2011年12月5日月曜日

20111204 青木泰さんからのメール:「がれきは地元での処理とそれへの応援を」

青木泰さんから以下メールが届きました。青木さんに感謝:
ーーーーーーーーーーー
差出人:  青木泰
件名:   がれきの処理は、地元での処理とそれへの支援を
日時:   2011年12月4日 23:46:26:JST

皆様へ
 お世話様です。
 がれきの処理について、いろいろ話されていますが、少しメモを書きました。
添付の資料もご覧ください。
がれきは地元での処理とそれへの応援を 
がれきは東北被災3県で約2400万トン。福島県288万トン、岩手県499万トン、宮城県1595万トンで全国の一般ごみの1年分の約半分量であり、他府県での引き受け処理が当然のように話されている。
しかし本当だろうか?仙台市は震災直後から、がれきの処理に取り組み自前で完了させる目途をつけた。
仙台市も地震と津波の直撃を受け、死者704名、行方不明者26名の人的損害のほか建物被害として全壊と半壊を合わせて75,917棟の損害を受け、がれきの発生量は135万トンにも上った。年間のごみの総量37万トンの3.5倍にも上る大量のがれきである。
仙台市の環境局「震災廃棄物対策室」では、阪神淡路の震災復興に携わった職員の常駐(4ヶ月と聞く)による廃棄物処理の経験を聞き、倒壊事例からがれきの総量を推計する方法や、ごみの分別資源化に取り組んできた学者の参加も得て処理体制を整えた。(仙台市の事例報告廃棄物資源循環学会)
素早くがれきの総量を推計し、「現場で粗選別後、市内三箇所搬入場にて細分化を行い、出来るだけ資源化を行う。」と基本方針を据え、がれきの整理、仮説置き場の確保、処理施設の建設をおこない、最終処分場の確保に目途をつけた。
その際廃棄物関係の職員だけでなく、建設土木関係の職員の参加も得て、仮設置き場の設計や建設の進展を図って行った。役所はほとんどが事務機能ばかりであり、こうした災害に当たって、民間事業者の助けは不可欠である。しかし内部で企画した内容で民間業者に依頼するためには、設計図面を完成させて依頼するのが早道である。建設土木の専門職員の力を借りる態勢を作ったことは、現段階で目途をつけることのできた大きな要因となったことを担当者は話していた。
京都大学浅利美鈴助教などの助けも借り、地元での徹底的な分別資源化体制を築き、20143月までに処理を完了させる予定だ。(がれき処理戦略マニュアルー廃棄物資源循環学会)
がれき処理に限らずごみは排出元での徹底した分別資源化が、ごみの減量とその後の処理を楽にし、有害物の排出を抑える。がれきを地元で処理することなく遠くの他府県に送れば、必然的に混在は避けられず、分別資源化できるものも、ガス化溶融炉などでの焼却は避けられなくなる。
また今回は放射能汚染問題があり、地元で処理すれば汚染が高濃度に現れている地域とそうではない所のがれきの処理で安全対策上の区別をつけることができる。
一方宮城県や岩手県全域で見ると、確かにがれき処理が進んでいない自治体もある。しかし仙台市の事例は、震災を受けた被災地でも「人」「物」「金」「技術」「知恵」の5つの条件を整えれば自前の処理が可能であることを示した。
全国の自治体に求められているのは、がれきの受け入れではなく、まず被災地自治体の自前の処理の5つの条件を提供することである。「力のある自治体」は不要不急の予算を被災地に振り向け、大量の職員を送り、被災地の地元企業や民間活力と協力しながら復興の手助けをしたい。
<安全性の確認は必須事項>
被災地のがれき処理をより困難にしているのは、放射能汚染が福島以外にも広がったことと、国や環境省の国民の不安に向き合わない対応にある。
汚染がれきを全国に運んだ時、汚染を全国に広げることにならないかという疑問に環境省は、広域処理の方針を下ろさず、燃やしてよいがれきの基準も示していない。
その結果全国の自治体は、住民の不安に応えることのない環境省の提案に対し、ほとんどが受け入れ拒否を表明している。
安全性を無視し、かつ東北3県で進行している災害廃棄物処理の現状を無視し、がれきの受け入れが復興支援の唯一の道であるような訴えはやめてもらいたい。
追) 環境省は、経口でなくなぜ排泄物の管理を行うのか?
放射性物質や放射能汚染物という有害物の管理において、環境省は今も規制値として示しているのは、埋めた場合の規制値であるキログラムあたり8000ベクレルである。放射能汚染物の焼却の是非が問題になっているのに、どこまでなら燃やしてよいかという入り口の管理をせず、燃やした後の焼却灰、つまり出口の規制値で管理・規制している。おかしくはないか?
通常有毒物の規制に当たり、まずわれわれが注目するのは、その有毒物の許容濃度や、致死量、経口致死量である。もちろん入り口での規制管理が行われる。たとえば砒素では、1mg/m3が許容濃度であり、致死量は120mg(30mgで致死という話もある)
そのとき毒物の規制管理を、毒物を摂取した人の「排泄物」、ウンチや吐瀉物の規制値を設け、規制値以内かどうかを判断するという馬鹿馬鹿しい方法はとらない。
有害物含有の恐れのあるものを目の前にして、それがどれだけ含有しているかを調べ、経口して良いかどうかを判断する。まず有毒物の恐れのあるものを試食させ、排出されるウンチを調べた後では、死んでしまうかも知れない。
有毒物の管理で実際に行われていることを、今回の放射性物質の焼却に当たっての規制・管理では行っていない。これから焼却するものに、規制値を設けず、焼却炉のウンチである焼却灰を調べ焼却灰で管理すればよいという。焼却灰が規制値を超えていたときには、後の祭りであり、排ガスは周辺大気中に排出されてしまっている。
現在法制化を進める環境省は、まず現状の規制のあり方を見直し、すでに放射能汚染廃棄物の焼却を行っているすべての自治体も現状の焼却を見直すことが必要かと考える。
2011124日   青木泰

ーーーーーーーーーーーーーー
参考資料:

「仙台市の震災廃棄物の対応について」仙台市環境局震災廃棄物対策室 主幹 遠藤守也、第22回廃棄物資源循環学会研究発表会特別プログラム講演資料集、 29-36 pp、2011年11月3−5日

「ガレキ処理の現状と今後の課題 」千葉民和(株)エイト日本技術開発 地球環境エネルギー事業部 資源循環&エネルギーグループ 、東日本大震災被害調査報告 平成236月、99-103 pp 

ーーーーーーーーーーーーーー-

ーーーーーーーーーーーーーー
関係記事:
「放射能汚染災害廃棄物の焼却処理一放射性物賞を拡散する世界の非常識」20110614 環境ジャーナ... 

0 件のコメント:

コメントを投稿