2010年8月15日日曜日

『なにがケインズを復活させたのか?』ロバート・スキデルスキー

貨幣についての松岡正剛さん紹介本の中で、そそられたのがケインズ。


☆「貨幣論()」ジョン・メイナード・ケインズ
松岡正剛の千夜千冊(1372夜)2010・07・17
☆「なにがケインズを復活させたのか?」ロバート・スキデルスキー
松岡正剛の千夜千冊(1373夜)2010・07・20
http://www.honza.jp/senya/1373

ロバート・スキデルスキー著「ケインズ」と「なにがケインズを復活させたのか?」を読んで、知人に「ケインズが面白い!」とメールしたら、「君の日常考えていることとどうつながっているの?」と聞かれました。返事になってないようなその返事が、以下:
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お返事ありがとうございます。

ほんと、なんで突然(私から)ケインズですよね!?!?

松岡正剛の千夜千冊の最近の紹介本を参考にしているのです。今、貨幣に関する本が扱われているのですが、お金に関する見方に興味があるのと、今回は、ケインズその人が面白いと感じたのです。

私は18歳頃から神経症人生だったので、精神を病んだり重い鬱病を抱えてなおかつ仕事をした天才たちの伝記とかをずーっと読んできました。ヴァージニア・ウルフとかウィトゲンシュタインとかに関する興味もそっちから発したものです。ケインズは精神は病んだことのない人なのですが、彼がヴァージニア・ウルフや彼女の姉兄弟を含む私的サークルブルームズベリー・グループのメンバーだったことは知っていました。彼がバイセクシュアルだということも。ウィトゲンシュタインのケンブリッジ時代にケインズは重なっていたのでいくつかの面白いエピソードとかも。

今回、マクロとかミクロとかの経済学的興味よりも、ケインズが「われわれは将来なにが起こるか分っていないし、また予測することもできない。こうした『不確実』な世界では、貨幣が不確実性に対する心理的な保証を与える代物となる」って考えていた、と松岡正剛記事で読み、それで彼がどんな人なのかをもっと知りたいと思ったのです。古典派経済学とか新古典派とかサプライサイドとかぴんと来てなかったのですが、ケインズ本を読んで、大まかにぱっと彼らの見方とケインズの見方の違いが掴めました。経済学と言ってもたかだかこの100年間のああだこうだなんだなってことも。

22歳のバンコク時代にニクソンショックがあって$1=360円から300円に切り上がり、もらってた給料がバーツ建てだったので目減りしました。それが私が最初に受けた通貨変動の洗礼です。会社を始めた1985年にプラザ合意があって急激な円高が進みました。日本国内では円高ですっごい不景気が来ると騒いでたのに、日本はバブルに突入。話が前後しますが1980年にレーガンがカーターに勝ち、1981年からレーガン時代に入りました。その当事米国の友人たちはインフレや金利の話をよくしていました。日本と入れ替わるようにに米国の好景気が来て、その持続や株高、不動産の高騰、ヨーロッパもユーロを導入した頃スペインの家を買おうとしていた友人から不動産の値上がりがすごいので買ったけどすぐ売ったという話を聞いたりしていました。金の流れや振る舞い方が世の中の動きに即つながっていると感じていたので、経済誌を少しずつ読み齧ってきました。日本もそうですがアメリカも同じ、他国もたぶん同じだと思いますが、バブルがはじけるまでは株や不動産やもうけ話に投資しないのは馬鹿だみたいな空気が蔓延、それが一旦はじけると、まったく逆の話になります。それが1985年以降目の前で何度も繰り返されました。

金融工学のイケイケどんどんはコンピュータ技術の発展があったからこそで、それも面白いと思いました。四捨五入の世界で、丸めて世界の枠組みを組み立てシステムとして運営してしまう。無限にある無理数(細部の現実)はすべて落として、無視してしまう。それにみんなごまかされてしまう。いやごまかされたがってるのかもしれない。今回、ケインズを読んで、ケインズはその落とされてしまう細部の働き(現実)を直感として捉えていて、それを拾って枠組みを作ろうとした人だと感じました。

「でも政治の最大課題は皆を食わせることで経済なんですよね」(友人の言葉)ーーケインズの視点もここにあったと思います。ケインズ死後のケインジアンたちはイエス死後の教会の牧師みたいなもので、形にとらわれちゃって、その神髄は政策に生かせなかったような気がします。

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