From 満田正
日付 2011年9月28日1:36
件名 Re: [tamakannet:98] 福島包囲網日誌(9/27)
たまかんねっとの皆様
たまかんねっと外の皆様には、BCCでお送りしています。
なお、このメール配信、私の判断で、勝手に送らせて頂いています。
配信不要であれば、連絡くださるようにお願いします。
同志H殿
情報ありがとうございます。
以下の記事、外国人が、現在の日本をどのように観察しているかの貴重な記事です。
ただ、全盲7人の象ではないですが、1人のフラン人が画く日本列島像(福島像)素晴らしく偏ったものです。
http://genpatsu.wordpress.com/2011/09/13/rue89-lepage/
私たちは、この一文から、どのような真実を引き出せば良いのだろうか。
「福島の事故がニュースの一面から消えてすでに数週間が経ちます。大方の人にとっては、すでに終わったことですし、東電や汚染水処理に携わるアレバ社は、当然状況をコントロールしているということになっています。」
前半はまさに正しいのですが、それでも福島包囲網は諦めない考えです。後半は、アレバ社以外に、アメリカ、日本の排水処理が連動していて、必至にもがいている。
「避難が必要な人はすでに避難しており、放射線量も下がってきている。フランスからみた日本は、原発再稼働の用意が整ったように見えますそのうえ、メディアはフランスの原子力圧力団体から情報を入手しては定期的に、ここそこの原発が再稼働すると報道しています。こうしたことは、深刻かつ悲劇的な、偽りなのです。」
確かにこの一文は嘘ばっかりですが、フランスも日本も変りは無いということでしょうか。
「数百万m3の汚染水まず申したいことは、環境省政務官、環境省副大臣、福島県副知事とお会いしましたが、日本政府は、事故は進行中であり、何も解決していないという認識を持っています。これは貴重な情報です。日本政府は、3つの原子炉の炉心が溶解し、容器を貫いたことを認めていますが、現在何が起きているのか、特に、核燃料含有物質が貫通したのかどうか、は把握していません。貫通した場合、地下水が取り返しのつかない汚染にさらされることは言うまでもありません。」
これは真実ですが、日本人もフランス人も最も知りたくないニュースです。
「水処理についてですが、グリーンピースでは、まだ着手したばかりだという見解を持っています。もちろんだれも触れたくない問題ではありますが、日本政府も放射性汚泥の堆積や数百万m3の汚染水についても、認識はしています。」
水処理の目処が立っていないので、それが最初なのか、どの段階なのかは分らない。水処理ですら無駄になる可能性だってある。
「空港でとめられている線量計」「二つ目、これも重要なことですが、福島県で暮らす家族の人たちは文字通り、非常に悲劇的な状況にあります。数百の家族と連携している団体があり、断固たる決意を固めた女性たちが音頭を取っているのですが、その団体とほぼ2時間話してきました。彼女たちのことはよく理解できます。彼女らに降りかかったことは、私たちがチェルノブイリ事故で体験したことに非常に近いですし、いろいろなことの進行の仕方を見ていると、過去の体験を思い出します。地震と津波が一度に襲ってきたために、状況が相当混乱していたことはわかりますが、気象庁が、福島原発事故の時に風向きの地図を提供できなかったというのも、おかしな話です。住民は、風がどこから吹いてくるのか知るすべが全くありませんでした。いかなる情報も提供されず、ヨウ素安定剤も配布されませんでした。彼らは、一か月以上たって初めて、汚染レベルについての公の情報を入手できたのです。現在、東京の空港では、4万個の線量計が政府の指示によりとめられています。(訳注:福島の)家族は、自分たちの生活している場所の放射線レベルがどれくらいかわからないままでいます。」
確かに、福島の多くの人たちは孤立しつつある。「たまかんねっと」はその流れにくいを誘うとしている。ところで、数百の家族は福島原発から子供達を守る会の人々ですが、その叫びが封印されつつあるので、「福島では沈黙と嘘が住民を圧殺している」というタイトルになった。
「子どもを心配するママたち」「食品についてですが、測定はされていますが、結果が出てくるのは、食品が市場に出て消費された後です。母親にとって一番大事なのは、もちろん子どもたちのことです。すべてのIAEA加盟国同様、日本でも一般人の年間放射線許容量は1ミリシーベルト、放射線従事者で20ミリシーベルトです。現在、この人たちが住んでいる福島県の地域では、5ミリシーベルトを完全に超えていて、20ミリシーベルトに達するところもあります。こうした母親たちは、自分たちや、子どもたちが1ミリシーベルト環境で暮らす権利を主張しています。問題は、彼女らの問いかけに、はい、と言えるだけの手段がどこにもないことです。もっと広範囲な避難が必要です2つの解決策が考えられます。除染または、話題にされることの多い避難、です。幾つかの校庭が除染対象になったようです。除染は表土を50-60cm取り除くのですが、いったいそれがどこに保管されるのかはわかりません。除染によって、汚染レベルをさげることができます。これは局地的には可能ですし、結果検証もしたほうがいいでしょう。しかし、明らかに、県レベルでは不可能です。したがって、検討の必要なのは2つ目の解決策ということになります。当然、希望者が出ていくことができるようにする、ということです。しかし、出ていくことができるようにするためには、他のところで生活していけるようにしなければならないということです。悲劇的なことですが、日本政府はある一定の範囲内でできることをしている、というのが現実です。しかし、情報が抑えられているために、一般の人が実際の状況を知る術がないのです。」
ここでも多くの悲劇が記述されている。ところで、福島の人々が避難の声を上げることは重要です。それを受け入れる福島以外の人の声が上がるのも重要です。しかし人々は「福島では沈黙と嘘が住民を圧殺している」に追いやられているのです。それをどのように跳ね除けるのかが、福島原子炉包囲網の課題です。
「補償なしの農家」「意思決定の改善が必要な個所では、農業もご多分にもれず、政府の機能不全の犠牲者です。福島県は、福島県産の農作物をアピールし、風評被害を訴えています。私も、立派な桃の入ったかごをいただきました。しかし、当然ながら、この地域の生産物のほとんどは、摂取すべきではないというのが現実です。しかしそのためには、農家が補償を受けて生活していかなければなりません。しかし、実際にはそうはなっていません。日本はこうした非情な状況に置かれているわけですが、これは工業化されたこの国全体に当てはまることです。同じリスクがおそらく同じ結果を生む。だからこそ、日本が沈黙におおわれているのです。」
確かに、福島原子炉の悲劇は日本工業の悲劇でもあります。それは再生の根幹である農村を破壊しつくしたし、またさらに深く破戒しようとしている。それでも、日本人は工業に立ち向かうすべを福島原子炉事故で初めて取得したのです。それは第二次大戦、現在の福島原子炉を繋ぐ大きな環であるからです。
「連携ネットワークを立ち上げる医師たち」「医師たちはもはや発言の権利もなく、発言しようとしなくなっています。小児科のネットワークがたちあがったり、特に農村部で医師たちが段取りをつけて、住民がより自己防護し、医療体制が整うようにしている、と聞いています。しかし、こういったことはすべて市民レベル、草の根、内密といってもいいような動きです。明らかに、原子力当局は、この事故の疫学的影響の詳細で正確なデータを取らないことに決めたのです。私たちは皆、この沈黙の壁に立ち向かわねばならないと思います。なぜなら、これは子どもに関わる問題であり、福島の子どもがフッセンハイムや、ビジェイ、ブライエの子どもにもなりうるのです。話し合い、行動し、現場で大きな苦難と戦っている団体を助けていくのが私たちの責任なのです。」
ようやく、日本列島でも福島の地で地域自立の芽が吹き出ようとしている。その芽を摘むのも育てるのも、それを包囲する我々です。赤ん坊は守らねばならない、しかし、赤ん坊の自立の芽を奪ってはならない。
「ほら、日本は脱原発します」「反面、日本政府はおそらく自分たちの限界を知りつつも公にはできないのでしょうが、脱原発という本物の決断をしたように見受けられます。実際、この情報は用心深くフランスでは隠されていますが―理由は各々がお分かりでしょう―、福島の事故以降、日本は電力を28%、東京地域では40%近く削減しました。57基ある原子炉のうち、今日稼働しているのは14基のみです。数々の対策がこの大がかりな節電を可能にしました。例えば、日中は役所の照明を消す、クーラーをつけない(数日前には京都で38度であったにもかかわらずです)、東京で夜間の大広告を消す、産業では生産システムを再編して、輪番制で稼働して、大きな成果をあげました。ですから、ヨーロッパで2020年までに20%の電力削減ができるかどうかという問いには、私たちの友人である日本人から多くのことを学べます。新首相も、選挙戦でこのことを明言しています。日本はもはや新規の原発を建設しないということを表明しており、これはつまり脱原発の動きに他なりません。」
不気味な毎日ですが、これは戦い抜きに達成できない彼岸です。牧の原で勝っても、まだ、浜岡原発10km圏には残り3つの市町村があります。油断できません。祝島上関町では反原発派が大差で敗れました。野田新首相は原発輸出を明言しています。原発推進派がビジネスを諦めるわけではない。それを支える大資本が原発推進を諦めるわけではない。闘いは今まで以上に厳しいのです。
「それでは「いつからか?」ということですが、もちろん、実施されるストレステストや現在メンテナンスで2012年3月まで稼働していない原発を再稼働するかどうか、ということにかかっているでしょう。」
そうです。日本列島は嵐の静けさの前にいるのです。
満田
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