2011年9月18日日曜日

20110918 満田正さんの「福島原子炉包囲網日誌」9/18〜国環研HPにコメント、「その原単位..ごみ・廃棄物の全量が推計できる..放射性物質の拡散量は、それぞれの土壌もしくは建物の放射線量を更に乗算したもの」

From  満田正 
日付  201191811:42
件名  Re: [tamakannet:93] 福島包囲網日誌(9/18

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なお、このメール配信、私の判断で、勝手に送らせて頂いています。
配信不要であれば、連絡くださるようにお願いします。
また、このメーリングリスト記事は、「ごみ探偵団(http://gomitanteidan.blogspot.com)にも記載されています。

ある人に電話をしたら、「たまかんねっと」よく来るが、読んでいないと言われた。私は、「自己記述、読む気のある人が読めば良いと」と即座に答えた。でも、彼には、読んで欲しいと思っている。
放射能汚染に関する測定や除染はいまや流行である。ただ、そこで用いられる暫定基準値年間1Sv被曝という数字が1人歩きもしている。これしかないと言うか、それでも困ったと言うか、確かに年間20Svについては驚きであるが、それを防ぐ材料ではあるが、年間100Sv原子炉作業現場はそれどころではないし、福島原子炉作業に当たっては、年間200Svにまで引き上げられている。この年間1Svレベルでは原子炉中心に住めるところではなくなるし、悩ましいどころではない。

この間、青梅市の若者グループ「青梅ぶんぶんの会」では、「ゼロリスク症候群」が話題になっている。横浜市の若者グループ「9.11かながわアクション」の議論は、言葉こそ出ないが、まさに「ゼロリスク症候群」である。問題の立て方を「ゼロリスク症候群」に置くのか、「年間1SV」におくのかでは、大きな違いがある。
「ゼロリスク症候群」を基本とする場合には、ほぼ運動展開は限界に突き当たる。でも極めて重要なことで、たとえ1人になっても、貫きたい視点である。一方、「年間1SV」を基本とする場合には、それは政府・東電が長年積み上げてきた原理でもあるので、それを誰でもが認識し且つ知らず知らずに自らの規範としている。だから運動としては、広がりやすくもある。特に政府・東電が自ら作った規範を破ろうとしている状況の中では尚更である。
私が、この間、「9.11かながわアクション」で経験していることは、まさにこの問題であり、表向き批判・反批判の対立が浮き上がるが、この中にこそ、運動が乗り越えなければならない真実があると考える。
いわき市の若者グループ「Team結」の活動は、放射性汚染・除染の問題以前に「故郷への愛着」である。まず、そこに住みたいと言う意識無しには、故郷を住めなくした政府・東電の犯罪を追及することは出来ない。それは、「最大リスク最大抵抗路線」である。言うなれば、9.11マンハッタン爆破計画に近い考えである。勿論、この爆破計画がアメリカ政府の自作自演であることは私も理解する立場であるが、故郷を追われて、逃げ場の無い人々が、この計画に突き進み、アメリカ政府に利用されたとも言える。
これに類する問題で、日本の戦争放棄・核放棄宣言がある。戦後の反戦・平和運動はこの原則に乗っかり、延々と運動を繋いできたが、それをうたった憲法は空洞化され、原子力平和利用の元で、現在の福島原子炉事故がある。それでも、憲法のいう戦争放棄、原子力の平和利用は守るべき規範であるのかどうかは大きな問題である。特に、原子力の平和利用そのものが、間違いだったと考えられる今では。
現在、放射性物質の拡散で、最大の試練に立たされている問題が、ごみ・廃棄物処理である。特に日本社会が先行させてきた、循環社会放棄、地産地消放棄は、大きな糞詰まり状態に来ている。八方塞がりである。現状、この問題の解決は、放射線物質拡散と同じに、と言うよりは表裏一体となっている。特に焼却は表向き解決したようで、何も解決になっていないことを理解する人は少ない
「たまかんねっと」「ごみ探偵団」ともに、この視点に立っていることは明らかである。
としても、現状は有効な解決のための手段になりえてはいない。
何かが足りないのである。
その不足が、若者グループでの悩み悩みの議論ともなっているのである。
それは時代そのものを生きている精査である。
誰もが見通しの無い真っ暗闇の中で、光を求めて右往左往しているのである。
その中で、まだまだ、現在権力の恩恵を受けた人々の知力・経験力が幅を利かし、時代を混乱させているのである。
そこには、何らの解決策が無いとしても、人々はそれらの人々に期待を寄せるのである。
知力も経験力の無い若者にとっては尚更である。
私は、人々、特に若者の真摯な混乱を大事にしたい
それは時代のカオス(混沌)であり、そこからしかあらたな社会像は生まれない。
既存の知識、概念、習慣からは何も生まれないが、逆に既存の自らの知識、概念、経験を大事にするところしか未来は無い。それを否定できる人々に未来が開かれている。
最大の敵は、貨幣・金融であり、それを旨く取り込んだ国家・権力である。
それを否定すること無しに、現在の混沌は、その秩序に帰っていくしかないのである。
過激な発想の中で、もしかしたら、信頼できる情報を流し続けている国立環境研究所のホームページについてコメントしてみようと思う。この前身は国立公害研究所と国立公害資源研究所、国立研究所の中では私ともっとも近い関係である。国立公害研究所は全国の公害データを一同に集めることで設立され、その莫大なデータの整理作業を打診されながら、私は身を引いた反省もある。国立資源研究所は海洋や大気の循環シミュレーションを始めたところだが、ここからも私は身を引いた反省もある。
両者とも、私は身を置くべきであったかも知れないし、身をおいたとしてもミイラ取りがミイラになったのかもしれない。反原発の世界を遠ざけたと同じに私の反省でもある。それほどに、私を縛ったものは、大学闘争であった。大学闘争の原点に居て、現在の私の原理原則がある。それは私のアイデンティティでもある。私にはそれしかない選択であり、あれもこれもとは行かない二者択一である。
余談はさて置き、国立研究所のホームページには、原子炉事故の大気シミュレーションがある。「たまかんねっと」でも違う機関のものを報告していることであるが、基本は同じである。大気循環(大気中での移流・拡散・沈着過程のシミュレーション-大気輸送沈着シミュレーション)からすれば、福島原子炉事故による放射性物質は、まずは太平洋側に向かって動き、これはアメリカ大陸まで到達する勢いであり、やがて、日本列島に戻ってくる。日本列島はこの循環で、放射性物質の大気に取り囲まれるのである。神奈川や小田原、静岡での高濃度放射性物質の拡散は予想されたことである。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2011/20110825/20110825.html 
http://www.nies.go.jp/shinsai/index.html 
続いて、福島原子炉プラントの収拾状況の写真が、以前には公表されていたのであるが、今日は無い収集状況を知るには極めて重要な映像であったのだが、どうしたことか所謂、廃水処理のための、莫大なそれも継ぎはぎだらけの配管網の映像が公開されていた。この映像に依れば、現場の混乱振りが分るし、廃水処理の難しさも分る。プラント専門化が見れば、ど素人の作業が繰り返されていることも分る。それでも、作業している人々が必至であることも分る。だから、計画的な廃水処理システムの構築が急がれる。それはどうなっているのだろう。私が知りたい最大の関心事である。残念の一言である。
続いて、これは、災害にとっては極めて重大なことであるが、原単位の話である。ごみ・廃棄物の推計がいかに難しいかが分る。以下、その原単位の出所だけを記述する。これを使えば、ごみ・廃棄物の全量が推計できる
http://www.nies.go.jp/shinsai/genntanni_no1_110628.pdf 
これらの数値は、各自治体が発表したもので、消されることは無い
1)災害廃棄物発生量の原単位(東京都)(t/棟)
2)災害廃棄物発生量の原単位(兵庫県)
3)災害廃棄物発生量の内訳(新潟県中越地震)
4)災害廃棄物発生量の原単位(t/m2)ー川崎市防災会議 (2007) 平成18 年度修正 川崎市地域防災計画 (震災対策編), pp195.』をもとに作成
5)災害廃棄物発生量の原単位ー『高月紘, 酒井伸一, 水谷聡 (1995) 災害と廃棄物性状-災害廃棄物の発生原単位と一般廃棄物組成の変化-, 廃棄物学会誌 6 (5): pp351-359.』をもとに作成
6 標準的な木造専用住宅100 m2 の解体工事に伴い排出される廃棄物発生量ー『北海道用地対策連絡協議会事務局 (2010) 工作物調査積算要領等の一部改正について
7 資材投入量と解体材排出量(t/m2)ー『桑原一男 (2008) “平成解体新書”, pp120, 図表5-1-4.』をもとに作成
ごみ・廃棄物量とは、この原単位に現地調査した、家屋などの被害状況を乗算したものである。
そして、放射性物質の拡散量は、それぞれの土壌もしくは建物の放射線量を更に乗算したものである。
本来、環境問題では、水銀、ダイオキシン、重金属、環境ホルモンなど、大気中に浮遊する物質については、それらがやがて土壌・建物に沈着するので、災害時のみならずこうした推計シミュレーション行うべきものである。
国の無策と言うか、人々のいい加減さと言うか、とにかく、政府・東電が行うマッチポンプのからくりが、人々に理解されるまで、人人は苦行を続けなければならない。











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