From: 満田正
日付: 2012年5月26日
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南相馬内部被爆の実情が報道されていた。
2011/10子供(中学生以下対象1688)67.7:大人(高校生以上対象7814)31.1
2012/01子供67人:大人114人高線量者の内、子供全員、大人112人の線量が減少した。
2012/03子供(中学生以下)99.2:大人(高校生以上)67.7
発表:福島県南相馬市立病院坪倉正治医師:検出限界体重60kgで4Bq/kg
この数字は、大人と子供の新陳代謝の差を表すものである。
問題は、4Bq/kgの検出限界が、身体に影響をもたらさないのか、また、子供で、3人に1人、大人で3人2人と内部被爆した現実をどのように見るか。その影響が出るのは、数年から数十年後だと言われている。
もっと、怖いのは、3ヶ月で体内の放射性物質が新陳代謝で吐き出されたことは、10月以前の内部被爆量が如何に大きかったかを物語る。
そして、内部被爆が現状ないと分っても、以前の被爆による影響がどのように影響するかの問題が隠されている。それは、線量測定も重要だが、今後の健康診断が欠かせないことを意味する。これは、福島の人々の問題よりは、放射能汚染されている地域の全国的な問題でもあることだ。
4人組とは危険信号ではあるが、とにかく20~23日を三泊4日の危険旅である。実は、途中で31歳の若者も加わったので、実は5人の行脚である。
4人といっても三者三様の目的と期待があって、このチャンスを活かしたいとそれぞれが思っている。でも、基本は、隊長Tの指示に従うという建前があるので、大きく隊列が崩れることは無い。
むしろ、それぞれの行動が勝手なので、相互援助を考えると倍のエネルギーが発揮されたとも思う。
最初の到達地点は、福島市、駅前の放射線量の多さである。この線量の高さは以前に経験済みであるが、もちろん改善されているはずも無い。モニタリングポストがあるというので、覗いてみたが、壊れて動いていないらしい。既に福島県は緊急時の意識が無いのだろう。
福島アースデイがあるというので、参加目的で1日工程を増やしたのが、そもそも強行軍の遠因である。
流石にアース会場内はコンクリートビル内では屋外の1/10と線量が低い。子供が多く遊んでいるのを見かけるが線量には1.0μSv/h以下と問題ない。雑多なお祭りだが、ちらほらと知り合いが居たので、助かった。
福島の子供を保養させるという常連のグループも居て、今後の展開が楽しみである。ここでの責任者の言動はクリアーである。徐染ソーラや線量系の売り込みを行うことも目的であったのだが、担当者は全てが「私」に結びつけること、ビジネスであることを明記すること、中途半端なビジネスは既に終わっていることなど参考とする意見が多かった。こちらの姿勢の曖昧さをずばりと見透かされた感じである。
次にお会いしたS氏も実に明快な語り口で応対してもらった。福島では徐染よりも即座に避難すべきであるとの主張の持ち主である。福島での多くの人々の出会いで良く聞く言葉である。S氏は川俣村出身で、広い土地が作付けも出来ない状態である。井戸水も出ないのか、出ても使えないのか、難儀している風である。そして、その水で米を研ぐと、黄色に変色する理由が分らないと言う。
圧巻は福島市渡利地区の徐染作業を知ったことである。昼ごはん時として、徐染作業は見ることが出来なかったが、徐戦後の作業結果を見ることが出来た。いわゆる徐染作業は汚れた土を表面5cmほど剥ぎ取ることである。この作業で、5割程度の徐染率が可能である。ところが、住民の期待虚しく徐染した後にも関わらず、目標の0.4μSv/hを超えている場所が多い。これはもともと、0.8μSv/h汚染があるのか、徐染作業の効率が悪いのかのどちらかである。それに、5割の徐染効率を得ることは容易でないことも、いわき市での徐染作業では経験済みである。
さらに驚くべきことは、こうした徐染された土が土嚢袋に入れられて、ところどころに山積みである。ブルーシートがかけられているものの、その放射線の影響は無視できないし、それ自体は、早めに撤去しないと末恐ろしい。この事実を住民には知らされていないようである。仮置き場が出来るまでとの約束であるが、その目処は立っていない。仮置き場が無いことは放射能汚染土砂が延々と住宅地に積みおかれることである。
さらにさらにこの0.4μSv/hは国基準の0.23μSv/hを大幅に上回っていることである。とりあえず、現状の半分以下という目標が分らないではないが、国も、県も、そして市も、決められた数値は守られるべきである。そうでないならば、ひとまず住民退去が必要である。住民はこの基準の重さを知るべきである。県庁所在地福島市でこのようなずさんさが放置されていることの恐ろしさを感じる。
もっと恐ろしいことには、社会福祉協議会の建物に行って、言われるままに観測をすると、その線量が10μSv/hを超えていることだ。人の出入りの激しい、こうした公共施設での高線量は1日10時間、100日で国の基準1mSv/hを超えてしまう。そこの職員はどのように考えているのだろうか。
最初の1日はカラオケボックスでの寝泊りである。ホテルでないと皮肉を言われながらも、一泊1000円未満、飲み物一杯を別途注文とは結構の安上がりであるが、一晩中の太鼓と下手な歌声には往生した。
生憎の雨だが、福島市役所での徐染ソーラー、線量計の宣伝活動はそれなりの充実感がある。とにかく、モデル事業である渡利地区の徐染作業が福島市の方針であることは呆れるばかリである。その徐染目標値が0.4μSv/hであることも驚きであるが、0.23μSv/hであれば、作業者には防毒マスク、防護服を必要とすることが守られていない。この責任は誰が取るのであろうか。そんなことを市役所で述べたが、善処しますと言うに過ぎない。
住民がこのことを知らされないことも問題である。多くの住民は待機しているので、徐染作業の傍に居る。当然、国の基準は守られなければならない。殆んどの住民はこの事実を知らされて居ないようである。
途中、放射能市民測定所に立ち寄った。そこでは、食品の検査と内部被爆の検査が行われている。食品検査には1kgの食品で30分以上の測定時間を要する。これでは、検査費用が莫大であり、その測定費用は半端ではない。市民が納得できるは食品検査が行われているかは難しい。それでもゲルマニューム半導体を使っての検査は測定限界1Bq/kgと精度が良いし、その測定結果は満足できるものである。
このゲルマニュームを使った線量計に対抗してヨウ素半導体を使っての測定は測定限界10Bq/kg精度が落ちるが、コンパクトに仕上がっているらしい。T氏の売り込みはこの線量計に対してのものであるが、営業は簡単ではなさそうである。
南相馬に行く途中で完全自然農法(無耕作農法)を行っているO氏を尋ねた。最初は2反、今は1反、全く耕作しないで稲栽培をするという福岡農法を初めて目にして驚くばかりである。収穫もそこそこであると言う。田んぼに入ると、その土壌の柔らかさに驚いた。田植えの面倒くささはあるものの、その後は放置である。私が子供時代に嫌だった冷えぬくも無い。ひえは生えてもひょろひょろだそうだ。雑草も殆んど生えない。夕方の淡い光を受けて、淡々と説明するO氏の表情によどみはない。要するに、雑草を含め稲穂以外の有機物を腐らせることで腐葉土を作り、強い稲が育つということである。
この日と次の日は南相馬住民であるI氏の家であるが、電気、水道なしの原始生活には驚きである。としても、その殺伐さを感じるよりはほっとする雰囲気は改めて、文明とは何かを問わざるを得ない。私ども4人は二泊三日である。I氏はそれが日常である。歴然と精神的ハンディを感じざるを得ない。
次の朝は、牧場のお手伝いをした。30頭近くの乳牛の餌として牧草を運ぶ仕事である。牧草は、北海道、アメリカからの支援物資である。その量にもびっくりしたが、縛られた牛の姿は寂しい。1日前に生まれたという子牛も居た。乳牛はお産しないと乳が取れない。お産を2,3度は繰り返す。お産が出来なくなると肉牛になる。ここにも悲しい物語である。雄に生れるとそのまま、肉牛として育てられる。人間の性を思い知らされた。
竹の子を持って帰れというのでその気になった。実は貰うのを忘れてしまったのであるが、ここの竹の子は線量が1000Bq/hを超えるという凄まじさである。忘れて良かったというよりも、高線量であっても竹の子食いたいの気持ちはなくならない。竹の子の線量測定もそうだが、新たな線量計で測定したものだ。今更ながら、高線量下での牧場経営の先行きが心配となる。
次の日は雨の中、3月末にひまわりを植えるイベントに参加した、その後を見るために立ち寄った。そこでは、仮住宅に住まう人々、それを世話するボランティア、立派に育った、ひまわりや野菜を見ることが出来た。
さらには、この地域で苗の王様と言われるT氏を尋ねた。T氏は、ひまわりプロジェクトの推進に大きな役割を果たしたようだ。
南相馬市役所へ赴いた。桜井市長が居たようだが、多忙とて面会を断られたようだ。それぞれに営業をしていて、私は徐染ソーラの説明に一箇所付き合った。それ以外は、寝不足もあってか椅子で居眠りだった。
その後、最近立ち入りが解除された南相馬市小高地区の見学を行った。先月に行った時とは状況は殆んど異ならない、津波被害がそのままである。途中、六角というレストランに立ち寄った。ここは廃棄物の無断放棄に対抗しての14年間の裁判訴訟を行った人物が居て、それが勝利したことを教えてくれた。この訴訟は14年間も続き、南相馬桜井市長も仲間の1人であったようである。運動の何たるかをぼそぼそと教えられた。
最終日は、伊達市で、2町歩の畑をEM菌を使って栽培している農家を訪れた。この大農業経営者T氏は大規模農法、EM菌農法に自信をみなぎらせていた。特に、農業がビジネスとして成長するためには、大規模商業との結びつきを強調した。頂いた小松菜は甘みがあって大きいのにはびっくりした。ただ、「無農薬は絵に描いた餅」との言葉には承服しかねるが、ニコニコしながら、説明してくれる人への反発は難しい。この農法で作られた野菜を消費者が望んでいるのだと実感した。
次に会ったのは、線量計を手がける技術者O氏だった。示されたGPS付き線量計は韓国製で、危険なときには警報機能、サーバを接続してのコールセンター機能もあると説明された。これはアメリカのIT展示会で、ワイアレス賞を貰ったようである。今後、ドコモとの提携を狙っていて、日本、世界初の線量系ネットワークが可能であるとの意気込みが伝わった。
そのような彼も、自らが線量計も作れる技術者であるようだが、この道では結構騙されたようだ。
最後に、廃棄物のコンクリートボックスを作っている東京セメント工業㈱を訪問し、徐染ソーラとの提携を打診した。既に多くの経験・試行錯誤の末でのことであり、前向きの話は出来なかったが、相互理解は出来たようだ。私は、会議後その場にメモ用バインダーを忘れるという失態をやった。そこに記されたデーターは日立堀場製、ウクライナ製、ドイツ製、その他を比較した観測結果であり、精密を必要とする徐染作業とはかけ離れたメモが書いてあり、若干の戸惑いを感じたが、仲間は、そのメモバインダーを取りに引き返さざるを得なかった。
最後の訪問を終えて、東京駅には、11時半到着である。
全くの強行軍であるが、私は色々のことを学んだ。-------------------------------------
市民の内部被ばく検診結果(2) - 南相馬市
www.city.minamisoma.lg.jp/.../hibakukenshinkeka2.jsp - キャッシュ
2012年5月15日 – 現在位置:HOME > から東日本大震災関係インデックス > の中の市民の内部被ばく 検診結果(2) ... 南相馬市総合病院で、実施したWBCの検査結果は次のとおりでした。 1 .検査時期 平成23年9月26日から24年3月31日 (前期 23年9 ...
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