つぶやき:ごみ問題はリサイクルも含め全体のなかで、これがどこに関係するのかよくわかってないから、こういう記事だけ読むとなんか、廃プラの有効利用なのねみたいな、すごくいいことのような気がしてしまう。だけど、新日鉄もJFEスチールもエンジニアリング部門を独立させた別会社が大手焼却炉メーカーで、JFEエンジニアリングなどは必ず談合事件で名前がでてくるし、新日鉄エンジニアリングは、ガス化溶融炉のトップメーカーだ。だから複雑な気持ちになる。企業間の関係とか、メーカーとごみとのつながりとか、容リ法・容リ協会(これも問題多々あるみたいだし)とか、中環審・産構審との関係とかわからないと、今の私にはなんとも判断がしかねる。
この記事2つのメリットは、廃プラのケミカルリサイクルの中の、コークス炉での利用と高炉での還元剤としての利用に関して技術的な仕組みがよくわかること。日経BP「石炭減らしにごみ活用」はわかりやすくて気に入っていた。そんなところに日経夕刊で似た記事がでてきて、とりあえず紹介しようと思った。
それと、わたしの住んでる杉並区は、プラ容器ごみを資源ごみとして分別回収しており、収集後、白色トレーを除いてすべてケミカルリサイクル(コークス炉用)されていることが昨日わかった。なんでわかったかというと、容リ協会サイトのトップページにわたしのまちのリサイクル というコーナーがあって、そこをクリックして、「東京都杉並区」を入れると2008年度のリサイクル実績の一覧がでてきたからhttp://www.jcpra.or.jp/special/mytown/info/index.php?jis_id=13115。
長い前置きすんません。とにかく記事2件紹介します:
新日鉄、原料再利用を拡大 資源高でコスト削減 鉄粉1割増・廃プラ25%
2010/4/12付日本経済新聞 夕刊
新日本製鉄は再生原料の利用を拡大する。製鉄段階で「かす」として発生する鉄粉の活用量を2010年度は09年度比で約1割増の120万トンとするほか、廃プラスチックの利用量も25%増やす。中国での需要増加により鉄鋼原料用石炭(原料炭)など鉄鋼原料の価格が急騰するなか、リサイクル原料の活用を進めコスト削減と原料の安定確保につなげる。
鉄粉は「鉄鋼ダスト」と呼ばれ、鉄鉱石を溶かしたり、鋼材を圧延したりする際に、飛び散って生じる。パチンコ玉程度の大きさに固めたうえで加熱、酸素分などを取り除いて再び鉄鋼原料として高炉などに投入する。
広畑製鉄所(兵庫県姫路市)のダスト処理の最新設備をフル操業させる。他社からの処理受託も拡大する。受託量は足元で月間2000トンのペースだが、今秋にも6000トン規模に引き上げる。日新製鋼などから処理手数料とともに引き取り、主に新日鉄の鉄鋼原料として使う。
処理設備は君津製鉄所(千葉県君津市)や広畑製鉄所など3カ所に7基あり、合計の年間処理能力は120万トン強。ダスト120万トンは鉄鉱石80万トンに相当し、09年度の鉄鉱石価格で計算すると約150億円のコスト削減効果が見込めるという。
廃プラスチックは粉砕して粒状に加工してから、鉄鉱石中の酸素を除去するコークスの代替などに使う。自治体が集めた容器や包装プラスチックを入札で購入し、10年度は20万トンを集荷・再処理する。
容器包装リサイクル法の運用で、10年度から廃プラの利用制限が変更になり、鉄鋼原料用途に振り向けやすくなる。新日鉄は09年度に比べ小売事業者などから受け取る処理費を下げて集荷量を増やす。廃プラ20万トンは原料炭6万トンに相当する。
10年度の鉄鋼原料価格を巡っては原料炭の一部が4~6月期に09年度比55%値上げで決まったほか、鉄鉱石も約90%の値上げでブラジル資源大手と暫定的に合意している。新日鉄は比較的安価な再生原料の利用を増やすことで、鋼材価格への影響を抑えたい考えだ。
JFEスチールや住友金属工業などほかの鉄鋼大手も廃プラスチックの利用に取り組んでいる。非鉄では三井金属や日鉱金属がそれぞれ、ハイブリッド自動車などに使う電池に含まれるレアメタル(希少金属)のリサイクルを目指すなど、素材大手の間で再生原料を活用する動きが活発になっている。 (日経Web刊より)
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時事深層 2009年12月17日
ーー記事より以下に一部抜粋ーー
「苦労して家庭で分別している食品や化粧品の容器などのプラスチック類。実は日本では鉄鋼メーカーがそのリサイクルで大きな役割を果たしている。JFEは早くに事業化、新日鉄は国内の最大事業者になっている。
大きなショベルが、プラスチックの山を切り崩し、ベルトコンベアに次々と放り込む。川崎市にあるJFEスチール東日本製鉄所京浜地区のとある建物。ここに自治体から毎日、家庭などから集められた廃棄プラスチックが70トン近く運び込まれる。今年はJFE全体で約7万トンの廃プラを引き受けた。
JFE、CO2削減効果に着目
鉄鋼メーカーと廃プラ。すぐにはなかなか結びつきづらい組み合わせだが、鉄鋼メーカーは国内の廃プラの約3割を再利用する有数のリサイクル事業者という顔を持つ。1996年と早くから取り組みを進めてきたJFEは、廃プラを高炉の還元剤に活用している。
鉄鉱石を高炉に投入して鉄の大元となる銑鉄を作るためには、鉄鉱石に含まれる酸素を取り除く還元剤が必要になる。通常は石炭を乾燥させて作ったコークスを、還元物質として使用する。だが、コークスは鉄鉱石と結びつきCO2(二酸化炭素)を排出するというネックがある。鉄鋼が産業界でも最大規模のCO2を排出するゆえんだ。
そこでJFEが目をつけたのがコークスの代わりに、廃プラを使う手法だ。プラスチックは炭素と水素が結びついてできている。炭素だけでなく、この水素が鉄鉱石中の酸素を奪って、水が発生するため、コークスのみ使用した時よりもCO2排出を抑えられる。原料炭の輸入も抑えられるほか、同時に発生する高炉ガスは発電に利用できる。。。。」
「新日鉄、国内最大の再利用業者
JFEの「高炉還元剤化」方式に対して、コークス炉内での廃プラ再利用を進めているのが新日本製鉄だ。コークス炉は、原料炭を乾留し高炉の還元剤となるコークスを製造する、ここに石炭とともに廃プラを入れ、両脇から加熱して蒸し焼きにする。熱分解された廃プラは、2割がコークス、4割は油、4割はガスとなり、製鉄所内の発電所や化学工場で利用される。
新日鉄は十数年前から研究を始め、2000年以降、国内の製鉄所のうちコークス炉のある5カ所で、廃プラの再利用を始めた。廃プラのリサイクル能力は年間25万トンと世界最大だ。
2009年には全国の主な自治体全体で集めた約68万トンのうち、約25%に当たる16万トンを新日鉄で再利用している、日本最大のリサイクル業者だ。この再利用は新日鉄にとっても、年間約50万トンのCO2の削減効果をもたらしている。
最近では、環境意識の高い企業から不要になった制服を再利用してほしいと依頼なども増えているという。新日鉄グループで最大のリサイクル能力を持つ千葉県君津製鉄所は今年、資生堂などの制服300トン分を受け入れた。同製鉄所環境資源エネルギー部小関常雄グループリーダーは「自治体との直接契約も増えている」と取り組みに手ごたえを感じている。
新日鉄がコークス炉を活用した「コークス炉化学原料化」方式を採用する理由は、その高いエネルギー効率にある。回収した廃プラスチックのどれだけを再利用できたかの歩留まりを比べると、「高炉還元剤化」方式が約80%に対して「コークス炉化学原料化」方式では約90%とされる。
秘密は廃プラに含まれる塩素の取り扱いだ。塩素は放置すれば、高炉内の腐食につながる天敵だ。JFEも廃プラに混入する塩素を取り除くのに手間を掛けている。その点、コークス炉を活用する場合は、原料炭に含まれるアンモニアが塩素を固定化するため、腐食する恐れはほとんどない。現在はコークス炉に入れる廃プラの比率はわずか1~2%程度。だが、「いずれ5%まで混ぜたい」(技術総括部の鍬取英宏マネジャー)と意気込む。
再資源化や温暖化対策の一環として企業の取り組みが加速する廃プラの再利用だが、近年は廃プラの落札制度が企業の取り組みの足かせになっているという問題が浮上している。
2000年に施行した「容器包装リサイクル法」では、前述の「高炉還元剤化」、「コークス炉化学原料化」に加えて、化学メーカーが取り組む「合成ガス化」や、「油化」「材料リサイクル」の5つの方式が定められている。。。。」
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中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会
プラスチック製容器包装に係る再商品化手法専門委員会、
産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会
容器包装リサイクルWGプラスチック製容器包装に係る再商品化手法検討会
合同会合作業チーム(第1回)議事次第・資料
参考資料1 プラスチック製容器包装の再商品化の現状について [PDF 1137KB]
脱焼却の循環型ごみ処理システムは可能か?! ~ごみ問題のスクラップブックとして~
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デヴィッド・ハーヴェイ. 新自由主義. その歴史的転回と現在. David Harvay : A Brief History of Neoliberalism 2005 ..... (2)ぼくは今夜の千夜千冊では、ハーヴェイの思想形成史にまったくふれなかったけれど、初期の地理学研究がすでに計量地理学 ...
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