2011年12月15日木曜日

20111214 満田正さんの「福島原子炉包囲網日誌」12/14〜放射性ガレキの処理、山本節子さんのコメントと満田さんの返事

From  満田正
日付  2011121418:46
件名  [tamakannet:112] Re: 放射性ガレキの処理

山本節子様
大切なコメントをありがとうございます。
「たまかんねっと」に記載させていただきます。
焼却炉推進派が、放射性瓦礫問題でますます元気になっておりますが、逆に福島原子炉問題が、除洗や瓦礫処理へと問題のすり替えさえ感じられるのですが、山本節子さんが仰るように原子炉は巨大な焼却炉、その飛灰、残渣についてようやく焦点が当たったようで、このどでかい発電を伴うウラン・プルトニューム焼却原子炉について、速やかに反対勢力の戦線の統一が必要のようです。
そして、焼却という、有毒物質の拡散問題について人類はどのように対処すべきかが緊急の課題でもあります。
日本人が、死者の焼却を含め、慣れ親しんできた焼却問題は、今回の騒動で根本的な価値観の変換を問われているようです。
これは原子炉だから、焼却炉だから良いというものでなくて、火力発電所も、焼畑農業もそれぞれ地域の風習を生かしての人々の行動パターン、改めて、人類が新たなライフスタイルを模索すべきだと思います。
結構大きな問題ではありますが、出来るだけ、循環的な社会構造への転換が迫られているようです。
それが発酵菌の利用であるのか、太陽・月エネルギーの利用であるのか、今一度の点検・検討が必要かと思います。

----- Original Message -----
送信者 :  山本節子
宛先 :   満田正
送信日時 : 20111213 13:07
件名 :   放射性ガレキの処理

 「たまかん」おたよりありがとうございます。
 以下の疑問に、私の見方を加えさせて下さい。
 
 「焼却炉で放射性物質が処理できるのか」→一部が濃縮され、一部が拡散されるだけで、物質そのものが消えることはありません。
 「気化状態での物質を完全除去できるのか」→PM2.5などのSPMを補足することはできません。ナノレベルの微粒子に至っては、バグフィルターは巨大なざるのようなもの。焼却炉メーカーの技師(設計士)は、私の取材に対し、「それほど細かい物質は想定していない」と述べました。
 「焼却排ガスの分析結果を私は知らない」→海外では焼却排ガスに含まれる毒物の重量が規制の対象になっており、重量超過がただちに施設停止に結びつきます(濃度超過ではない)。排ガス分析データも公表されており、米環境庁などのものが有名(最近、規制緩和された)。世界最大の焼却炉大国は、この分野に取り組む研究者がほとんどおらず、汚染は野放しのままです。
 「排出されるガスは果たして炭酸ガスだけなのか」→有害な揮発性有機化学物質だけでも何百もあります。拙著「ごみを燃やす社会」に、同定済みの物質リストを掲載していますので参考にして下さい。
 なお、水銀については、世界じゅうで毎年5000トンが大気中に捨てられているとのリポートあります。その70%は石炭火力発電所とごみ焼却炉に由来しますが、水銀を規制すると焼却そのものの禁止につながるため、日本は現在進行中の水銀条約の締結にも消極的です。
 山本節子

--- On Sat, 2011/12/10, 満田正 wrote:

焼却炉による瓦礫焼却で、果たして、放射性物質が処理できるのかという疑問がある。 

高温での焼却は、極度に微細粒子を生成させるので、果たして、たとえ高性能なバグフィルターであっても、そうした微細粒子や気化状態での物質を完全除去できるのか、私は疑問を持つものである。
勿論、焼却処理では、その瓦礫の多くは気化状態で、炭酸ガスとして空気中に放出される。放出されるガス(気化状態)の中には、果たして、炭酸ガスだけなのかも疑問がある。排ガス成分の徹底した分析は未だに無いのではないだろうか。例えば、瓦礫に混在した水銀などは焼却で気化状態で大気中に放出されるというデータが存在するではないか。焼却炉高温ガスでのガスクロマトグラフィーについてその分析結果を私は知らない。
現在、問題になっているのは、そうした高度な分析の問題ではなくて、所謂、焼却残渣としての主灰、排気中のガスからバグフィルターで捕獲される飛灰(フライアッシュ)についてである。主灰については、もともと燃えないものだから、焼却炉の底部に溜まる。燃えないものには金属など鉱物性物質が多く、水銀もそうであるが、放射性物質であるセシュームも主灰に含まれる。
ここで、水銀もセシュームも沸点が低くく、焼却炉の高温状態では当然気化状態にあると想像される。もし、そうだとすれば、水銀もセシュームも全部が排ガスとして、空気中に放出されると思われるのだが、ここで厄介なことに、水銀もセシュームも化学反応に飛んでいて、他の分子との化合物として存在することである。これらの化合物は比較的沸点が高く、焼却炉の温度が高温であると言っても、その程度では気化しない。だから、水銀やセシュームは猛毒と言ってもは、固形物として存在し、その多くは主灰に、飛灰であっても、バグ具フィルターをかければ、完全除去できるという主張がある。

私は、高温排ガスの成分分析は必要と思うのであるが、結構難しいと思っている。特に大容量の排ガスの分析は難しい。そこで、一歩譲って、排ガス中の固形物(粉塵いわゆる飛灰)がバグフィルターを通してどの程度除去できるかの議論をしてみたいと思う。もともと、排ガス中の固形物とガスとを分離する役割が、バグフィルターであるのだから、固形物であっても粒子径が限りなく小さいものについては除去できない(捕獲できない)のは当然である。
続いて、どの程度の粒子ならば、トラップ(捕獲)出来るのかについては、バグフィルターの性能に関係する。ここで性能が良いというのは、限りなく小さな粒子を捕獲できるというもので、それはバグフィルターの密度(木目の細かさ)に関係する。当然、木目が細かいと限りなく小さな粒子をも捕獲できるが、それは排ガスそのものを通り難くするわけで、限りなく、バグフィルターを通過させるための強力な送風機を必要とする。大容量の排ガスを処理するためのバグフィルターの性能がどこまでのものが良いかは、このバグフィルターの木目の細かさと送風機の能力とに関係するわけで、果たして、どの程度の高性能のバグフィルターが焼却炉に使われているかははなはだ疑問である。そもそも、それだけの高性能フィルターを使うのであれば、コストパフォーマンス(費用対効果)が合わないのではないかと考える。
従って、バグフィルターは、気化状態のものはそのまま通過するし、たとえ固形物粒子であっても粒子系の小さいものは通過させざるを得ないというのが、私の考えである。そして、その証左としても、精緻な排ガス分析が必要であると思うのであるが、実際のところ、この種の分析が見当たらなかった。
ところが、最近騒ぎとなっている大気中の粉塵についての分析が示されている。
http://savechild.net/archives/13267.html
すなわち、大気中には粉塵が漂っているのであり、その発生原因は色々だが、焼却炉といえども、その発生源に一役も二役も買っていると見なすことが出来る。
すなわち、粉塵はそう簡単には除去できない、出来ると思う方が間違いである。
そこで、また、新しい資料であるが、東大のアイソトープ総合研究所から出されているのであるが、マスクで粉塵が充分防げるというものである。
http://www.asahi.com/science/update/1201/TKY201111300873.html
これも、普通のマスクでもマスクをすると息苦しいし、その程度に決めの細かいフィルター効果があると思うのだが、すると、更に苦しくなる。原子炉周辺で使われている、ガスマスクなどというものは、苦しくて、数10分とも持たない。これとバグフィルターの性能を比べることもどうかと思うが、とにかく、粉塵除去は難しいの一言である。
確かに、マスクをすれば、大まかの粉塵は防げる。
果たして、微細粉塵まで防げるのであろうか。
ましてや、マスクには、その粉塵がわんさと集積する。
果たして、そのマスクは1日に何度取り替えればよいのだろうか。
今後、冬の季節、乾燥空気が粉塵を運んでくる。最近のヨーロッパでは、空気に放射線塵が浮遊していることが常識とも言われている。 

日本でも放射能塵が出回って、初めての空っ風。結構厳しい冬を迎えるのではないか。それに、除洗なんて作業は半端な作業量ではない。とてもとてもこの冬に間に合うものではない。それでも、花粉症の人は息苦しくもマスクに慣れている。
慣れない人はどうするのであろう。満田
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