「水銀条約」条文案骨子が判明 水俣病を教訓に 2010年12月18日くまにちコム
http://kumanichi.com/news/local/main/20101218001.shtml
水俣病を教訓として国連環境計画(UNEP)が2013年に制定する「法的拘束力のある水銀条約」の条文案骨子が17日、分かった。地球規模の健康被害防止のため、締約国に水銀を排出元から断つ対応を求め、(1)水銀の供給と貿易(2)製品への使用(3)環境中への排出-の三方から規制を掛けるのが柱。条約の成否は発効から4年後に評価する。
条文案は今後各国とNGOの意見を基に修正、肉付けをしていくが、年間約150トンもの輸出を続ける日本も国内対応を迫られる。
国連が1月24日から千葉市で開く第2回政府間交渉委員会(INC2[インクツー])に提案する。
条文案骨子は条約の目的を「水銀と水銀化合物の人為排出がもたらす、地球規模の健康被害と環境汚染の拡大を防ぐこと」と規定。
供給削減では▽鉱山から採掘した水銀と水銀化合物の輸出を認めない▽採掘場の位置報告と条約発行後、一定期間内の閉鎖▽余剰水銀の安全な方法による国内保管-を求める。
製品への使用削減では、対象を電池、計測器、蛍光灯など照明、スイッチや継電器、歯科用水銀に限定し、製造・販売・流通・輸出を認めない。代替製品導入まで5年間の経過措置も設けるとした。
懸案の環境排出対策では、大気中への排出量が多い(1)石炭火力発電と産業用ボイラー(2)非鉄金属生産施設(3)廃棄物焼却施設(4)セメント製造工場-の4分野を特定、国が削減計画作る。水・土壌への汚染源として水銀の使用施設、含有物廃棄場、リサイクル施設、金採掘場などを指定、削減と適正処理を促す。
発展途上国には技術や金融支援をする。
水俣病発生で日本の水銀対策は途上国より進んだが、地方自治体や国民への周知がなされておらず、不適正処理が後を絶たない。水俣病経験国として「水俣条約」の命名を求める日本は、条約化への取り組み姿勢も問われそうだ。(井芹道一)
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