2010年4月11日日曜日

「生ごみは宝」、吉田義枝さん(埼玉県戸田市の職員)〜花の魔力で「生ごみ堆肥化」を軌道に!!

2010年4月10日(土)14:00〜講演会「生ごみで花一杯の街づくり」
抱腹絶倒!!日経4/2記事「ミミズと共にエコ生活」by 三浦俊彦氏〜生ごみ食べ肥料に変え2万匹に、維...
お願いとお知らせ by 青木泰さん〜生ごみ100%資源化をめざす研究プロジェクト(準)
資料、2010/2/20瀬戸昌之氏【日の出の森・支える会 連続講座】焼却しないごみ処理ー生ごみ堆肥化...

4/10日講演会、会場にはぎっしり100人以上の参加者。花で戸田市民に魔法をかけた吉田義枝さん、会場中を笑わせながら、具体的になにをどう考え実際にどう動いたかを逐一披瀝。天地がひっくりかえるほどのいい話でした。自治体の一人の職員の存在が、生ごみ資源化を軌道にのせてしまった。

講演会では、韓国の生ごみ資源化についての興味深い話も聞けたのですが、まず今日は吉田さんの話をご紹介。

吉田さんは埼玉県戸田市の職員で、環境部に移動してからごみを扱うようになって今年で9年目(2002年~)。「ごみをできるだけピットに入れない(ごみの減量=燃やすのに金がかかる)、使えるものはすべて活かすか売る(ごみは資源)、ごみは燃やせば煙になるだけ、燃やさず活かせば空気も汚さず、お金になる」を戸田市のごみ行政で実践されている方でした。

話の内容は、1)戸田市の特徴、2)環境部に異動になってから、ごみをどう考えたか、ごみとどうつきあったか、ごみを通して住民たちとどう関係したか、3)なぜ生ごみ資源化に手をつけたかです。1)-3)のすべてが、生ごみと花苗の交換(生ごみ堆肥化)につながって行きます。

1)戸田市の特徴
競艇で知られる戸田市は、埼京線で新宿まで30分、人口11万2千人、市のほぼ全域が市街地で農地ゼロ。マンションが次々に建てられ、平均年齢37.5歳と日本全国平均より若い、子供の数も増えている。出入り人口は年間7千~1万人。「競艇があるため財源的には豊かと見られているが、競艇の売上げは下がっており、夕張は明日は我が身の危機感を戸田市は持っている。でも、現在市の財政は健全で貯金もある」。「戸田市のゴールは、町おこしして来てくださいではありません。戸田に住んだらもうずーっと住み続けて頂きたい、出て行きたくないそういう市にすること」。

2)環境部(その後「環境クリーン室」に改名)に異動後のごみとの取りくみ方

2-1)17分別の開始。吉田さんが環境部に異動した2002年、戸田市はごみの17分別を開始。環境部は住民への説明にあけくれたが、実施後毎日住民から100本以上の電話があった。「これは何のごみ?」「なんでこんなことをしなきゃいけないのか?」などなど。それが「6ヶ月後にぴたっと止んだ」「なんで止んだかというと。慣れです。みなさん慣れたんです」。「始めたら勝ちです」。

2-2)特別ごみ(資源ごみ)をお金に。分別してでてくる資源ごみに関して、インターネットで市況を調べ研究、売上げは前年まで200万円ほどだったがそれを年間6千万円に伸ばす。その半分を住民の自治会に還元し、残りは戸田市に残し、貯金。その貯金の利息にも気をつけて、1円でも利子が多くつくようにし、現在貯金高は2億円になっている。「ごみはお金になる」。「使用済みペットボトルもA, B, Cランクとあり、Aランクのものだけがお金になる、それをどう住民に伝えるか」「市役所ではすべての雑紙を(洟をかんだ紙以外は)売って年間600-700万円にしている。住民にそれを(雑紙を可燃に入れずに、資源ごみとして出してもらえるように)どう伝えるか」、そういうことをいつも考えている。

2-3)「分別表を毎日見ている」。焼却炉(の維持運営費用)は年間7.8億円。ごみが増えれば、更に金がかかる。ごみの減量はどこをどう工夫したらできるのか毎日考えている。そのために「ピットに出来るだけ入れない」「重いもの(粗大ごみ)はリサイクルできるものはすべてリサイクルする。破砕機にできるだけかけない。修理して売る」。こうした結果、戸田市の人口は増えてきているけど、ごみの量は減っている。

3)生ごみ資源化

「生ごみの資源化はどこでもむずかしいが、農地はゼロ、市街地に位置する戸田市のようなところでは、特に至難の業」。「マンションのベランダくらいしかなく、生ごみを堆肥にする農地もなければ、堆肥にしても持って行く場所もない」。「年間1万人近い出入り人口の住人はごみの分別なんか知らないって感じだし」。にもかかわらず、ピット(焼却炉)で燃やす生ごみの割合は高く、それを減らすために、家庭から出る生ごみと花苗の交換を思いつき、2008年にとにかく実行に移す。市民に無料でバケツと1次発酵用のぼかしを貸し出し、花苗センターに運んでもらう。

花のことは良く知らない吉田さんは、種から苗になるまで3ヶ月かかることも知らず、花苗交換が住民に口コミで伝わり、貸し出しバケツの人気が急騰、交換用の花苗がなくなってしまって、チケットを発行。「今時期が終わって、育つまで少し待ってください。出来たら交換します」と切り抜ける。また、花育成の専門家がいなければこの事業は成功しないことも予想。そのために、ディズニーランド(子会社で障害者を雇用して、花を育て舞浜駅からの道路沿いやディズニーランド敷地内でその花を使っている)を視察した時のこの人しかいないと白羽の矢を立てた女性佐藤さんに毎日電話、口説き落として、スカウトする。佐藤さんは、ドイツ留学が決まっていたが、公務員試験を受け、戸田市の職員に。さらに、当初の花苗育成センターでは規模が小さすぎることも予想、3億円をかけて本格的設備を建設、障害者100人と高齢者の雇用も創出。「3億円はかかりましたが、堆肥化装置とかショールームに飾ってあったのを値切ったり、ぎりぎりのお金しかかけていません」「ここで障害者の方に仕事を提供(時給735円)することで、彼らはグループホームに入るための費用を自分でまかなうことができます」。

現在本気モードで生ごみ堆肥化をしている。できた堆肥は花苗センターの他に、野菜用にも販路を増やしている。友好都市の三郷町にある農地で使ってもらい、そこで育てた白菜を戸田市で販売することも開始。産直「有機野菜」ということで地元にこの野菜の販売希望者がでてきている。また、豚のエサにも生ごみはいいということなので、そちらの方面も手がけたい、と。


活発なQ&Aがあり、質問も答えも具体的で「生ごみ資源化」を本気で考えている人たちの熱気が伝わって来ました。ちゃんとメモを取ってこなかったので、内容を書けなくてごめんなさい。わたしの隣の席の参加者は川口市の方で、「川口は、戸田の隣なのよ。こんなことぜんぜんやってない。帰ったら、川口でもやるように言うわ」、と。

吉田さんは「あと2年で停年、退職です。今58歳」。「燃やして煙にするために7億8千万円も使ってるんです。その金額を考えたら、ごみを活かしてお金にするのにかかる費用はちゃんと元が取れます」との言葉、耳に焼き付きました。
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がんばれ!福祉!:and食・捨てないで:第2部・家庭から考える



6 件のコメント:

  1. とてもいいお話をありがとうございます。戸田市の取り組みは、ぜひ、本にするべきですよ!もうなってるのかな?この講演会、もしビデオ撮影していたら、youtubeで流したらいいのなあと思いました。そしたら、日本中の人が講演会を聴けるでしょ。そしたら、こっちの役場の清掃課にも、「これ観て下さい!」って話持っていけるし。いいお話は、広めなければ!

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  2. みかんさん、コメントありがとうございます。

    わたしも講演を聞いて日本中の人に聞いてもらいたいと思ったんですよ!!吉田さんが「戸田が日本を変えます、世界を変えます」って言われたのですが(ユーモアたっぷりに)、ああこれはありだなって即思っちゃったくらい、インパクトありました。

    >もしビデオ撮影していたら、youtubeで流したらいいのなあと思いました。

    本はまだ書かれていないようだし、ビデオ撮影もなかったのですが、吉田さんにこのこと伝えてもらいますね。実行力のある方だから、実現可能だと思います。この案、いいですよね〜!!

    最後に、講演会のことみかんさんブログで何度も紹介してくださったこと心から御礼申し上げます。

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  3. ジェリコさま
    お礼だなんて、とんでもないです。もっと、宣伝すればよかったと思ってるぐらいです。ビデオ撮影されてなかったんですか〜、残念。でも、こういった良質の講演会は沢山のひとに観てもらうべきですよね。youtubeは、そういう使い方もあるんだって思いました。フィギュアを観るだけじゃなくて(笑)

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  4. みかんさんの案には、はっとしました!!そうだって、、、。
    「奇跡の脳」のジル・テイラー博士の話もTED「講演会」のビデオが流れて、世界中にあっという間に伝わったんですよね!!あの時はジルさんのビデオに夢中になりました。フィギュアだって、youtube動画がなかったらマスコミの報道を鵜呑みにしてまどわされてましたよね〜。それと観ないではいられないし。
    今年初めから立て続けに「ごみは宝」関係の講演会を聴いて来て、どれもすっごく内容が深いし、笑いはあるし、聴いた後必ず元気になるんです。人間がごみを大切に扱うと自然を尊重した「循環」が可能になるって実感できるんです。
    youtube動画「ごみは宝」編、かならず実現するように関係者に働きかけますね。乞うご期待です。
    感謝

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  5. ようやく、このお話にたどり着けましたー。youtube案、最高です!

    私の住んでいる町でも今年から本格的に生ゴミ堆肥化のための分別収集がスタートしました。私自身は、生ゴミは自分で堆肥にしているのでこの仕組みについても無頓着でしたが、実際どうなっていくのかなあ。

    ジェリコさんのエントリーを読んで、興味が深まりました。新町議さんが好きそうな話題でもあります。

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  6. オリヒメさま、こんにちは。そちらの町議選の様子、面白かったです。
    オホーツクの町でも生ごみ堆肥化がスタート、興味深いです!!いいですね〜。
    収集の仕方(バケツに入れて、ごみ袋で、新聞紙にくるんで)とか、堆肥はどうやってどこで作るのか(堆肥設備、農地で)とか、作った堆肥は誰が使うのか(居住区の農家、他地域で)とか、住民の反応はとか、もろもろ、町の噂を聞かせてください。

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