7/28「水銀汚染ー清掃工場問題第1弾」に関して、本日青木泰さんから、以下追記、読者とのQ&A、が入りましたので掲載します:
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皆様へ
東京23区の水銀問題について、私の報告「水銀汚染ー清掃工場問題第1弾」をご覧になった方から3点の質問をもらいました。
以下のように答えました。参考にしていただければと考えます。
お世話様です。
下記ご質問にお答えいたします。
いろいろ情報ありがとうございます。
この問題についておしえてほしいことがあります。
1)東京23区が自主基準値を決めた理由
2)23区の焼却炉すべてに自動測定の装置がついているか
3)焼却ストップした炉の性能
1)東京23区が自主基準値を決めた理由
灰溶融を専門に行う中防施設で、高濃度の水銀が4~5年前、キャッチされ、自主基準値を決め、それを全清掃工場に適用したと聞いています。
重金属の排ガス規制は、国で行っていないため、私たちも何度か環境省に要請してきましたが、これまで重金属の排ガス規制を行わない理由として以下の説明をしてきました。
(1)もともとごみ焼却施設では、重金属の元になるものを燃やしていない
(2)たとえ混入していてもバグフィルター等で除去できる
というものでした。
これに対して、
焼却灰、排水には重金属規制を行っているのに(1)の説明はおかしい
ダイオキシンはバグフィルター等で取れるという建前を持ちながら、本当に取れているかを調べるために、排ガスの調査を義務付けている。重金属は、建前論で調査しないというのはおかしいというやり取りをしてきました。
そして環境省が排ガス規制を行わないとする根拠文献を示せと求めてきましたが、4~5年かかっって出してきたのが、4文献で、その中心をなす文献が、「一般廃棄物焼却炉のダイオキシン類対策に伴う重金属の排出抑制効果に関する研究」(国立環境研究所 貴田晶子、酒井伸一ほか)の論文です。
しかしこれは、2施設で、ダイオキシン対策での改造が、重金属類での除去率を向上させたというもので、結論はこの実験からすると「日本のごみ焼却による重金属の排出量は、ごみ発生量5000万トン/年の75%が焼却され、良好な排ガス処理を経た場合、Hg,Sn,Zn,Pb,Crが、1トン~6トンその他の金属は1トン/yと見積もられた」としています。
「良好な排ガス規制を経た場合」というのが、曲者です。
ダイオキシンは「良好な排ガス規制」が行われているかの調査を毎年1度以上行っているのに、環境省は、この論文(他3ーしかし他の文献は、当て馬的なもの)で重金属の排ガス規制は行わなくてよいという根拠にしていたのです。まったくひどい話です。たった1件の実験。そこから日本全国の焼却施設で「良好な排ガス規制」が行われているという調査や研究は何も行われていないのに、貴田さんや酒井さんは、自分たちの論文がこのように使われていると知ったらきっと後悔に駆られていたに違いありません。ちなみにこの研究は、厚生科学研究費補助による財団法人廃棄物研究財団の研究の1部として行われたものです。
上述した環境省の一般廃棄物の中には、重金属の元になる物は燃やされていない、という建前上今回も「事業系の不法な投入によるものと」発表したのでしょう。
環境省の見解からすると一般廃棄物の焼却施設には、重金属の元になるものは燃やされていないのだから、水銀の高濃度の排ガスが出てくれば、「不法投棄」にするしかないのです。
事実から出発させて、原因を突き止めてゆくのでなく、自分たちが勝手に作った規範を守るために原因追求を遅らせるというのは、水俣やエイズで繰り返された行政対応出なかったでしょうか?
2)23区の焼却炉すべてに自動測定の装置がついているか。
上述したようにすべて設置していると聞いています。裏は取っていません。
3)焼却ストップした炉の性能
光が丘清掃工場....三菱重工マルチン式 150トン×2/日
板橋清掃工場....住友重機(W+E式)300トン×2/日 交流アーク式灰溶融炉
足立清掃工場....荏原HPPC型 350トン×2/日 プラズマ式トーチ灰溶融炉
千歳清掃工場....川崎重工流動庄式 150トン×2/日 プラズマ式トーチ灰溶融炉
東京23区の焼却施設には、現在21の清掃工場がありますが、灰溶融炉を併設しているところが、6箇所ありますが、(上述のほか、多摩川、品川、葛飾)6っ箇所のうち3箇所が今回該当しています。灰溶融を行っているところでは、千数百度での溶融を行っているため、重金属の気化が、考えられるため、ある意味では予測の事態です。
よろしくお願いします。
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