が必要である。行政がよくやるアドバルーン情報である可能性が高い。広域化を進めようとしていた環境省にとって、宮城県が下方修正した上に岩手県まで下方修正されれば、広域化は一貫の終わりになる。そんなときに宮城県で少なくなった分を“補填”するように岩手県が増量されれば、広域化は首の皮が繋がる都合がよい話である。
しかし科学の世界から言えば、宮城県の下方修正分が、津波によって、太平洋に運ばれたためとするなら、なぜ岩手県はその現象から免れたのかを説明する必要がある。それとも宮城県から太平洋に流れたがれきが、岩手県に流れ着いたとでも言う漫画的な事態が起きたとでも説明するのだろうか?泥がついて増量されたということだが、ではなぜ宮城県のがれきは、泥つきから免れたのか?
泥つきのまま、焼却するわけでなく、まるで商品の内容物を多く見せるために、底上げして包装したインチキ商法に似た泥つき論である。
3) がれきの過大な予測の責任
がれきの処理の推計であるが、独自にがれきの処理に入った仙台市の場合、がれきの総量を135万トン、仙台市のごみ量の4~5年分と推計し、その推計は間違ってなかったという。津波や震災によってどれだけのがれきが発生するかを専門とする学者もいる。なぜ環境省は推計を間違ったのか?
推計の間違いは次のように税の無駄遣いに影響を与える。
石巻市のがれき(女川町、東松島市も加え)680万トンは、すでに鹿島JV(共同事業体)によって約2000億円で落札されている。ところが石巻のがれきは、約170万トン下方修正された。一度契約した金額が、修正されないとしたら鹿島JVにとっては、少なくなった分の工事費、約500億円は、何もしないで入手できることになる。
北九州市は、今回の総量見直し後も、石巻市から北九州に木屑28万トンの処理を委託されていると発表し、6月12日には、北九州市長が宮城県を訪れ、県知事と石巻市長から改めて依頼を受けている。しかし、そんながれきがあるのか?あれば、鹿島JVにやらせれば「契約」の中でやらせることが可能だ。もう広域化で他所に持ってゆく余裕はない。それを北九州に持ってゆけば、二重にその分金を使うことになり、それらは国税から支払われる。
細野環境大臣か環境省の事務次官が責任を取らなければならないような間違いである。(細野環境大臣は選出基盤である静岡県の各市での受入れに熱心だが、選挙に備え、広域化で地元に金を落とす考えならば、大臣の首だけではすまない問題となる。)
客観的に正しく判断できる第三者的な専門家が入って、総量と今後の処理方法の見直しが不可欠だ。
4)今後の問題
㈰ 被災地での広域化—総量と自区内処理の実態の点検
がれきの広域化処理は、来るところまで来たという感がある。総量のずさんな予測は、大きな焼却炉を建設するために、ごみ量を過大に予測したり、必要ない道路や空港を建設するために、使用者数の予測を水増しするやり方と同じではないかと考える。
311の後だったので、まさかと思ったが、事実が明らかになるにつれ、どうもそのような気配が漂ってきた。
一方、岩手県の場合、全体で50万トン増えているが、あの陸前高田市が、100万トンから5割も増やし、増量修正されている。なぜか?陸前高田のがれきは、大船渡市にあるセメント会社に持って行って処理するということだが、がれきの処理費は、国税からまかなわれることを忘れては困る。
環境省の広域化を問い直し、税金の垂れ流しを断念させる。次の環境省交渉の大きなテーマとなる。
㈪ 埋め立て処分場問題の点検
放射性物質は、焼却したとき、煙突から空気中に放出されると同時に、焼却灰に濃縮される。焼却場周辺に加え、焼却灰を埋め立て処分する最終処分場の汚染問題が、環境問題として大きく問題となり、各地での受入れの隘路になっている。
神奈川県の場合も、政令指定都市3市(横浜市、相模原市、川崎市)は、がれきの焼却を引き受けるとした。しかし焼却灰の埋め立て処分場に予定されていた横須賀市の「芦名」の周辺自治会の反対で、神奈川県は受入れを断念した。
静岡県の場合も、島田市の桜井市長は、3月15日に受入れ表明をしたが、最終処分場の地権者や周辺のお茶農家が、震災瓦礫の受入れは、困るとしたため、受入れ自体は暗礁に乗り上げている。(http://gomigoshi.at.webry.info/theme/6046974267.html)
本来環境省は、こうした汚染の監視・チェック、公害監視が主要な仕事であったはずだ。ところが今回のがれき問題では、事業官庁として、広域化を進め、汚染がれきを「拡散」し、「焼却」「埋め立て」を進めてきた。彼らが出す見解は、いつも安全であり、「不検出」であった。試験焼却の適当さ、そして埋め立て処分場の管理点検問題。誰が、環境を守ってゆくのか?警察官が盗人になるような現状の環境行政に、私たちは、どう迫り、何を変えてゆくのか?今後に向けて準備してゆきたい。
㈫ 埋め立て処分から再生利用のチェックへと。
放射能汚染の恐れのある震災廃棄物の広域化は、総量の見直し、全国の自治体からの批判意見、そして埋め立て処分場の周辺住民や市民活動の結果、大きく行き詰まりを見せつつある。一方で見過ごしてならないのは、福島原発事故によって東日本中心に振り落ちた放射性物質に汚染され下水汚泥や草木ごみが、今もチェックを受けず、焼却され、それらが、エコセメントやセメント、そして路盤材として再生され、私たちの生活の中に入り、それらエコセメント工場や、セメント工場、灰溶融炉工場の周辺に環境被害をもたらす恐れが強まっていることだ。
この点についても環境省や都道府県、市町村に実態を明らかにし、対策対処の方法を問いただしてゆくことになる。
㈬ 拡散せず、焼却せず、希釈しない
結局放射性物質は、拡散せず、焼却せず、希釈しないという原則に戻ることになるが、被災地で発生した汚染物は、どうするかということも今後の大きな課題となる。
すでに、立川涼氏からも提案されているが、基準を設けた上で、基準を超える汚染物については、福島第1原発の周辺部に「処理・処分しないで」保管管理する。その上で宮脇氏が提案されている緑の防潮堤などの提案をどう進めてゆくかが、いよいよ課題になる。
2 北九州関係
1) 青木北九州講演会&記者会見(4月22日)
4月22日の北九州市での講演会もIWJのサイトにて掲載されております。
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/12454
2)北九州市 市民検討委員会&ピースフルウオーキング(5月21日)
㈰IWJ映像
【2012/5/21 前編】北九州市民らによる被災地がれき受け入れの「検討会」が開催される=有識者に山本太郎氏らが多数参加
http://blogs.yahoo.co.jp/xhhhn264/9442888.html
【2012/5/21 中編】山本太郎氏らが小倉の街をデモ行進=北九州市役所は大混乱に
http://blogs.yahoo.co.jp/xhhhn264/9442928.html
【2012/5/21 後編】がれき広域処理に関し北九州市環境局と市民代表10人が交渉=目立った進展は見られず
http://blogs.yahoo.co.jp/xhhhn264/9442986.html
㈪ 市民検討委員会 議事録
3) 漁協と使途の話し合い 5月30日
4) 北九州市タウンミーティング報告 (120606)—北九州河内、村上、斉藤報告
状況と結果報告。
細かいところは
↓
http://blogs.yahoo.co.jp/xhhhn264/9456029.html
http://togetter.com/li/316412
会場来られた方は市側500人予定のところ、1000人前後の市民が来場しました。
市側は、説明会開始前に会場のPM6時から市側が作成したがれきで「石巻市民ががれきで困っている。何とか助けて欲しい」旨の広報ビテオを何回も回していました。
このビデオは、http://www.myjcom.jp/tv/channel/kitakyushu/society/shinsaishien.htmlで見られます。
5)北九州市第2回市民検討委員会
【速報】6/10 震災がれき受入問題「第二回市民検討会」&「瓦礫を活かす森の長城プロジェクト」応援デモ
http://blogs.yahoo.co.jp/xhhhn264/9484233.html
【速報】北橋北九州市長出席・災害廃棄物(震災がれき)受入検討に関する地元説明会の映像
http://blogs.yahoo.co.jp/xhhhn264/9476563.html
3 その他
6月16日(土)東京文京区、文京区民センターでの講演会のお知らせ
「がれき問題の今」
発言者:青木泰
主催;福島原発事故緊急会議
時間:18時15分開始
場所:文京区民センター(都営三田線、大江戸線春日駅A2、丸の内線後楽園駅4b)
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