2011年1月10日月曜日

セメント大手4社、廃棄物処理事業に積極投資 日経WEB 2011/1/6 0:15


セメント大手4社、廃棄物処理事業に積極投資 

日経WEB 2011/1/6 0:15

http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819596E2EBE2E3E28DE2E7E2E3E0E2E3E38698E0E2E2E2;at=DGXZZO0195165008122009000000

セメント大手4社が廃棄物処理事業への投資を拡大する。三菱マテリアルは60億円を投じ、新たに都市ごみ焼却灰の受け入れを始める。宇部興産は下水汚泥の処理設備などに40億円を投資する予定。以前から処理してきたセメントの原燃料となる廃タイヤなどが、原油価格の上昇で他の業界でも需要が高まり、奪い合いの状態になっている。このため、利益率も高い都市ごみ焼却灰などの受け入れ能力の増強を急ぎ、セメント需要減少の影響を和らげる狙いだ。
 三菱マは2011~13年度に廃棄物処理事業で60億円の投資を検討している。新たに都市ごみ焼却灰や廃車の内装の粉砕ごみを受け入れるため。
 セメントの原燃料にするための塩素の抜き取り装置を苅田工場(福岡県)に設ける。下水汚泥の乾燥設備も増強、工場周辺の自治体から有償で受け入れる。13年度には同事業の売上高を09年度比15%増の約160億円とする計画だ。
 宇部興産は10~12年度の3年間で廃棄物処理事業に40億円を投じ、売上高を09年度の130億円から毎年10億円ずつ増やす狙い。伊佐工場(山口県)に下水汚泥の乾燥設備を設けるほか、宇部工場(同)で都市ごみ焼却灰の受け入れ能力拡大を検討する。
 太平洋セメントも11年度からの2年間で20億~40億円程度を投じる。セメントの減産に伴い、廃棄物の受け入れ量は減るが、処理料の高い廃棄物への転換を進める。
 北海道の上磯工場には都市ごみ焼却灰の異物除去設備を新設。大分工場では廃車粉砕ごみを新たに受け入れる。この事業の売上高を10年度見込みの573億円から「毎年少しでも上積みしていきたい」(山浦信幸取締役)としている。
 住友大阪セメントは今後、年数億円から十数億円を継続して投資する方針。岐阜工場で5月から廃車粉砕ごみを、赤穂工場(兵庫県)では8月から都市ごみ焼却灰の受け入れを始めた。今後も保管施設や塩素抜き取り装置を増強する。
 廃棄物の受け入れは費用が少なく、売上高の多くが利益として残る。低コストのセメントの原燃料にもなる。各社のセメント事業はこれがなければ採算の確保が難しいといわれる。不純物が少なく燃料として使いやすい廃プラスチックや廃タイヤを以前から受け入れてきたが、原油価格上昇で製紙会社などの需要も高まり、廃タイヤの一部ではセメント会社が引き取り費用を負担している。
 一方で都市ごみ焼却灰や廃車粉砕ごみは他の業界が手を出さないうえ、受け取る処理料は廃プラの6倍以上という。セメント減産で各社が必要とする廃棄物の量は頭打ちだが、少しでも処理料の高い廃棄物の割合を増やし、収益拡大を目指す考えだ。

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