中国の影響?大気中の水銀濃度が冬に上昇 県内 2010年12月10日
くまにちコム:熊本のニュース
http://kumanichi.com/news/local/main/20101210003.shtml
宇土市にある県保健環境科学研究所(保環研)は、県内で大気中の水銀濃度が
冬場に上昇する傾向があることを突き止めた。中国大陸からの越境汚染が問題化
しているが、中国では水銀放出量の多い石炭を暖房用に使用。水銀濃度が高い日
は大陸から気塊(大気のかたまり)が到達していることも分かった。
冬場の上昇は国立環境研究所が沖縄で雨水から観測しているが、九州では初め
て。保環研は大気汚染物質の中国からの移流を示唆するデータとして注目してい
る。
保環研は月1回、有害大気汚染物質を調査。2008年1月には宇土市など県
内3地点で平均値の2倍超の4・0〜4・2ナノグラムの水銀を検出した。濃度
変動と原因を明らかにしようと同年10月から10年3月までの1年半の間毎日、
大気中の水銀濃度と硫酸イオン濃度を調べた。
その結果、水銀の平均値は1・9ナノグラム、最大値は5・6ナノグラムとな
り、平均値、最大値ともに冬に高くなる傾向が見られた。国の指針値は40ナノ
グラム。保環研は「最大値でも指針値の7分の1程度で、健康への影響は考えら
れない」としている。
環境省の資料では、中国の水銀濃度の平均値は00年度以降、5〜10ナノグ
ラム、韓国も05〜06年が3・2ナノグラム。09年には中国科学院も「石炭
暖房を使う冬に上海など主要7都市で水銀濃度が最高値になる」と報告している。
ただ、保環研の調査では、石炭燃焼時に放出される硫酸イオン濃度との明確な
相関関係はみられなかった。
保環研大気科学部の工藤聖研究員は「中国のエネルギー消費の影響を受けた可
能性があり、国際的な越境汚染対策が必要」と強調。
熊本大大学院の小島知子准教授(大気環境学)も「このデータだけで越境汚染
と断定できないが大気汚染物質の大陸からの移流は研究者の一致した見解。影響
は日本全体に及ぶが、大陸に近い九州や日本海側のリスクは高い」と指摘してい
る。(福井一基)
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