2011年6月5日日曜日

20110605 「セシウ ム 137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理について(1)」 by 福本勤先生







先程、新しい内容が加わったメールが福本先生から届いたので、以下に掲載します。先生に感謝:

「....去る31日、1日に 廃棄物資源循環学会に参加し、幾つかの場(討論会、会合、意見交換会、昼食会、専門家との議論)で、   セシウム137 Cs を含む排ガスの処理についての下記の愚案 を説明しました。 専門家の考えは「福本案がベスト」でした。
 こうした折、拙文(情報交換文)をお読み下さった京大名誉教授の松井三郎先生が、「皆さんの重要な情報交換に加わります。いままでの 福本様の セシウムを中心とする対策の考え方に賛成です。」との仰せのもと、この情報交換に加わって戴くことになりました。
 同先生のお考えを参考にさせて戴いて、拙文に以下のように 修正を加えておきます。....

ーーーーーーーーー
差出人:  福本勤
件名:  セシウ ム 137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理
日時:  2011年6月5日 12:44:47:JST


    セシウ  137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理について






1. 国立環境研究所から、環境省の「第一回災害廃棄物安全評価検討会」に、焼却炉からの排ガスの処理装置 である バグフィルターによって「セシウムをほぼ100% 捕捉 きる とする資料 提出されている、とのことです。                                
  【因みに、仰せの排ガス中のダイオキシン類の場合は、  ガス中の飛灰の中 に存在するダイオキシン類と  ガス中にガス (蒸気状で存在するダイオキシン類とがあり、   バグフィルターによって ほぼ100%(100%近く)捕捉できますが、   はアンモニア吹き込み位置直後の触媒塔接触分解や活性炭吸着塔によって除去されます。】 
2. 筆者は先般来、セシウ  137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の莫大な量を、大幅に(5%以下に)減らす為の焼却処理を行う場合、  137Cs等の放射性物質の大部分は焼却主灰に含まれることになるが、放射性物質の残部の大部分は排ガス中の飛灰に含まれ、残部の残りである一部の放射性物質が ガス(蒸気) /or  極微粒子のヒューム(フューム。Fume0,01~1μ)として 排ガス中に存在する可能性に言及し、ガス(蒸気)として存在する場合は、排ガス中設置のゼオライト吸着塔で除去できるが、ヒュームとして存在する場合は、ヒュームはバグフィルターでは捕集出来ないことから、排ガスを湿式洗浄して 水に溶けた137Csなどを、ゼオライト吸着塔で除去する という方法を採らざるを得ないと言ってきました。                   
去る31日、1日に 廃棄物資源循環学会に参加し、幾つかの場(討論会、会合、意見交換会、昼食会、専門家との議論)で、   セシウム137 Cs を含む排ガスの処理についての下記の愚案 を説明しました。 専門家の考えは「福本案がベスト」でした。                                   
こうした折、拙文(情報交換文)をお読み下さった京大名誉教授の松井三郎先生が、「皆さんの重要な情報交換に加わります。いままでの 福本様の セシウムを中心とする対策の考え方に賛成です。」との仰せのもと、この情報交換に加わって戴くことになりました。             
 同先生のお考えを参考にさせて戴いて、拙文に以下のように 修正を加えておきます。
                              
3. セシウ  137Csで汚染された可燃性廃棄物を焼却しますと、排ガス中の137Csの大部分は飛灰の中に含まれることになりますが、残りの微量の137Csは、排ガス中の水蒸気に含まれる(水蒸気に溶ける)ことになります松井三郎)。 水蒸気に含まれる137Csは、バグフィルターによって捕捉されずに、水蒸気に含まれたまま (燃焼)ガスと共に、バグフィルターを容易に通り抜けてしまいます。 しかし、この微量の137Csは、排ガス()道にゼオライト吸着塔を設置すれば、これによって吸着除去されます。137Csが排ガス中の水蒸気に含まれるのであれば、 排ガスの湿式洗浄の必要はなくなります。 【ただし、137CsFume(粒径0.011μ)状で存在すると 排ガスの湿式洗浄が必要になり厄介になります。安全の観点から、その可能性に先便で(その一部を上記2項で)触れましたが、その可能性は小さいのではないかと思われます。 これについては 今 微粒子の道の専門家と話をしているところです。実験で要確認かも】。
 以上は、放射能汚染した可燃性廃棄物を 焼却処理して大幅に(5%以下に)減容し、焼却主灰に放射性物質を濃縮し、これを長期間保存して放射線量を時間的に低下させるという合理的な方法が前提になっています。
3a 説明の仕方を変えますと、焼却処理中の137Cs等の放射性物質は 灰中とガス中に分離しますが、ガス中の放射性物質の量は僅かであり、灰中の放射性物質はバグフィルターによって100%近く捕集されます。ガス中の水蒸気に含まれる137Csは バグフィルターを通過します。 バグフィルター通過した排ガス~水蒸気中の137Csは、ゼオライト吸着塔を通すことによって吸着除去されます。極微粒子ヒュームの137Cs等の放射性物質は、 バグフィルターでは捕集出来ないので、排ガスを湿式洗浄して137Csなどを、ゼオライト吸着塔で除去する という方法を採らざるを得ません。
b  バググフイルターを通過した水蒸気中には、陰イオンの塩素、硝酸が残存していますから、それと電気的中性を保存する陽イオンに Na,K,Csが 存在することになります。 ただし、燃焼ガス中のCs量は大変微量ですから、捕捉されるCsも大変微量です。
4. 放射能汚染した可燃性廃棄物は、現在の進んだ焼却処理方法に対策強化して 処理かできます。 問題は 放射能が濃縮する焼却主灰の処分方法です。  原子炉作業で発生する放散線汚染物は、原子力基本法に基づく 最終処分方法が決められていますが、この方法の実行場所は六箇所村になります。しかし 長期保管容積に限界があります松井三郎)
 そこで、 廃棄物埋め立て用の「管理型処分場」を使わざるを得なくなります。 現在の管理型処分場に、焼却灰をゼオライト処理して吸着封じ込め、セメント固化すれば、十分に安全に長期保管最終処分ができます。        
 日本サステな㈱—()環境技術実践機構では、セメントの代わりに 殆ど無料の硫黄を使って硫黄コンクリートを造ることが出来るのですが 、硫黄、( 137Csを含む)焼却灰 、スラグ等から硫黄コンクリートを造って、焼却灰を 硫黄コンクリート固化をすれば、十分に安全に長期保管最終処分ができます。  硫黄コンクリートは、硬さ、圧縮、曲げ、引っ張りなどの強度等々の特性、放射線遮断効果、有害物質溶出等々の点で、セメントコンクリートよりも優れています。廉価です。 因みに、セメント製造時生成のCO2の生成もありません。

そして、例えば、厚さ20mm、2××2mの容器に放射能汚染無機性瓦礫類を入れて長期保管することを提案しています。  これは、焼却灰中の重金属を封じ込めるセメント固化(硫黄コンクリート固化)と同じ方法です。  
 今後、放射能汚染物の核種は、Cs,Sr,その他が増えますが、 ゼオライトの選択吸着能力が高く、CsとSrに対する吸着(実は収着)は確実です。
ただし Pu汚染がある場合は、焼却する前に、Pu除染の前処理が必要です。これは慎重にやる必要があります。今後必ずこの問題が発生すると思います。  Pu汚染は 大変頭の痛い問題です。  Cs,Srについては、処理方法があると言うことで、一概に 喜べないのが 残念です。  u除染の前処理は、極めて難しい問題です。廃棄物の形状と材質で、Puが 化学除染しやすいか、そうでないかになります。酸性水による洗浄で、洗浄水中のPuをイオン交換樹脂捕捉になります。 放射線レベルが低ければ、作業はやりやすいですが、線量が高いと極めてやりにくいです。 さらに重要なことは、 焼却灰中の 放射線レベルが低い場合は、 ゼオライト処理封じ込めの後、セメント固化せず、脱水汚泥で、「一般廃棄物処分場」に埋め立てることです。  浸出水にCsが溶出しなければ問題がありません。どのレベルの放射線量で セメネント固化で管理型埋め立てか、 ゼオライト脱水処理で一般埋めたてか? これは実験をして確認が必要のようです松井三郎)。】

以上、取り急ぎ認め 送信致します。 ご高説、ご意見を 賜ることが出来れば幸甚です。


2011年6月5日     福 本  勤  
        
福  本     
()環境技術実践機構  環境保全工学研究所   
658-0001神戸市東灘区森北町4-15-16
TEL078-411-9606                                                   
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関係ブログ記事:

2011年6月3日金曜日

(追記有り)放射能汚泥、瓦礫関係情報〜焼却処理「セシウムの除去に沸石Zeoliteを使うがよいのでは?」by 福本勤氏







2011.6.5.追記:ちょっとわかりにくいので追記します。

2011.6.3.付け福本先生のメールは、放射能汚染瓦礫の焼却処理の問題に関するもので、以下の3者に別々に宛てた内容を1本にまとめたものを、私宛にも送って下さったものです。ややこしいので1)−4)をメール中に赤字で入れます。
1)東大教授(都市工学科) 森口裕一先生( 1箇月前まで国立環境研究所循環型社会・廃棄物研究センター長) 
2)国立環境研究所 循環型社会・廃棄物研究センター長 大迫政浩先生: 
3)吉田 紀子 様:
4)そして最後に、森口裕一氏から福本先生・関係各位宛の文書が参考のため添付されています。
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2011.6.3.追記: 放射性物質が付着した瓦礫や汚泥の焼却処理に関して、本日福本勤先生から追加情報が入りましたので先生の許可を得て、以下にメールを掲載させて頂きます。福本先生に深く感謝。:
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差出人: 福本勤
件名: 焼却排ガス中のセシウムの除去
日時: 2011年6月3日 9:23:14:JST

1)東大教授(都市工学科) 森口裕一先生( 1箇月前まで国立環境研究所循環型社会・廃棄物研究センター長) 
環境省が考えているように、莫大な量の放射能汚染可燃性廃棄物は、(熱回収しつつ)焼却せざるを得ないと 愚考するのですが、その際 排出する放射性物質セシウム137Cs などは ゼロにしなければなりません。  仰せのように、「福島原発から放出された放射性物質は、地球を1周して再び日本に到達 していると考えられ、微量とはいえ既に「日本中に拡散」していると考えられる」のかもしれませんが、これは想定外(その是非・可否は兎も角)の大津波に起因しており、これまでの拡散は不可抗力的でした(東電~政府の対応に問題があったとは言え)。今後は 我々の力で、放射性物質については 放出ゼロ、大気(~海水、地下水)中の濃度増加ゼロ にしなければなりません。     

にも拘わらず、国立環境研究所から、環境省に、137Csでなく、極低濃度でもないCsについて、バグフィルターによって「セシウムをほぼ100% 捕捉で きる」とする資料が 提出されているとのこと、0.01~1μ程度の極微粒子(fume)状態で存在しているかもしれない137Csを バグフィルターによって果たして本当に「ほぼ100% 捕捉で きるのかな」と思わざるを得なくなり、余計な口出しを 先般来しています。 取り越し苦労でなければ幸いです。 放射能汚染に関しては、疑い深い、取り越し苦労的 発言をしても よいのではないかとも思っています。

2)国立環境研究所 循環型社会・廃棄物研究センター長 大迫政浩先生: 
排ガス中に極低濃度で存在する137Csを バグフィルターによって 果たしてほぼ100% 捕捉で きるのかどうか、実験で確かめるのが一番良い、一番速いと愚考しています。 バグフィルターによる除去効率がほぼ100%でなければ、湿式洗浄せざるを得ないように思います。 原子力安全保安院や環境省に、実験費用を用意して貰えるのであれば、焼却炉メーカーの協力のもと、私が実験で確かめさせて戴くことはできます。 基礎実験も 出来ればと思っています。 如何でしょうか?  次の吉田さん宛拙文メールご参照。

3)吉田 紀子 様:
去る31日、1日に 廃棄物資源循環学会に参加し、幾つかの場(討論会、会合、意見交換会、昼食会、専門家との議論)で、  セシウム137Cs を含む排ガスの処理についての下記の愚案を説明しました。 専門家の考えは「福本案がベスト」でした。 反論も内心期待していましたが、皆無でした。下記には、先便に記載の愚案に僅かながら加筆しています。

1.国立環境研究所から、環境省の「第一回災害廃棄物安全評価検討会」に、焼却炉からの排ガスの処理装置 であるバグフィルターによって「セシウムをほぼ100% 捕捉で きる」とする資料 提出されている、とのことです。                                
因みに、仰せの排ガス中のダイオキシン類の場合は、①排 ガス中の飛灰の中に存在するダイオキシン類と ②排 ガス中にガス(蒸気)状で存在するダイオキシン類とがあり、①は  バグフィルターによって ほぼ100%(100%近く)捕捉できますが、  ②はアンモニア吹き込み後の触媒塔(接触分解)や活性炭吸着塔によって除去されます。                                    
セシウムの場合は、 極微量、極低濃度でなければ、排ガス中にガス(蒸気)状でない状態で存在するセシウム の量は比較的に少なくなく、バグフィルターの みによってほぼ100%捕捉できるのでないかと愚考されます。しかし、今問題のセシウムにつきましては、極微量、極低濃度と思われるだけに(セシウ ム137Csは、極微量、極低 濃度でも大変問題になります)、 存在状態を知る為のデータが乏しく、「ほぼ100%捕捉」と断言できるのかどう か よくは分りません。                             
セシウム137Csは、(1) ガス状では全く存在しないのかどうか、或いは (2)バグフィルター を通り抜けるような固体微粒子(ヒュームFume。0.01~1μ)状で存在しないのかどうか につきましては、 今のところ自信をもって言うことができません。

極微量、極低濃度の 場合、セシウム137Csに ついては、極微量でも大変問題になるだけに懸念される訳です。    

国立環境研究所から、環境省への提出資料が 極微量、極低濃度の場合も含む実験のデータに基づいているのであれば、問題ないと思います。

2.僕 は大学院生の時に、分子ふるい (Molecular Sieve)【沸石(Zeolite)を加熱すると分子サイズ の大きさの均一な細孔のMolecular Sieveができる】を使って、NaやKの 吸着実験をしたことがあるのですが、このZeoliteを、 NaやKと 同じアルカリ金属のセシウム137Cs の吸着・除去に使うのが よ いのではないかと思っています。                                                  
これには、① 排ガス中にゼオライト吸着塔を設置する方法と ②水中にゼオライト吸着塔を設置して、排ガスをゼオライト吸着塔を通して湿式洗浄する方法が考えられます。 137Csはガス(蒸気)状で存在する可能性は低いこともあり、 ②の方が 吸着効率は高く実際的であるように思われますが、どの程度の吸着効率が得られるかを把握する為に 実験してデータを採る必要があります。 セ シウム137Csが、 ガス状では全く存在しないのが明らかであれば、バグフィルターの後に吸着塔などを設ける必要はありません。  これを水に溶かして湿式洗浄、吸着除去する②の方法が よいように思われます。

福島県に設置、使用されている日造、川重、タクマ、MHI、荏原などの全連続式焼却の何れかから連続的に抜き取った排ガスの一部を、湿式洗浄、吸着除去する実験をするのがよいと思っています。上記焼却炉メーカーさんのうち、ご協力戴けるメーカーさんの協力を得たいと思っています。タダでご協力戴く訳にもいきませんので、原子力安全保安院や環境省から、幾らかお金が出ないものかと思い、折衝しようとしています。

3. 焼却主灰中に移行したセ シウム137Csに ついては、セシウム137Csを 含む焼却主灰全体を放射性廃棄物(一 定のレベル以上の放射性廃棄物)と して、放射線遮蔽効果の大きい代替コンクリート(一 般に利用されているセメントコ ンクリートよりも、強度、硬 さ、放射線遮蔽効果等々が大き く、製造時CO2排 出量も大幅に少ない。詳細遠からず公表)で 作った貯蔵箱、例えば 2×2×2m3の 貯蔵箱に入れて、長期間保管すればよいと思っています(先便 ご参照)。

取りあえ ず 取り急ぎ以上お知らせ致し ます。 僕の考えと異なる考え をする方がおられましたら、そ の方のお考えをお知らせ下さ い。どんな ご意見 でも歓迎しますので、お知らせ 戴ければ幸甚です。

2011.6.3 朝     福 本  勤

(財)環境技術実践機構 理事                            
環境保全工学研究所 代表          
中国 清華大学  客員教授          
京大工博  福  本     勤                         
環境保全工学研究所 〒658-0001神戸市東灘区
森北町4-15-16 TEL:078-411-9606                                                    

4)福本先生・関係各位

「放射能汚染された瓦礫や下水汚泥が燃やされると日本中に放射能汚染が拡散されるのではないか」 というご懸念があることは、行政側でも十分に意識されていると思います。「日本中に」とされているのは、被災地支援のために、福島県外の自治体が 焼却処理に協力される場合を想定されているのではないかと思いますが、現時点では放射能汚染レベルの高い地域からの廃棄物の広域的な移動は行わな い措置がとられていると認識しています。誤解を恐れずにあえて申し上げれば、福島原発から放出された放射性物質は、地球を1周して再び日本に到達 していると考えられ、微量とはいえ既に「日本中に拡散」していると考えられます。論点は、廃棄物の焼却によって、それを大幅に上回る拡散があるか どうか、ですが、大気中への放出は内部被曝につながる恐れがあるため、慎重に考えるべきことはいうまでもありません。

森口祐一@東大都市工(前国環研循環型社会・廃棄物研究センター)

(2011/05/30 8:49), 福 本  勤 wrote:
 Subject: セシウムの除去に沸石Zeoliteを使うがよいのでは?Re: 放射能汚泥、瓦礫関係情報

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以下記事掲載日2011.5.30.

現在、放射能汚染されたがれきや下水汚泥が燃やされると日本中に放射能汚染が拡散されるのではないかと心配する声がインターネットやTwitterで広がっています。「燃しても大丈夫なのか?」「一般焼却炉に放射性物質を除去する装置や技術はあるのか?」「移動しても大丈夫なのか?」などなどです。

そこで、5/28日にこの問題の専門家である神戸の福本勤先生(「福島第一原発 放射性廃棄物の処理。政府の方針。問題点。解決案」by 福本勤氏に電話で聞いてみました。先生の答えは以下の通りです。福本先生に感謝。:
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差出人: 本  勤 
日時: 2011530 8:49:46:JST
Subject: セシウムの除去に沸石Zeoliteを使うがよいのでは?
Re: 放射能汚泥、瓦礫関係情報

1.国立環境研究所から、環境省の「第一回災害廃棄物安全評価検討会」に、焼却炉からの排ガスの処理装置であるバグフィルターによって「セシウムをほぼ100% 捕捉できる」とする資料 提出されている、とのことです。

因みに、仰せの排ガス中のダイオキシン類の場合は、①排ガス中の飛灰の中に存在するダイオキシン類と②排ガス中にガス(蒸気)状で存在するダイオキシン類とがあり、①は バグフィルターによって ほぼ100%捕捉できますが、②は アンモニア吹き込み後の触媒塔(接触分解)や活性炭吸着塔によって除去されます。

セシウムの場合は、極微量、極低濃度でなければ、排ガス中にガス(蒸気)状でない状態で存在するセシウムの量は比較的に少なくなく、バグフィルターのみによってほぼ100%捕捉できるのでないかと愚考されます。しかし、今問題のセシウムにつきましては、極微量、極低濃度と思われるだけに(セシウム137Csは、極微量、極低濃度でも大変問題になります)、存在状態を知る為のデータが乏しく、「ほぼ100%捕捉」と断言できるのかどうか よくは分りません。

セシウム137Csは、(1)ガス状では全く存在しないのかどうか、或いは (2)バグフィルターを通り抜けるような微粒子状で存在しないのかどうか につきましては、今のところ自信をもって言うことができません。  極微量、極低濃度の場合、セシウム137Csについては、極微量でも大変問題になるだけに懸念される訳です。

国立環境研究所から、環境省への提出資料が 極微量、極低濃度の場合も含む実験のデータに基づいているのであれば、問題ないと思います。

2.僕は大学院生の時に、分子ふるい(Molecular Sieve)【沸石(Zeolite)を加熱すると分子サイズの大きさの均一な細孔のMolecular Sieveができる】を使って、NaKの吸着実験をしたことがあるのですが、このZeoliteを、NaKと同じアルカリ金属のセシウム137Csの吸着・除去に使うのが よいのではないかと思っています。

これには、①排ガス中にゼオライト吸着塔を設置する方法と ②水中にゼオライト吸着塔を設置して、排ガスをゼオライト吸着塔を通して湿式洗浄する方法が考えられます。 ②の方が 吸着効率は高いように思われますが、どの程度の吸着効率が得られるかを把握する為に 実験してデータを採る必要があります。 セシウム137Csが、ガス状では全く存在しないのであれば、これを水に溶かして吸着除去する②の方法が よいように思われます。

 3.焼却主灰中に移行したセシウム137Csについては、セシウム137Csを含む焼却主灰全体を放射性廃棄物(一定のレベル以上の放射性廃棄物)として、放射線遮蔽効果の大きい代替コンクリート(一般に利用されているセメントコンクリートよりも、強度、硬さ、放射線遮蔽効果等々が大きく、製造時CO2排出量も大幅に少ない。詳細遠からず公表)で作った貯蔵箱、例えば2××2m3の貯蔵箱に入れて、長期間保管すればよいと思っています(先便ご参照「福島第一原発 放射性廃棄物の処理。政府の方針。問題点。解決案」by 福本勤氏)

取りあえず 取り急ぎ以上お知らせ致します。 僕の考えと異なる考えをする方がおられましたら、その方のお考えをお知らせ下さい。どんな ご意見でも歓迎しますので、お知らせ戴ければ幸甚です。
2011.5.30     福 本  勤


()環境技術実践機構 理事                            
環境保全工学研究所 代表          
中国 清華大学  客員教授          
京大工博  福      勤                                             
環境保全工学研究所 658-0001神戸市東灘区
森北町4-15-16 TEL078-411-9606                                         E-mailt2fukumoto@gaia.eonet.ne.jp  
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関連情報:


以下、原発震災廃棄物・広域処理問題まとめhttp://www47.atwiki.jp/tsunamiwaste/
から掲載させて頂きます。

1。5/27 原子力安全保安院14:00~会見「汚染された瓦礫のサンプリング結果」
http://togetter.com/li/140826

2。5/27 経産省の報道発表資料
福島県内の仮置き場における災害廃棄物の放射性物質濃度の測定結果について
http://www.meti.go.jp/press/2011/05/20110527002/20110527002.html
クリアランスレベル0.01ミリシーベルト/年→4.38ミリシーベルト年へ緩和?

3。福島のがれき、会津地方と同等線量なら処分可能

4。各地の動き~放射能汚染瓦礫の移動、焼却に反対:

5/30 北海道北見市で原発震災がれきの受け入れ報道が流れました 
この報道について、有志が問い合わせ結果を報告してくれました

5/29 京都市がれき焼却反対HPができました 

5/25 徳島県石井町で原発震災がれきの受け入れ報道が流れました
http://panda.betoku.jp/article/0402967.html 


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関係ブログ記事:







2011年6月2日木曜日

放射能汚染がれき処理:「福島県沿岸部でがれき処理が再開  放射能汚染の基準をめぐる不整合」 週刊ダイヤモンド 2011年6月2日

福島県沿岸部でがれき処理が再開 
放射能汚染の基準をめぐる不整合

週刊ダイヤモンド 【第602回】 201162
http://diamond.jp/articles/-/12530
福島第一原子力発電所から近い福島県中通り・浜通り地域の災害廃棄物(がれき)処理が527日、一部の地域で再開されることが決まった。

震災以降、外に長時間放置されたがれきは大量の放射能に汚染された可能性が高く、焼却やリサイクル処理の過程で放射性物質を拡散させてしまう危険性があった。そのため、環境省の指導により県内の仮置き場に集められ、いっさいの処理と県外への移動が制限されていた。

ただ、処理が再開された地域でのがれきの放射線量は、原発から遠く離れた福島県内陸部の会津地方と同等かそれ以下であったという。これらのがれき処理の再開で、復興は着実に前進することになる。

だが、そこには縦割り行政ゆえとも言える矛盾が横たわっている。

放射能に汚染された建材やコンクリート、鉄くずというものは、本来であれば一般的には存在するものではない。通常であれば、こうした放射性廃棄物は、役割を終えた原発の廃炉の工程で大量に出るものであり、きわめて特殊なケースでしか存在しないものといえる。

原発の廃炉における放射性廃棄物の処理については、経済産業省原子力安全・保安院が原子炉等規制法によって厳しく規制している。廃棄物に付着した放射性物質の拡散を防ぐためだ。放射性廃棄物か否かの基準は「クリアランスレベル」といって、10μSv/年(0.001μSv/時)がその境として定められている。

人間が1年間に自然環境から受ける放射線量の世界平均は2.4ミリSv/年(2400μSv/年)といわれるので、このクリアランスレベルの基準値は、かなり厳しく設定されていることがわかる。

ところが、今回は未曽有の原発事故により、普段ならありえないはずの放射性廃棄物が原発の外側に散在しているのである。

つまり、中通り・浜通り地域の多くの地点に残されているがれきの放射線量このクリアランスレベルをゆうに超える可能性が高い原子炉等規制法のクリアランスレベルに則れば、同地域のがれきはほとんどが放射性廃棄物に区分されると見られる。

ところが「災害廃棄物」の処分についての管轄は環境省であり、当の環境省はこの状況に対して、「原子炉等規制法は原子力発電所などの原子炉施設に関して適用される法律。今回のような大量の災害廃棄物を放射性廃棄物として処理するのは現実的ではない」としてクリアランスレベルの適用はしない方針だ。そもそも、クリアランスレベルの基準値は、前述の通り自然界に存在する放射線量よりも低い値であり、そのことも今回適用しない理由として挙げている。

だが、ある原発メーカー幹部はこう話す。「原発の廃炉の過程では、われわれはクリアランスレベルに則ってコストをかけて放射性廃棄物を処理しているわけで、大量だから、災害廃棄物だから別というのは矛盾している。とはいえ、福島でも同じようにやれなんて言えないし、それは無理であるのも事実。政府は安全性と既存の法律との整合性を考えながら玉虫色の着地点を探しているのだろう」

環境省では「災害廃棄物安全評価検討会」で、まだ廃棄物処理が再開されていない地域についての具体的な処理方法を決めていく。同省職員は「地域住民へ説明するための論理構成を詰めていかなくてはいけない」と漏らす。

経産省が産業界に課している厳しい安全規制を適用するか、復興を急ぐべく現実的措置をとるか──。地域住民のみならず、廃棄物処理で協力を申し出ている他の自治体の住民からも賛否両論が巻き起こることは必至である。環境省は板挟みになりながらの、高度な判断が求められている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 片田江康男)