2014年6月17日火曜日

20140617 青木泰さんからのメール「福島での指定廃棄物焼却問題について—鮫川爆発&同意書偽造他」



差出人: 青木泰
日時: 2014年6月17日 11:39:25:JST
件名: 福島での指定廃棄物焼却問題について—鮫川爆発&同意書偽造他


皆様へ(BCCでお知らせしています。重複送信失礼します。)
お世話様です。
福島での指定廃棄物他汚染廃棄物御焼却問題が、これまで福島連絡会の皆さんを中心に取り組まれてきています。
私も今年2月に郡山市の復興資金流用化問題での学習会以降、3月23日の同会主催の学習会などに参加し、4月には、再度参加し、議論もさせていただきました。
そこでの議論の内容を今後に向けて少し整理しました。
添付しましたので、ご笑覧いただければ幸いです。
青木泰

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福島での指定廃棄物他の焼却問題について 
        2014614日  環境ジャーナリスト 青木泰
  
 はじめに
426日の郡山市での福島連絡会による焼却問題の講演会で、議論になった鮫川問題と、住民活動側からの焼却に代わる対案問題について、お伝えします。
関連して、環境省との交渉(523日―参議院会館-環境省レクチャー)で鮫川問題がどのように話し合われたのかもお伝えし、この情報を今後の活動にどのように生かすかを考えたいと思います。(*1:IWJ報告 「スクープこれが法治国家か」佐々木隼也、岩上安身(http://iwj.co.jp/wj/open/archives/145861)参照)
住民側からの対案、焼却しないでも減容化はできる件については、414日の岩手県学習会での私の提案も報告しながら、明らかにしたいと思います。

1.     議論になった要点
議論になった要点は、鮫川村の現状をどのように把握するかということと、焼却に対しての我々の対案は?という2点です。
元々323日に開催された福島連絡会と326政府交渉ネット共催の学習会に出させていただき、学習会の今後の進め方への1提案として、私の方から下記3点を提案させていただきました。
   郡山リサイクル協同組合の産廃焼却事業に対して、周辺住民から訴えがあるので、この問題を緊急課題として取り上げる
   鮫川村での実証事業と塙町でのバイオマス発電の闘いがどのように進んできたのかを、共有し、今後に生かして行く
   福島における指定廃棄物焼却炉建設の実態報告や闘いの現状報告を受け、
それに対しての対策対処を考える。
    この提案も加味していただきながら、4月最初に和田、深田、森園そして青木で今後の進め方について、スカイプを使って話し合いが行われ、私の提案も説明させてもらいました。(藤原さんは、八丈島に出張中だったため、参加できず。また①や③については、私が提案するまでもなく、福島連絡会でも準備されていたものです。)
     4月は、坂本弁護士からお話を聞くことが決まっているので、5月以降に検討することになりました。
    参加された方々は、お分かりのように4月の学習会は、福島連絡会や326政府交渉ネットから現状を坂本弁護士に報告し、その現状報告に坂本弁護士にコメントを頂くこと、その上で、坂本弁護士から「公害調停」や「公害裁定」についてのレクチャーを受け学習会を進める形になりました。
午前中は、和田さんから福島県内の指定廃棄物の焼却炉建設の状況が、大きくは4つの地域に分けて、報告されました。
又午後一番には、鮫川の状況が和田さんから報告され、私もそれに加えて、コメントし、情報交換する形になりました。
またその後の討論の中で会場から重要な提案、焼却反対ならば、我々の対案はどうするのか?という点について質問が出されました。
この2つについて、議論の上で課題が残ったように思いました。
鮫川問題については、和田さんから環境省が「爆発事故」があったにもかかわらず、それを認めず、遂には、再稼働を始めたことが報告されました。
この話に加え、私の方からは、昨年の117日の山本太郎事務所の設定による環境省交渉に際し、爆発の有無について環境省がはっきりと否定できず、今年1月に山本事務所による質問主意書では、「爆発」を認めた回答を返答してきていること。またその交渉の際に出された承諾書偽造事件の件についても私の方から出しました。
これに対して和田さんの方からは、環境省のHP上は、まだ「爆発」を認めていないという発言がありました。
また焼却に対して我々の方からの対案があるのかという質問に対しては、私の方から放射能汚染された剪定枝や草などの有機物については、生ごみの堆肥化や乾燥処理と同様の手法で、減容化を図ることができることを話しました。そうすれば、放射性物質を大気放出することもないと。(乾燥処理は、除湿型乾燥処理)
これらについて十分話が練れなかったので、改めて今回ご報告させていただきます。

2.     課題は再稼働をどう中止させるか
<私の立ち位置>
 ここで私がお話しできるのは、和田さんや深田さんなどによる福島連絡会のこれまでの取り組みがあり、講演会に私も呼んでいただいたからです。
いろいろと意見は言いますが、最終的にどのような方法を選択するかは、実際にやっている方たちが決める問題だと考えています。もちろん国や行政機関の理不尽なやり方に抗議し、それを跳ね返すための市民による組織なので、お互いの主張に十分耳を傾け、民主的なやり方で進める形で在ってほしいと私は願っています。
その上で、私や藤原寿和さんは、何十年も廃棄物問題に取り組み、実戦経験も持っています。そこで気が付いたことを遠慮なく述べさせていただき、より良い選択に繋がればと考えています。私が3.26政府交渉ネットとして、学習会に係わる立ち位置はそのようなものです。
鮫川問題で、現状どこまで来ているかをはっきりさせたいのは、私たちの取る手立てが、「裁定」や「調停」に頼るしかないか?それ以外にも方法があるのかに係わってきます。
坂本弁護士からもお話があったように、「公害裁定」「公害調停」は、結局第3者の専門委員に委ねることになり、委ねる第3者の資質に大きく左右されます。そこで過度に期待できるわけではありませんが、行政施策の酷さをチェックする手法として、もちろん検討する必要はあります。その際行政の不当性や違法性について、どれだけ事実提示できるかが大事になると考えます。
今回の鮫川問題は、爆発事故や地権者からの承諾書の偽造の件にしろ環境省自身が、嘘を言い、法律違反を犯し、違法な手続きを取っている問題です。
従ってこの違法性や不当性をはっきりさせれば、この問題で追及できる別の切り口が見つかり、場合によっては鮫川の実証実験を中止させることができると思います。
環境省の指定廃棄物の処理における鮫川の位置は、鮫川で実証実験を行い、他での指定廃棄物も安全に処理できることを証拠立てるというのが建前です。
従ってそこでの瑕疵(かし)は、環境省が指定廃棄物の焼却処理を進めること自体の見直しに発展する要素を持っています。

<爆発問題の到達点>
「爆発問題」が、今回この種の問題で、画期的だったのは、消防庁が爆発の事実を認めたことです。今年1月に出された山本太郎議員の質問主意書への答弁でも、消防庁が「爆発」と認めたことが書かれ、現場の事業所の責任者が、「爆発=火災」と思わなかったため、届けなかったと釈明されています。
がれきの広域処理問題でも、国や都道府県、市町村など行政機関の酷い対応を目の当たりにしました。
市民活動や住民活動は、その行政の不当性を広く訴え、抗議してゆくことが、基本ですが、その行政機関をチェックする第三者的組織を作ったり、活用できるようにしてきたのが、戦後民主主義の大きな特徴です。
そこで行政の問題点を、情報公開請求で調べ、請求に対して黒塗りなどの非開示対応には、情報公開審議会などに異議申し立てを行い、また行政の不法・不当な施策に対して、監査委員会に住民監査請求などを請求し闘ってきました。行政自身による法令を外れた違法・不当な行為を、合法的にチェックしてきたのです。
そしてケースによっては、行政による不当な施策をストップすることが出来ました。
警察・消防は、自治体に付属した組織ですが、行政機構との直接の指示命令系統にはおかれず、独立の組織です。従ってこれらの組織への訴えも、場合によっては有効になります。行政が行っているからと言って、それらの組織が、嘘や詐欺行為を見逃せば、社会は法的な秩序を失い、行政機関が肥大した官僚独裁国家になってしまいます。
情報公開審議会や監査委員会、そして公害調停や公害裁定、そして警察などへの訴えは、止めどもなく腐敗に転落する行政機関へのチェックとして、住民活動と共に必要なことです。
鮫川の爆発事故に戻ってまず質問主意書への回答が占める重要性について考えたいと思います。
質問主意書は、衆参それぞれの議員が行政府に対し、衆参議会議長を通して質問する形を取ります。つまり国会が行政府=内閣に聞く形を取っています。
従ってここでの答弁の内容は、行政府の正式見解です。そこで火災についての所管である消防庁の「爆発」という見解が示されたというのは、それが国の見解と言うことです。
我々の次にとる手立ては、その事実に基づき、これまで爆発でないと言ってきた環境省の責任を問い、責任を取らせることです。
消防庁は、「爆発」、環境省は「爆発でない」という見解を示していると、プロメティウスの罠で、書かれていますが、事態はもっと前に進んでいます。もし環境省がそのような見解を示せば、環境省は国の中に別の国家を抱かえているということになります。
環境省のHP「ホームページ上」「爆発」を認めていないのは、環境省が国の方針に従っていないということになり、そのような中途半端な総括しか行っていないのに再稼働を始めたという大きな証拠になります。
国の所管官庁である消防庁が、「爆発」と認めた以上、「爆発」でないと言ってきた環境省に釈明を求め、業務委託していた「日立造船」の責任、その責任を問うことなく、委託を継続している環境省の姿勢へと批判を進めて行くことが必要かと思います。
私たちはその様な立場で山本事務所の設定で、環境省交渉(環境省レク)を持ち、この点につき尋ねてゆきました。
(*1:IWJ報告 (http://iwj.co.jp/wj/open/archives/145861)参照)
なお先日入手した情報公開資料によると、日立造船から環境省や福島県労働局に報告された資料には、爆発の後に変形したカバーや扉の部分の写真が掲載され、注釈として高温燃焼の後が見られないという報告が行われています。
コンベアーのカバーを大きく裂き、ぶ厚い扉部分の鍵を吹き飛ばした爆発に高温燃焼がないはずはありません。もしこの記述のように高温燃焼の後が残っていないとしたら、それ自体、証拠隠滅を示す動かぬ証拠となるでしょう。
消防庁の調査でその点の見落としは考えられず、消防庁の現場報告とこれらの報告を照らし合わせれば、環境省と日立造船による爆発現場の証拠隠滅さえ浮かび上がる問題だと、考えられます。
指定廃棄物の焼却の実証実験中に「爆発」を起したことは、その実験がいかに危険かということであり、(*2:「福島・鮫川村で進むあまりにも強引な焼却炉「再稼動」計画」 ジャーナリスト関口威人:http://bylines.news.yahoo.co.jp/taketosekiguchi/20131027-00029260/
その情報を隠した環境省の対応からは、安全性を保障するという対応はかけらも見えないと言ってよいと思います。爆発問題での情報を整理し、攻め口を考えてゆくことは大事な課題です。

3.     反対地権者の同意承諾書の偽造
<同意書偽造の概要>
鮫川村では、爆発事故の問題だけでなく、環境省が地元の自治体と連携して、詐欺師まがいのことを行っていた事実がよりはっきりしてきました。
環境省が指定廃棄物の実証実験用焼却炉の設置場所としたのは、当該地の地権者らが作る「青生野協業和牛組合」が管理する共有農地であり、地権者から賃貸借して設置したことになっています。
その農地の使用にあたって、地権者の同意承諾の上、契約書を交わした上で、使用することが必要でした。しかし環境省は18名の共有地権者の内、16名分しか同意承諾を取っていなかったことが、先の質問主意書で分かりました。しかもその手続き過程で同意書の偽造まで図られていたのです。
(*3、*4)
この偽造問題では、偽造された地権者の一人が、棚倉の警察署に2013年9月19日に刑事告訴し、その告訴が受理され、捜査の結果今年520日に検察に書類送検されていた事実も分かりました。

<民法上は全員の同意が必要>
当該地の地目は、牧場(=農地)となっています。この共有農地を取り扱う時には、民法上次の3つの措置があり、それぞれによって、了解の取り方が異なります。
   保存行為
   管理行為
   変更行為
保存行為とは、農地の保存のために個人が判断してできることです。管理行為とは、草刈りや耕作などで、この場合は、過半数の承諾で進めることができます。
変更行為とは、物理的な形状変更、山林の伐採、家屋の増改築などで、この変更行為の場合、共有地権者全員の了解が必要になります。
今回の鮫川村での実証事業の場合、仮設焼却炉の建設、導入道路の建設などがあるため、明らかにこの変更行為にあたります。すなわち全員の同意承諾が必要になります。
ところが、当初から地権者の何名かは、この計画に反対を表明していました。そのため普通に考えれば、今回の計画は進めることが無理な計画だったのです。
〈賛成派地権者が同意書偽造〉
ところが、今回の環境省の計画に賛成した地権者の一人は、2名いた反対派地権者の承諾書を偽造し、鮫川村の村長宛てに、全員が賛成していることを装った同意書を提出していました。
しかし承諾書の偽造は、刑法第159条第1項の有印私文書偽造と同161条第1項の同行使に当たる犯罪行為です。
偽造された堀川宗則さんの訴えに対して、捜査の過程で、偽造した地権者は、電話で了解を取ったので、自分の配偶者に署名させたと釈明していたそうですが、建設に反対していた地権者が電話で署名を頼んだなどと言う話は、警察でも通用せず、結局、検察に送検されました。
この鮫川村の共有農地に、指定廃棄物という高濃度放射性物質の焼却炉の実験施設を作ろうとしていたのは、環境省です。環境省も世界で初めてという汚染物の焼却にあたって、この鮫川村を実証実験施設として、ここでの実験を突破口に福島をはじめ、各地で指定廃棄物を焼却する焼却炉の建設を進めてきました。
それにしても偽造した申請者は、なぜ犯罪を犯してまで、環境省に協力をして、実証実験を進めようとしたのでしょうか?環境省と地権者との賃貸契約書を見ると年度契約で、当初年度は、10か月で、一人当たり21,143円の賃貸料になっています。1か月約2000円です。
わずか2000円の賃料のために、なぜ犯罪行為に及んだのでしょう?今後の捜査の進展によって、実態が解明されれば、環境省や承諾書の提出先である鮫川村村長の関与や役割が明確になるでしょう。
 523日の環境省交渉では、今回の鮫川村の実証事業に推進過程で刑事犯罪が行われ、告訴が受理され、検察に送検されている事も伝えました。その上で、環境省はこの偽造事件にどのように関与していたのかを問いただしましたが、「知らない」という全く無責任な答えが、帰ってきました。
 環境省は、自分たちに協力して偽造までした地権者の行動は、関与しないと切り捨てる冷酷な対応です。
<不法行為の上の行政行為は無効!直ちに中止を>
環境省が、現在鮫川村で行っている実証実験は、この刑事犯罪行為の上に行われていることが今回はっきりしました。
不法行為の上に取った行政手続きは、当然無効になります。
しかも現状で、同意を与えていない地権者からすれば、環境省は、自分の土地に勝手にプラントを作り、勝手に稼働させていることになります。明らかに民法上の所有権の侵害行為になります。すでに稼働停止を求め、共有農地の原状回復を求める要望書が出されているにもかかわらず、稼働を続け不法占拠を続受けることは、全く許されず、刑法上の罰則の適用も受けることになります。
環境省は、借地に当たり、全員の同意承諾を得ず、焼却施設などの建設や稼働を進めたことに対して、今回の施設は、仮設の施設なので、共有地と言っても過半数の了解を取ればよいのだと、説明しました。
しかしその法的根拠を尋ねた所、その場で答えることができませんでした。
山本太郎議員が、電話で問い合わせればよいと示唆しても結局答弁することができませんでした。
その後農水省に問い合わせた所、仮設だから全員の了解が必要ないという法律上の根拠は見当がつかないという返答でした。
確かに「仮設」を理由にして、地権者に了解取ることなく、勝手に土地を占有することが許されれば、公共事業を進める上で、違法・不当がまかり通ることになり、騒ぎが多発し、手が付けられない事態となるでしょう。
もし全員の承諾が必要ないとしたら、そもそも偽造までして承諾書を作る必要はなかったのです。
国や行政権力が、公(おおやけ)の事業のために個人の土地を使用するにあたって、売却や賃貸借を断られた時には、強制収用法によって、土地を取り上げることは、よくある事例ですが、しかしその場合でも、事業の必要性、妥当性、住民合意の有無などについて、環境上の危険性、安全対策などとともに、厳しい条件の下で、検証されます。今回はそのような手続きすら行わず、承諾書を偽装して、指定廃棄物の焼却事業を進めるというのが、環境省の対応だったのです。
封建時代の悪代官のようなやり方であり、現代社会で許されるはずがありません。

4.     なぜ焼却による減容化なのか?
8000ベクレル以上の汚染物質である指定廃棄物は、現段階で約14万トンあると報告されています。しかしこの指定廃棄物をなぜ焼却するのでしょうか?
焼却による減容化、つまり容積を減少させる、それが今回環境省が説明する焼却の理由です。そのまま14万トンを保管処理することがなぜできないのでしょうか?
予算の関係なのか?各地に焼却施設を作るその総予算の規模を考えればはるかに安い予算で保管施設は建設が可能と考えられます。
そのような基本的な説明は、環境省から行われていません。

<指定廃棄物の減容化は本当か
指定廃棄物の処理に戻って、焼却によって減容化が図られるというのは、本当でしょうか?
焼却すると焼却前の量から焼却灰の量に減容化された分、焼却灰の汚染濃度は高まります。焼却すると焼却したものは、消えるわけではなく、焼却残渣、いわゆる焼却灰として残ります。その時の減容化率は、大体10分の1です。飛灰で見ると33分の1とされています。
しかし放射性物質で気をつけなければならないのは、焼却すると焼却前の量から焼却灰の量に減容化された分、焼却灰の汚染濃度は高まります。実際10分の1に重量が減った分、焼却灰(飛灰を含む)の放射能汚染度は、10倍に高くなります。同様に飛灰では、計算上は、33倍に濃縮されるとなっています。
焼却によって、飛灰が8000ベクレルを越えないようにするためには、環境省のマニュアルでは、元々の燃やすものの汚染度を252ベクレルに抑えることが必要になります。つまり汚染度が高い指定廃棄物では、他の低濃度のものを混在し、薄め、希釈することが求められるのです。
高濃度汚染物を焼却にあたって、汚染度の低いレベルのものと混ぜて、量を増やすため、燃やした後でできる焼却灰の量は、元々あった指定廃棄物の量と大して違わないものになっているのです。
では焼却処理は、何を行っているのでしょうか?
何のために行うのか?お役人に尋ねてみましょう。答えられる役人は居ません。
<焼却に代わる減容化の方法は?>
では、どうすればよいのか。
何も手を加えず、高濃度汚染物については保管処理を行えばよいのです。
保管処理過程で、水分の除去を図るといったり、市町村に保管されている牧草などの汚染物の減容化を図る方法は、焼却以外にあります。
例えば汚染されている有機物を、堆肥化=発酵処理したり、閉鎖型の除湿式の乾燥処理で、汚染物を大気中に放出することなくほぼ10分の1に減容化することができます。
焼却ではない自然発酵では、密閉空間を作り放射性物質が外で出ないようにすることができます。循環除湿式乾燥システムも同様に容器内の空気と外界を遮断できます。
環境省が焼却を持ち出すときには、必ず焼却炉メーカとの関係が背景に見え隠れしてきました。
がれきの広域化処理は、これを計画した環境省は、被災地のがれきの処理を、全国の清掃工場の余力施設で焼却処理し、被災地のがれきの処理を早期に進め、復興支援に寄与するという目的を話しました。
ところが今年3月31日がれきの広域化処理が終了し、実態は当初計画400万トンの数%の実績に終わりました。
その一方で巨大な計画を復興資金から予算化し、余った巨額の資金を、全国の市町村の焼却炉建設の補助金(=循環型社会形成推進交付金)として使っていたのです。
なぜ被災地の復興資金が、全国の市町村の焼却炉建設費に化けてしまったのかというと、がれきを受け入れるために焼却炉の整備を行うのだから、復興資金から流用してよいとしていたのです。しかしこの補助金を受け取った9割以上の自治体は、がれきさえ受け入れていませんでした。

結局見えてきたのは、環境省が予算立てした本当の目的は、過大ながれきの広域化予算を組み込み、大きく余らせ、それを全国の焼却施設の補助金に回し、焼却炉建設の補助金枠を大きく拡大するというものでしかなかったのです。
焼却炉メーカの要望に応え、設備を設置して行くことに目的がありました。

<鮫川村議会の質疑に見る指定廃棄物の焼却の実態>
鮫川村村議会でも、2012年度鮫川村の実証事業の受け入れについての議論の中で、議員の質問に対して、村長は汚染された樹木や草などが増えたため、減容化、すなわち量を減らしたいため焼却すると説明しています。
そしてそこでなぜ環境省の指定廃棄物なのかという点については、元々村から排出される低濃度のものがほとんどで、1割にも満たない指定廃棄物の処理に託けて処理してもらえるのだと説明しています。
村議会で出された数値で言うと
「全体600トンの内、8000ベクレルを超えるものは、28トン。5%未満。」
「残り572トンが、村が処理するものが、環境省の実証事業で処分される。」
つまり村議会では、指定廃棄物の600トンの処理と説明されているものは、実は全体の20分の1しかなく、95%は、村から出た低濃度の汚染物だというのです。
村長の説明から伺えるのは、村から出た汚染廃棄物は一般廃棄物であり、村の計画と予算と処理しなければならないが、環境省の事業として進められる指定廃棄物処理に紛れ込ませれば、国の予算でできるというものです。
指定廃棄物の処理を、焼却処理として行い、各地域で行う本当の目的は、汚染廃棄物の処理の焼却処理がひとつの狙いなのでしょう。

5.     まとめー指定廃棄物の焼却自体の問題性
人形峠のウラン開発の中断の後、掘り出された廃棄物は、地権者の土地にそのまま残され、放置されました。数千ベクレルの汚染度だったと言います。当時の国は、後始末まで予算は組んでいないと対処を断ったため、地権者が裁判を起し、判決で撤去命令が出ました。
その結果、国はその後始末に米国に輸出し処理依頼したのでした。
人形峠で判断が下された放射性物質よりはるかに汚染度の高い放射性物質を、焼却し、減容化するという今回の環境省の処理。放出される汚染物を80%しか捕捉できない実態の中で、二次汚染を広げる今回の措置。それ自体が犯罪行為と言えます。
指定廃棄物の焼却問題、もう一度原理原則に戻って問題点を掴んで行く、そこに学習会やワークショップの目的があると考えます。
3月、4月と続いた福島連絡会の指定廃棄物焼却問題の学習会に参加し、
当面の問題として、次のようにまとめました。
1)      鮫川村の実証試験炉の問題を、「爆発問題」と「同意書偽造問題」から整理させていただきました。この論議は、新たな情報などを含め、引き続き大きな課題としてあります。
2)      指定廃棄物や放射能汚染物の「焼却」問題についても、基本的なところに戻って、なぜ焼却なのかを提起させていただきしました。この議論は、端緒についたばかりであり、宮城や岩手他での焼却問題を考える論議として今後も取り上げていただければと考えました。
3)      次回6月29日に予定されている「三陸の海を守る会」の永田文夫さんがこの間提起されてきたバグフィルター問題や周辺地域の空間線量が高くなったという問題は、汚染廃棄物の焼却問題を考える上で、大変重要な問題です。
326政府交渉ネットでも、これまで島田市の清掃工場での試験焼却時のデータで、野田宏さんが計算したデータ、70%前後しか捕獲できていないを紹介してきましたが、永田さんらは、宮古市の焼却炉のデータと鮫川村のデータを使って、80%しか捕獲できていないと事実指摘され、バグがあれば、99,99%除去できるという環境省の説明に疑問を発しています。
        この件では、永田さんらと一緒にこれらの報告をまとめてきた宮古市の石見億丈医師も、9月の廃棄物資源循環学会で発表されます。



*1:IWJ報告 「スクープ これが法治国家か」 佐々木隼也、岩上安身(http://iwj.co.jp/wj/open/archives/145861
*2:「福島・鮫川村で進むあまりにも強引な焼却炉「再稼動」計画」 ジャーナリスト関口威人:http://bylines.news.yahoo.co.jp/taketosekiguchi/20131027-00029260/

*3:山本太郎参議院議員 質問主意書「福島県鮫川村での農林業系副産物の仮設焼却炉による減容化実証事業等に関する質問」http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/186/syuh/s186005.htm
*4:同上 答弁書

*5:復興資金流用か問題MLブログhttp://blog.livedoor.jp/shikin_ryuyo/


2014年4月8日火曜日

20140407 青木泰さんからのメール「みどりの情報特版ー1)復興資金流用問題(ML)ブログ、2)福島ー郡山市での交流会の報告と提案(3/23)、3)岩手県宮古市市議選、今村正さん立候補予定、4)月刊誌「紙の爆弾」2014年4月号記事「ー戦後最大の疑獄事件ー自公と官僚機構が国民から詐取 復興資金の”目的外使用”1.4兆円」


差出人: 青木泰
日時: 2014年4月7日 22:01:10:JST

お世話様です。

拡散歓迎します。


みどりの情報特版NO14-01

<今号の概要>

1)復興資金流用問題(ML)ブログが立ち上がりました。

http://blog.livedoor.jp/shikin_ryuyo/archives/cat_250614.html

皆さんがお住まいの市町村の清掃工場やりサイクル施設の建設に、復興資金は使われていないでしょうか?
ブログをごらんいただき、2012年度の環境省からの交付金支給地方自治体や総務省から支給される交付税の支給市町村に入っていないかご確認ください。
 もし復興資金をもらった市町村の入っていたら、是非ご連絡をください。
 

2)福島―郡山市での交流会の報告と提案(3月23日)
3月23日(日)郡山市で、汚染ゴミ焼却を考える福島連絡会主催の講演交流会があり、参加してきました。下記に報告を行います。
ぜひご覧ください。

3)岩手県宮古市の市議選(4月13日告示―20日投票)に、「子どもに豊かな未来とふるさとを残す会」代表の今村正さんが立候補予定です。皆さん推薦、応援よろしくお願いします。
 
  (1)古舘和子さんのメッセージ
  (2)青木泰からの推薦文

4)月刊誌「紙の爆弾」2014年4月号に「―戦後最大の疑獄事件―自公と官僚機構が国民から詐取 復興資金の”目的外使用”1.4兆円」を書きました。書店でご覧ください。4月7日(月)発売。書店に無い時には、注文か青木までご連絡ください。

<今号の内容>

1) 復興資金流用問題について

2012年度は、約75の地方公共団体(130の市町村)が、復興資金を流用していたことが分かりました。
 
私が所属するNPOの理事にお願いして作ってもらいました。インターネットを使った専門店的な役割を持つブログとして注目を浴びればと思いますが、流用問題とは?と尋ねられた時に、このブログをまず見ていただく、そのような活用をしていただければと思います。
 
皆さんからもぜひ情報をお届けください。


2) 323交流会の報告と提案

323福島県 汚染廃棄物焼却問題 交流学習会の報告と提案
 
  2014年4月2日  環境ジャーナリスト 青木泰
 
<まえがき>
 私は当日、「326政府交渉ネット」の事務局メンバーのとして藤原寿和氏と共に参加させていただきました。「326政府交渉ネット」は、正式名を「放射性廃棄物拡散阻止!326政府交渉ネットワーク」といいます。
 
2012年3月26日がれきの広域化に反対する全国の個人・団体約1700の呼びかけの下、環境省との交渉を国会議員会館で200人で開催しました。その交渉団体を「326政府交渉ネット」として残し、その後もがれきの広域化に反対する全国の皆さんと連絡を取り合い、活動を続けてきた団体です。
 
最近は、鮫川村での指定廃棄物焼却、塙町でのバイオマス発電、岩手県宮古市での汚染牧草焼却、復興資金流用化問題、滋賀の汚染チップ廃棄問題などに取り組んできています。
 
 ちょうど「326交渉ネット」が結成されて2年になり、がれきの広域化もこの3月31日に全国的には終息したため、その2周年の集会を準備していました。
 
 一方福島県では、がれきや汚染廃棄物の焼却処理などによって8000ベクレルを超える指定廃棄物(*1)の焼却施設が各地で作られ、焼却によって放射性物質が2次拡散される問題が生じ、「放射能ゴミ焼却を考える福島連絡会」(以下福島連絡会)が結成されたことを知りました。
 
 今回は「福島連絡会」の下に、福島県下の指定廃棄物などの焼却問題に取り組む住民の皆さんとの交流学習の場として参加させていただきました。
 
 集会参加者の方々にお渡しした「がれき広域化問題の総括視点と現状」は、そうした意味もあって、お配りしました。環境省が主導してきたがれきの広域化がどのようなものだったのかをご報告し、やはり環境省の直轄事業として行われる指定廃棄物問題を考える上での一助としたいということでした。
 
 学習会の流れの中で、私が用意したものは、今回は先送りにさせていただきました。
 
<驚くリサイクル協同組合の内実>
 当日の集会は、お昼を挟んだ11時から17時までの長丁場の学習会でした。そこで主催者の和田さんに相談し、午前中(11時~12時半)は、参加者の皆さんの自己紹介と問題意識をお聞きし、質問があれば藤原と青木がお答えする場とし、午後(13時半)から本来の講演学習会とすることを決めていただきました。
 
 最初に和田さんから福島県内での指定廃棄物の焼却炉建設をめぐる動向について概略的に報告があり、自己紹介(☆1)の後、議題が進みましたが、この日の話としては、私は郡山リサイクル協同組合の話が一番印象に残りました。
 
 廃棄物の処理施設は、名前を聞いただけでは、どのような施設か分からない名前を付けるのは、今では当たり前になっています。私が住んでいる東京の東村山市でも、市のごみを処理する施設が、「秋水園」(しゅうすいえん)周辺3市のごみを処理する清掃一部事務組合の処理施設が、「柳泉園」(りゅうせんえん)。
 
 それにしても産廃の焼却施設名が「リサイクル協同組合」とは驚いてしまいます。
 
 自己紹介されたBさんやCさんが、その周辺に住む住民の方で、臭いや煙に悩み、Bさんのお連れ合いは、おそらくその影響で入院までされていると言うのは、深刻な事態でした。
 
 前日の見学会とその施設の専務さんとの交渉結果も、午後の講演の中で、パワーポイントを使い、参加された藤原氏が、深田氏の撮影された写真も使いながら報告し、下記のように話がより具体的になりました。 (藤原さん、深田さんありがとうございました。)
  
郡山リサイクル協同組合(S63年6月28日操業開始)
  施設:産廃焼却、廃プラ焼却、汚泥焼却、廃油焼却
  処分業:中間処理(破砕)、中間処理(移動式破砕)など
  許可品目:木くず、紙くず、繊維くず、廃プラ、廃油、汚泥、動植物性残さ、ゴムくず、動物の死体、動物のふん尿、感染性廃棄物
  処理能力-3.9トン/時
  受け入れ条件-空間線量で0.5μSv/h以下
 
この施設の報告で、私が一番気になったのは、報告の中で焼却飛灰の放射能線量が16、000Bq/kgだったと言う報告です。別紙の報告では14,000~15,000Bq/kgと報告されていましたが、いずれにせよ電離放射線障害防止規則の適用施設として条件を整えなければならない12,000Bq/kgを超えています。
 
このようなレベルの放射性物質を取り扱うためには、適用施設として法令上の諸条件を整え、労働者の作業環境を用意しなくてはなりません。(電離放射線障害防止規則:管理区域基準)
 
そこで14,000~16,000というのは、この規則に違反しているおそれがあります。
 
鮫川の実証実験施設は、この規則の適用施設であり、福島第1原発の終息作業現場も、もちろんこの規則の適用施設です。
またもう一点、現行の環境法では、原子炉規正法によるクリアランスレベルをセシウムの場合、100ベクレルを超えては、廃棄物として取り扱うことができません。
 
ところが放射線特措法の8000ベクレル以内だからということで、当たり前に取り扱っているようです。
 
現行法制度での規制が、従来の原子力施設、研究施設、医療施設から排出される放射能汚染物については、100Bq。
 
今回の福島第1原発の事故による放射能汚染物質については、特措法の8000Bqの2重スタンダードになっていることが、問題の根本に在ります。そこで「リサイクル協同組合」に運んでくる産廃がどこから運ばれてくるのかも検証する必要があります。
 
もし原子力の研究施設や放射性物質を取り扱う医療施設などから運んできているとしたら、業者はどこかの段階で法律に違反しているおそれがあります。
 
さらにこの産廃施設から廃棄される焼却灰(飛灰を含む)はどこに埋め立て処分されているのかと言う問題もあります。もちろん特措法でも8000ベクレル以上は、指定廃棄物として環境省の管理の下に処理を委ねなければならないことになっています。
果たして実態はどうなのでしょうか?
 
 
<今すぐにでも焼却ストップさせる必要が?>
 電離放射線防止規則上の違反だけでなく、周辺の住民の皆さんの悪臭・煙という声も無視できません。東京では悪臭がする、煤塵がひどいと言う苦情を市や都に届けると、すぐに調査に来ます。
 
 福島県ではどのような対応をするでしょうか?
 
 その最大の根拠は、廃棄物法の第16条の二の「焼却禁止」の条文です。
 
「何人も、次に掲げる方法による場合を除き、廃棄物を焼却してはならない」となっています。条文上は、○○○をクリアーすれば、焼却して良いという条文ではなく、禁止を謳う条文になっています。
 
その焼却禁止の例外項目として、「一般廃棄物処理基準・・・産業廃棄物処理基準・・・に従って行う廃棄物の焼却」が挙げられています。そのため住民が悪臭や煤塵を理由として、焼却中止を求めると、行政や産廃業者としては、「産業廃棄物処理基準」に基き処理し、適正に焼却しているといいます。
 
しかし形の上で基準に適合していると言っても、「悪臭がする」「煤塵がひどい」、そのため健康が害されているということがあれば、当然基準に基き稼動していると言うことすら疑われることになります。
 
またそのような業者は、往々にして一つ一つの基準への適合状態を検討してゆくと、基準に外れたことをやっていることが見つかり、現状を変えさせるきっかけになります。
 
 こうした施設の周辺では、小中学校の生徒の喘息の罹患率が高くなります。そばに中学校、2キロぐらい離れたところに小学校があると聞きました。学校保険法に基く健康調査は、毎年1回行われ、その記録は「定期健康診断疾病異常調査票」(☆2)として各小学校でまとめられ、各市の教育委員会で管理され、情報公開の対象資料です。
 
それらを調べて、この産廃焼却施設の健康への影響を提示することも必要かと思います。
 
<汚染廃棄物焼却との闘いで残した教訓と成果>
午前中の話し合いの中では、放射性廃棄物の焼却についての基本的な話が行われました。バグフィルターで本当に99.99%除去できるのか?
 
また焼却した時の問題は、煙突から排気される放射性物質だけなのかといった問題も話し合われました。
 
私はそこでは、焼却した時には放射性物質は、煤塵や排ガスになって、煙突から排気され、「大気」を汚すこと。それだけでなく、「水」そして「大地」を汚すことになると説明しました。
 
指定廃棄物の焼却を抱える福島としては、この指定廃棄物の焼却炉建設や焼却に対してどのように取り組んで行くかが大きなテーマとなりますが、そのテーマについて考えて行く上でも、次の大事なテーマとしては、先行する鮫川村や塙町の住民の闘いを、教訓化し今から始まろうとしている焼却問題に生かしてゆくことではないかと考えます。
 
鮫川村の闘いは、和田さん、北村さんご夫婦の献身的な活動によって、環境省の事業意図を追い込んだ貴重な闘いでした。現状爆発事故後、再稼働されていますが、山本太郎参議院議員による質問主意書への環境省の答弁は、殆ど居直りに近いものであり、街中で喧嘩を売られたやくざの弁明のような内容です。
 
爆発後5カ月たって、ようやく爆発の事実を認めました。爆発事故で在れば、消防署への通報が法律上も義務となっていましたが、その責任は契約した業者の所為にしています。(☆3:鮫川村での指定廃棄物焼却処理事業について―嘘がばれても報告を受ける立場にない)
 
またこの爆発事故を切っ掛けに塙町の町長は、バイオマス発電は、中止を表明しました。しかし、住民活動の側の態勢は、もし計画をそのまま続けていれば、町長のリコール活動に発展しそれを成功させるような勢いで、私などは、町長が鮫川の爆発事故を理由として、逃げ場を求めたのだと受け取りました。
 
今回の学習会では、放射能汚染廃棄物の焼却による影響は「大気」「水」「土壌」に及ぶこと、そして最終処分した処分場への放射能の影響は、隠しきれないため、神奈川県や静岡県島津市での闘いでもその処分場を巡る攻防が、闘いの帰趨を決めた事をお話ししました。
 
神奈川県の最終処分場の芦名の周辺自治会長が、「シーベルトかベクレルか何だか知らないが、何だかわからないものの埋め立てを認める訳には行かない」と見事な表現で埋め立て処分を断わりました。
 
北九州での闘いもそのため、海辺に隣接した処分場に対して発言権を持つ漁協に働きかけ、富山では池多の処分場を巡る戦いが重要になりました。
 
ところが塙町の闘いは、焼却によって影響が及ぶ「大気」「水」「土壌」全体を問題にしながら、ストップして行きました。
 
がれきの広域化の闘いでは見られなかった闘いの結果、勝利したのです。なぜ塙町ではがれき問題にはない勝利の陣形を作ることができたのか?そのことを探ることは大変重要です。
 
<塙町のバイオマス発電との闘い>
バイオマス発電については、金子勝慶大教授なども東京新聞紙上で賛成していましたが、放射能汚染による影響は、物事の是非の判断を逆転させるという事実を見ない評論と言えます。
 
彼の発言は、政治・経済問題で、私たちに重要な指摘を行ってくれているだけに、少々残念です。勇み足として見ておきたいと思います。
 
日本の森林を涵養して行くために、間伐材を伐採し、伐採した木質チップを利用して発電する。その意味では、多くの人が賛成する試みがバイオマス発電です。
 
通常バイオマス発電は、家畜糞尿や稲わら、その他木質系を含む植物を使い、メタン発酵させ、そのメタンガスを燃料にして発電するもので、環境負荷を軽減した方法として知られています。
 
しかし間伐材だけを燃やして発電するとなると、かなり排ガス対策等に気を使う必要があり、全国的にもあまり成功していません。発電効率から言ってコスト的にペイしないからです。
 
こうした施設では、かなり初期投資が必要になり、国による直轄事業や自治体が直接運営する形が今までは、必要不可欠でした。
ところが塙町での提案は、民間で経営するというものです。環境省の直轄事業でもなければ、自治体の運営でもありません。
 
なぜそうなったのかと言うと、行政がこのような施設を運営するには、廃棄物処理法上の適用を受け、基本計画を作り、環境アセスなども通さなければならないからです。
 
そうなれば、今回の計画は、住民の反対によってうまくいかないそう考えた上の結論が、民間による経営方式だったのだとおもいます。
ところが民間での運営で、コスト的に成立させるためには、「バイオマス発電」施設で燃料とする木質系の資材を、「お金をかけて集める」のではなく、「お金をもらって集める」必要があります。
 
通常、「ごみ」(=廃棄物)とごみでないものを区別する基準は、値段が付く有価物かどうかということです。有価物はごみとは言いません。ごみは、お金を出して引き取ってもらう逆有償物です。
 
今回のバイオマス発電の経営的な成否は、処理処分にお金がかかり、そうした木質系の材料をどれだけ集めて、燃料にしてゆくかにありました。製材くずだけでなく、建設廃材や「がれき」、そして除染によって刈りだした木材。これらは放射能汚染度が高ければ高いほど、引き取る時のお金が高くなります。
 
しかし環境上の問題から言った時、これは大変なことです。
日量数百トンクラスの焼却炉を作るということでした。都市部の数十万人のごみを清掃工場に匹敵する焼却施設が、農村地域に建設され、焼却されるのです。
 
通常の平地地域に建設すれば、煙突から排出される放射性物質は、年間の風向きや地形によって汚染の痕跡を残すことになります。そこでそれをかき消す必要があり、山頂部への建設を計画したのです。鮫川村と同じです。山の上で焼却すれば、放射性物質は四方くまなく排気され痕跡を消すことができるのです。
 
そして鮫川村も塙町の施設も予定地は、その地域の水源地でした。焼却には、水冷したり、焼却灰の冷却のため、水が欠かせません。
 
また汚染水の排出はつきものです。村の水源地は、当然周辺田畑へ供給源となっています。彼らの計画は、田畑に供給する水を「流用し」また用水路を使って、汚染水を流すということになっていたのです。
 
おそらく環境省サイドからすれば、汚染がれき(産廃)、除染廃棄物と言う放射能汚染物の処理のために、環境関連法によるチェックの目を逃れるために、民間で進めてきたことが、以下のように次々と「悪魔の連鎖」をもたらしたといえます。
・ 汚染物の痕跡を消すために、山頂部に施設建設を考え、
・    水の確保のために水源地を選択した。
・    その結果、田畑に供給する水を奪い、かつ汚染水をよりによって田畑への用水路を使って流すことになった。
・    しかも焼却によって放射能汚染濃縮された焼却灰や飛灰で、埋め立て処分場すら汚染することになった。
 
塙町のバイオマス反対活動の中心的存在だったYさんは、311の何年も前から農家民宿を行い、息子夫婦も手伝って軌道に乗っていたところ、311と福島原発事故があり、来客数が10分の1に減ってしまったという。息子たちは、福島を離れ、Y氏夫婦は、失意の中でようやく今後への一歩を踏み出そうとした昨年3月、このバイオマス発電の計画が耳に入ったというのです。
 
福島第1原発からは、安達太良山があるためおそらくそこで遮られ、放射線量は殆ど東京都は変わらず、そこでようやく農業の再開を行い始めた時に、農業地域としての展望を打ち砕く(第二の原発事故をもたらすような)バイオマス発電の計画の発表があったのです。
 
私はYさんらが、バイオマス発電の計画を知って10日位の時に、塙町に呼ばれて、バイオマス発電の持つ上述した意味を講演会で話をさせてもらいましたが、集まられた中心メンバーは、感覚的にこの問題が、福島の棄民政策、農業潰しの政策であることを分かっていたのだと思います。
 
その後昨年6月に、再び326のメンバーとして松井英介氏や藤原氏や杉山氏と共に塙町を訪れた時には、町長リコールの準備が整っていました。
 
計画を知ってからの手の打ち方は、驚くほどの速さと「正確さ」で在りこの闘いの極意をお聞きし、ぜひ福島県内全域での放射能汚染物焼却との闘いに生かして行けたらと考えます。
 
<鮫川問題>
 鮫川問題については、私自身は本格的には「爆発事故」以降に係わり、326としては、現地に何度も足を運んできた藤原氏に教えていただきながら昨年11月に月刊誌「紙の爆弾」に爆発問題を報告しました。(☆4)
 
またいつまでたっても爆発の事実を認めない環境省の担当職員を山本太郎参議院議員他の皆さんの努力によって呼び出してもらい11月7日には、環境省交渉を行い、そこでのやり取りを踏まえ、今年1月山本太郎議員によって質問主意書を出していただき、出されてきたのが先日報告した答弁書でした。
 
これらはいずれもネット上から見ることができます。

質問主意書 
 質問書: 
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/186/syuh/s186005.htm
 答弁書: 
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/186/touh/t186005.htm
 
この答弁書への見解は、別途記載しました。先にも話しましたように環境省は国の省庁であるという気概すらなく、爆発事故の総括をすることなく、再稼働に走りました。又民有地の所有者を18人と発表しながら、16人からしか承諾の契約を行っていないことを明らかにしています。
 
これまでは、全員から取ってきたと言いながら、その承諾書は虚偽の承諾書であると指摘されると16人と人数を代えて報告してきたのです。
 
しかし鮫川の焼却炉を建設した土地は、地権者18名の共有地であり、施設を建設する等の造成を行う時には、全員の承諾が必要です。全員の承諾を得ないままの事業は、明らかに法に違反した行為です。
 
これらの事実から、鮫川問題は国会での追及と司法での追及が今後の課題に上っているように思います。
 
そうした点を論議するためにも鮫川の闘いの共有化と教訓化が必要ではないかと思います。
 
そこで先に述べましたように、
今後のことについて言うと
①    リサイクル協同組合の問題―告発と要望書
②    塙町の闘いと鮫川の闘いの教訓化―塙町の吉田氏と鮫川の和田氏からの話を聞き
③    その上で、新たに建設されつつある焼却施設についての情報の共有化と今後の行くヘについて
 
それに加えて4月6日に予定されている千葉県連絡会の動きと全国からの連携が今後の議論となると考え、ご提案させていただきます。
 
別途ご報告しますが、環境省による放射能汚染物の焼却による処理は、「拡散してはならない」「焼却してはならない」「希釈してはならない」と言う有害物処理の原則に逆らい、環境汚染省と言うような対応処理です。
 
これに対してようやく住民側の動きが目に見えるような形になってきました。
先駆けて活動されてきた皆さんお世話様です。
 
<注釈>
*1:指定廃棄物は、8000ベクレル以上の放射能汚染廃棄物と特定避難地域から排出される廃棄物を指定廃棄物とした
 
<添付参照資料>
☆1:第3回放射能ゴミ焼却を考える学習会報告
☆2:東村山市での情報開示請求書面―定期健康調査疾病異常調査票
☆3:「鮫川村での指定廃棄物焼却処理事業について―嘘がばれても報告を受ける立場にない」 青木泰
☆4:「環境省が隠ぺいしたー放射能汚染廃棄物焼却炉-の真実」月刊「紙の爆弾」2013年11月号 青木泰



3)宮古市市議会議員選挙に今村氏立候補予定

 (1)宮古市の古館和子さんからのメッセージ

みなさま、宮古の古舘です。一斉送信をお許しください。
 
まだ三寒四音で寒い日もありますが、いかがお過ごしでしょうか。
 
この度、4月13日告示(4月20日投票日)の宮古市議会議員選挙に、「子どもに豊かな未来とふるさとを残す会」の代表である今村正氏が出馬する予定です。

 今村正氏とは、放射能汚染牧草焼却の反対に、取り組んできました。
私は、震災がれきが全国に拡散されはじめた当時から放射能で汚染されたがれきや、生活排水や工業排水の宮古の黒い津波で汚染された震災がれきを焼却することを危惧して、ささやかながら焼却反対をしていました。
 
それに付随して復興予算の流用化では、青木泰さんや、大阪の方達ともつながり、皆様方には大変お世話になっております。
 震災ガレキ焼却に加え、宮古で去年の7月から(来年3月まで)放射能汚染牧草、ほだ木、しいたけ(放射能汚染された農林業系副産物)が焼却処理されることになり、私と焼却場の地区に住む女性と、山田町のシイタケ農家さんと3人で「子どもに豊かな未来とふるさとを残す会」を立ち上げ、署名活動、陳情や質問状、学習会などの永田文夫さんのご協力も賜りながら焼却反対運動をしていました。

 去年の暮れ、宮古の神経内科医院、院長の岩見億丈氏が、放射能焼却に関する論文を作成し、宮古市に焼却中止の陳情書を提出するなど活動を始めてくれました。
(その際「三陸の海を放射能から守る岩手の会」世話人の永田文夫氏が川田龍平議員に働きかけ、2013年12月5日に参議院議長に質問主意書を提出してくださいました。)
 ちょうどその頃、今村氏は、有機農業や食品汚染問題に古くから係わってきた関係で、ウクライナのタチアナさんの講演会を盛岡に聞きに行かれ、私たちにも「宮古のお母さん達も流通食材について意識を高めなければいけない。一緒に運動しましょう。」と連絡をくれました。
 
そんなこともあって、食材や空気の汚染による内部被爆防止の活動を共にするよう になりました。

 宮古でも放射能汚染問題に関心を持つ人数が増えたとたん、私の親類から市民活動することに圧力がかかり、今村さんが「子どもに豊かな未来とふるさとを残す会」の会長を引き受けてくださり、逆に活動の輪が広がりました。
 
今村さんは、「子どもに豊かな未来とふるさとを残す会」がこれまで取り組んできた放射能汚染牧草焼却の中止、子どもたちの尿中セシウム検査、食品の放射能測定に取り組んでくれます。
 
また宮古では、無駄なコンクリートの巨大防潮堤の勉強不足、情報不足のため、命を守る森の防潮堤についても市民で考える場を作っていきます。
 
今、選挙の状況は、28人の議員定数を満たすか切るかという状況ですが、おそらく選挙になるとおもいます。

 絶対当選してもらわないと、今後被災地の未来は政府の企み通りになってしまうと心配しています。

 多くの人がなかなか自分の本音をいえない中で、今村さんが立候補し、当選と今後の議員活動を、市民が関心を持つきっかけにしたいと考えています。
 
宮古市議会に今村さんを送り込むために、皆様何卒ご支援を賜りたくお願いいたします。
宮古市のお知り合いの方の紹介や選挙戦への応援をぜひお願します。

                                                                           古舘和子
 

(2)今村正氏を応援するメッセージ

ため息が出る自公の被災地切り捨て政策に
 
 被災者が宮古市市議選で立候補宣言!全国から応援を!  
     環境ジャーナリスト 青木泰
 
 立候補宣言したのは、今村正氏。「子どもに豊かな未来とふるさとを残す会」の代表。
 
この会は宮古市で放射能汚染問題にかかわる古館和子さんらと結成し、現在は、会の代表。放射能汚染牧草を市の清掃工場で燃やされるのに反対し、陳情を提出したり、がれきの焼却を行ってきた仮設焼却炉の飛灰から基準の1300倍もの鉛が検出されたことに際しても、いち早く市に問い合わせたり、独自に周辺地域の鉛汚染調査を行ってきました。市の環境委員でもあります。
 
 今村さんを語る時欠かせないのは、今村さんご自身が311の津波の被害者と言う点です。
 
 がれきの広域処理で大反対が起こった大阪に持ち込まれたのは、宮古市のがれきです。
 
 大阪に運び出すための搬出基地は、宮古市の藤原埠頭で、1年前には、がれきがうず高く積まれ、選別作業が進められていました。
 
 今村さんの家は、その広大な藤原埠頭を囲む堤防のすぐ内側にあり、津波の時には8m半もの高さの堤防を1m半超える津波に襲われ、3階建の鉄筋の家が、骨組みだけのこし壊滅的に壊されました。
 
敷地内に流れ込んだ丸太の数は273本あったと言います。
 
 しかし被災者として家を建て直し、生活再建を図るだけでなく、今村さんは、311がもたらした放射能汚染問題にも取り組む数少ない人でもありました。
 
 統一地方選挙を来年に控えた今年4月13日に宮古市の市議会議員選挙は告示され、20日に投票されます。
 
安倍自公政権は、被災から3年経過した今も、復興住宅の建設は予定の3%でしかなく、多くの被災者は、仮設住宅住まいを余儀なくされています。その上、本来被災地につぎ込む予定で予算化した復興予算も流用してきました。
 
被災地や被災者、避難者の生活再建や援助を忘れ、傾注しているのは巨大な堤防事業でしかありません。
 
今村さんによると、岩手県でも「赤前」「金浜」「津軽石」では、堤防自体が壊れ、堤防があるからと避難しなかった多くの方が亡くなったという不幸がありました。
 
被災地でやらなければならないのは、画一的で無駄な堤防建設ではなく、津波が来た時に3分で避難できる高台の建設や日常的な避難訓練だと今村さんは言います。
 
被災した沿岸地域では、400kmにわたる防潮堤づくりが8500億円かけて、今進められようとしていますが、この無駄な公共事業の推進に対して、異議申し立てを行い、立候補するのは今村さんだけといわれています。
 
放射能汚染牧草の焼却に待ったをかけ、「全長400㎞!“万里の防潮堤”より先に街と生活を再建すべきだ」(*1)の今村正氏。
 
東北の復興は、このような人が被災地、被災者を代表して市町村の議員になって、声を届けること。その点が復興の着実な一歩を記して行くことになると思います。
 
全国から応援して行きましょう。

*1:月刊誌サピオ 2014年4月号、表題から



4)被災地の棄民策を進める亡国の安部政権と復興資金の流用問題。

  「紙の爆弾」 4月号に書きました。
 
   改めて流用化問題へのメセージです。
 
 千年に一度という大津波をうけ、しかも原発事故による東日本全域に及ぶ放射能汚染。
  2万人が亡くなり、行くへ不明となった。20万余の人たちが、避難者となり故郷を離れざるを得ませんでした。
 
  多くの肉親や知人友人が亡くなり、今もその喪失感は癒されている訳ではないと思います。
 
  本来なら、この大災害にたいして、被災地に向け、総力を傾け、復旧・復興を支援し、避難者への応援に手当てをする。
  そのことが国民として、そして国家の役人、そして政党としての当然の責務でした。せめてそのくらいは最低限行って欲しかった!!
 
  多くの国民は義捐金を送り、自ら復興支援のためにボランティアとして駆け付けました。
  また事業者の中には、自分たちが役に立つ道はないかと現地に赴いた人たちもいました。
 
  ところが、その時・・・・
 
  役人や自公の政党幹部や官僚たちは、復興基本法で記載されていた復興資金を被災地の復興のために使うという当然の内容を
  被災地以外に使っても良いと改ざんさせていた。
 
  復興資金を予算化する財源を確保するために、民主党が国民に公約した高速料金無料化や育児手当の政策を棚上げさせ、その一方で
  復興資金を流用化する抜け道を違法に作っていたのです。
 
  まさに災害と他人の不幸を、政権奪取と自分たちの利益誘導に引き込む「悪魔の選択」です。
   いつから私たちの社会はこのようなろくでなしを育ててしまったのでしょう。
  
  今回の流用化問題が、これまでの数々の国民無視の政策と大きく違う点は、
  一度国の予算として法案と予算案のもとに成立したものを、違法に流用した点です。
 
  脱税が1億円を超えると懲役刑となって罰せられます。
  では1兆円を超える流用化は、自体が大きすぎて放置するしかないというのでは、法の下での平等は大きく損なわれます。
 
  
  おそらく1千年の懲役刑があれば、その刑に処され、腐敗した役人が刑務所から出た時にはミイラになって出るしかない?
  そのような大罪です。
 
  改めて今回の流用化は、明らかに犯罪行為です。
 
  何よりも・・・・・・
 
  国家とその中軸を左右できる役人が、背任行為に走ったようなものです。
  この流用には、朝日が社説で批判し、NHKすら番組で取り上げました。
 
 慌てた財務省は、未使用分の流用化予算を1000億円、各省から返還させましたが、そのこと自体、違法な予算化だったことを表しています。
 すでに会計検査院で掴んだ額だけでも、1.4兆円と言われていますが、復興資金の実績を見ても、まだまだ実態は隠されていると見てよいでしょう。
 
  会計検査院も、このような流用化をチェックできなければ、その存在意義を疑われるでしょう。 
 
 流用化に見る自公と官僚機能の止めどもない腐敗は、もちろんその他の政策でも表れています。
 被災地の復興住宅がいまだ3%の達成率でしかなく、ひたすら計画を進めているのは、
 400Kmに及ぶ沿岸地域の防潮堤計画―土建事業の推進です。
 
  1,000年に一度の災害による被災地と被災者に寄り添うことなく、彼らは、自国民の救済や同盟国の救済のため、集団的自衛権を確保しするという。
殆ど冗談のようなことを言っています。目の前の被災者の救援を放置して、何が自国民を守るかだです。
 
 原発の再稼働にこだわり、核武装化を進め、展望の無いエネルギー経済政策の打開に、武器の輸出―軍拡を進めようとしています。
  軍拡は、その果てに戦争を必要とし、狂気の世界へ国民を誘う事は、世界の歴史でも明らかです。
 
 復興資金の流用化ー火事場泥棒のような流用化を政策の根底に据えた砂上の楼閣の現政権。
 
  これについての批判は、いつやるのですか?
  今です。
 
  どこからやるのですか?
   あなたからです。
 
  どのようにやるのですか?
  まず流用化問題のブログをご覧ください。
 
  その上でどうするのですか?
  多くの人に伝えてください。
 
  そして?
  国会議員にもこの件で追及することをお願いしてください。追及のヒントは、今月号の「紙の爆弾」に書きました。
 それを読むように勧めてください。
 
  さらに自分の街がその復興資金を受け取っているなら、返還し、そのお金を被災地と被災者、避難者に使うことを求めてください。
 
  具体的な事例はありますか?
  86億円が焼却炉建設に流用された堺市では、陳情が出され、住民監査請求で返還を求めています。ブログでもその内容を紹介します。
 
  何もしないことは?
  強い言い方になりますが、 それは腐敗した官僚たち、自公にくみすることになります。
 
  どのようなことをすれば?
  ・ この問題が多くの人の知るところにしてください。人の顔を見たらこの問題を訴えてください。
  ・ 家族に役人がいる人は、特にこれにくみしていないかー役人の中でも批判するように言ってください。
  ・ さまざまなメディアに、声として伝えてください。新聞、月刊誌、週刊誌、ミニコミ、ネットメディ、フェイスブック、ツイッター等々
  ・ 行政機関や行政上のチェック機関(会計検査院、公正取引委員会、弁護士会等々)にも声を届けてください。
  ・ 問題が解決されるまで、繰り返し行ってください。
 
  今後この問題で、意見表明活動やその他の行動計画を提案します。またよいアイデアがあればお知らせください。
 そして誰待つのではなく、ご自分で行動してください。
 
  私たちの行動で、このまったく理不尽な流用をチェックし、2度とこのよう案ことが行われないような社会にしてゆきましょう。
 
  この流用化問題はがれきの広域化では、賛成・反対の双方の立場を取った人たちも、同じくおかしいと声を挙げています。
  多くの政策は、かえならず賛否があります。しかしこの火事場泥棒を称賛する人は、いないと思います。
  
   流用化問題を私たちが、自ら社会をコントロールする存在として、  
 
   今までを振り返ってより良い未来に手を携えて行ける切っ掛けとして頑張りましょう。 
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2014年2月28日金曜日

20140227 青木泰さんからのメール「鮫川&指定廃棄物 山本太郎議員の質問主意書に環境省『爆発』を認める」



差出人: 青木泰
日時: 2014年2月27日 19:38:45:JST
件名: 鮫川&指定廃棄物 山本太郎議員の質問主意書に環境省『爆発』を認める



皆様へ

お世話様です。

鮫川問題について、山本太郎議員の質問主意書への環境省の答弁内容についてまとめました。

官僚たちは、災害廃棄物の処理について、このようにいい加減に行い、その一方で資金流用に手を出していました。




―鮫川村での指定廃棄物の焼却処理事業での爆発事故についてー

環境省 嘘がばれても、「報告を受ける立場にない」

-山本太郎議員の質問主意書での質問に驚く官僚答弁―

2014年2月23日  環境ジャーナリスト 青木泰



既報のように昨年指定廃棄物の焼却処理事業に入ってわずか10日で、爆発事故を起こした環境省。メディアコントロールのために、「爆発」を隠し、消防署にも届けず、コンベアーの破断事故として責任逃れに走っていたことが改めて分かった。

福島原発事故のメルトダウンを隠した時と同様に対応である。

しかし地響きを立てた爆発音を聞いた地元の人の口をふさぐことはできず、当日の事故通報がなかったことから翌朝調査に入った消防署の報告が、消防庁に「爆発事故」として行われていたことが、山本太郎参議院議員事務所の調べで分かった。

11月7日に行われた山本議員参加の下、環境省への事情聴取に、地元の和田央子氏やおしどりマコ氏らも参加し、326政府交渉ネットの事務局メンバーが爆発事故問題で交渉した。

その交渉の中で環境省が答えに窮し、応えなかった場面が、何度かあった。その点を質問主意書として今国会が始まってすぐに提出していたが、2月に入ってその答えが、ようやく帰ってきた。(*1:質問主意書の内容と答弁書)

1)「報告を受ける立場にない」と言いながら「爆発」を認める。

今回の質問主意書は、その時交渉時に環境省が答えに窮した点を、改めて質問した点などで構成されていた。

環境省が答えに窮したのは、現場からの事故の第一報を受けた環境省の高橋担当官が、山本太郎秘書の湯川氏の次の質問を受けた時。

「事故の時に現場からどのように報告されたのか?」
「異音(いおん)がした」と言ったのか「爆発があった」と言ったのか?―と聞いた時だった。

大体この種の事故報告で、「異音がした」などと言う言葉はない。
環境省の事故調査報告では、「異音がした」と報告していたが、直接の交渉の中では、嘘を言うことができず、黙ってしまい、答えられなかったのである。

その環境省との交渉の後、消防庁の報告として、鮫川の事故は「爆発」事故であったと報告されていることが分かり、所管の消防庁は爆発事故と認めているのに、環境省は爆発事故でないと言い続けるのかと質問主意書で聞いたのである。

それに対しての環境省の答弁が、「消防庁から報告を受ける立場にない」と言う答弁であった。
時代劇の殿様が言うような「苦しゅうない」「吾輩は報告を受ける立場にない」と言った答弁であり、高慢な役人の許せない答弁である。

ただそうはいったものの、別項では「爆発が発生した旨の(消防庁の)報告について知っている。」と答え、この答弁書で環境省は初めて「爆発」の事実を認めている。

そしていつものようにその責任を委託した民間会社(日立造船)の現場所長に「現場からの報告は『異音』となされた」「所長が火災であると認識しなかったため(爆発事故は火災の一種)当該通報は行われなかった」としている。しかしこのような答弁で許されるはずはない。

指定廃棄物と言う高濃度に汚染された廃棄物を、焼却し減容化するという世界で初めての危険な処理を行いながら、「爆発事故」を起こしてしまったのである。

これまでは、爆発事故とは認めず、月刊誌「世界」(岩波書店)臨時増刊号「イチエフ・クライシス」昨年12月7日発売(*2)の取材でも、爆発を認めない対応に終始していた。

2)「爆発」を認めた上で、環境省に求められる対応

今回の質問主意書によって、環境省は始めて「爆発」の事実を認めた。では何をすべきか?
まずこれまで事故報告書にすら「爆発」を認めず、自己保身の立場をとってきたことを謝罪し、「爆発」を認めたことを内外に明らかにすべきである。

当然有識者による再発防止策の委員会についても、一からやり直す必要がある。
その前提にたって、爆発事故の原因と、爆発による周辺環境中への飛散や作業員への影響についてきっちっとした調査を行うべきである。

実証事業に入る時の環境省の説明は、安全で、事故の心配はないというものであった。しかし今回の事故とその事故への環境省の対応で分かったことは、一番危険な「爆発事故」があっても、「爆発」があったことすら隠し、ほとぼりの覚めたころに「爆発」を認め、しかもその責任を委託業者に押し付けるというものだ。

しかしここまで明らかになれば、次のように整理することができる。

今回の消防庁の報告のように鮫川村の焼却事業の現場で起こったことが、爆発事故だとしたら、現場からの環境省になされた事故の第1報は、「爆発があった」となされていることになる。

その上で、「爆発事故があった」と言う報告を隠し、消防署への爆発事故=火災報告をストップさせたのは、環境省と言うことになる。
そうでなければ、業務委託を受けていた日立造船が、何らかの理由で「爆発事故」の事実を隠して、環境省に報告したことになる。

しかしそもそも「異音がした」などと言う日本語はなく、(*3)そのような報告が実際になされていたとしても、その報告を受けた環境省の高橋担当官は、その嘘を見抜けなかった瑕疵は問われることになる。

鮫川村の現場で起きたことが、爆発事故であったことが、今回消防庁の報告として認められ、事実確認された。

この事実に基づけば、「異音」報告に拠って、事実を隠して業者自身の不利益を逃れようとした日立造船は、「虚偽の事実」を報告し、業務上の背任行為を行ったことになる。そのような業者との契約を継続することの違法は明らかである。

また爆発事故と報告されていたのに、それを隠し、消防庁への報告を怠ったのならば、環境省の責任者の「虚偽報告」による謝罪と処罰は避けられない。
そしてこのような環境省が差配する指定廃棄物の処理について全国的な見直しが必須となる。

まず求められるのは環境大臣による謝罪会見である。

3)「地権者18人の内、16人と契約」

先の交渉の中で、問題となったもう一つの大きな点は、鮫川村の実証事業は、地権者からの賃貸借契約の下に進められていたが、一部の地権者の承認を得ず、偽の承認書の下に事業が進められていたという点である。

この点は、昨年10月の鮫川村に関する質問主意書でも、地権者が自分の了解の無いまま、所有地が勝手に使われている点について、承諾の契約書は偽のものであると、警察に告訴した事実が尋ねられていた。

その時点では、賃貸契約を行ったのが、業務委託を受けた日立造船か環境省かが分からなかったため、事業の所管官庁の環境省の責任として、尋ねていたが、知らぬ存ぜずという答弁だった。

ところが交渉の中で、おしどりマコ氏が、副大臣にその点について通知していたことを話し、「知らない」と言うのは嘘だと分かり、今回改めて環境省に尋ねていた。

その答えが、地権者は18人で、16人と契約しているという答弁である。
つまり地権者2人分の土地は、契約なしに使っているということを、行政官庁が認めたのである。

事業はすでに進められている。今後事業が開始される予定と言う時点での話ではない。不法に地権者の土地を使用しているとしたらとんでもない話である。
直ぐこの事業を止めるべきであろう。

4)計画している指定廃棄物の事業内容を明らかにしない違法

計画している指定廃棄物の事業の全国での具体的な実態について、尋ねた件については、帰ってきたのが次のような答弁である。「現在3カ所で指定廃棄物の処理事業を進めつつあるが、それ以外は調整中であり、明らかにできない。」

環境省が、市町村と調整に入っている事業は、もちろん環境省の予算上計画された事業である。環境大臣や官僚たちのポケットマネーで進める計画ではない。
国の予算を使った計画を立てながら、計画中の事業の推進場所やその内容を明らかにするように求めた質問に、調整中だから明らかにできないという。

前代未聞の対応である。国会議員の国政調査権すら否定するトンデモ対応である。

予算化した事業が「調整中」で進まないと言うのならば、なぜどのような理由で進まないのかを明らかにし、そもそも計画自体が妥当性を持っていたのかを、国会議員の釈明に応えて明らかにする必要がある。

事業の計画は、勝手に進め、役所に都合のよい有識者会議でオーソライズし、予算立てした後も、実態を明らかにしない。環境省の官僚たちは、いつからこのような独裁的な権限を平気で行使するようになったのか?

本来予算措置の中で、今回鮫川に見られたような焼却処理が必要なのか?安全なのかが検討されなければならないものであり、隠し立てする根拠はない。

明らかにできないと言いながら、その計画案を持って、環境省は、市町村や県と調整中であり、異なる行政機関と交渉している内容は、当該行政官庁として、内容上責任があり、当然情報公開の対象事項である。

質問主意書で応えないと言うのは、違法答弁であり、許されるものではない。

5)まとめ

今回の鮫川への対応に現れた環境省の官僚独裁を垣間見せる対応、そして公害規制省としての劣化は、目を覆わんばかりである。

そもそも放射線特措法で、指定廃棄物は環境省が責任を持って処理すると言いながら、ふたを開けてみると、減容化を名目にして、民間委託した事業先で、汚染廃棄物を焼却する等の計画を、進めてきた。

わずか10数万トンの指定廃棄物をなぜ焼却処理しなければならないのか?保管方法として示されている方法では、なぜ可能でないのか?焼却した時の危険性についてどのように検証されたのか等の検討ない。

その上、事故があれば事故を隠し、法律に違反してまで、自己保身に走る。そうした対応を取ることが、今回改めて分かった。
今回の環境省の醜悪な対応とその事実を、今後予定されているあらゆる市町村、住民に知らせ、この危険な処理を止めさせよう。


*1:福島県鮫川村での農林業系副産物の仮設焼却炉による減容化実証事業等に関する質問主意書の件 山本太郎参議院議員

<質問主意書の内容>
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/186/syuh/s186005.htm


<答弁書>
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/186/touh/t186005.htm

*    2:「世界」臨時増刊号 「放射能ごみと民主主義」ルポ・福島「鮫川村騒動」
山本俊明 (ジャーナリスト)

*    3:筆者注。「異音があった」と言う報告は、明らかに、「爆発事故」を前提とした言い方である。

もし爆発事故でなければ、「機械が作動しなくなった」「コンベアーが動かなくなった」と言う報告から入る。

「異音があった」と言っても何のことか分からないからである。

ではなぜそのように説明しなかったかと言うと、「機械が作動しなくなった」「コンベアーが動かなくなった」と言う報告では、何が原因で作動しなくなったのか?と話が続くからである。そうなるとコンベアーのカバーが裂けたと言うことになり、「なぜ裂けたのか」と言うことになり、爆発に行き着いてしまうからである。

そこで浅知恵を絞って「異音がした」という報告があったことにしたのである。

実際汗をかく仕事をしたことも無く、屁理屈(虚業)の世界で生きている役人の集大成が「異音があった」と言う言い換えと言える。

このよう言葉遊びの虚業の世界で人生を終える役人たちは哀れであるが、もちろんこのような役人に勝手に税金を使われる国民としては、許せない。

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質問主意書 鮫川村での指定廃棄物の爆発事故の件について。 ...続きを見る

2013年11月18日月曜日

20131118 青木泰さんからのメール「 18日(月)<夜>「がれきの広域化と秘密保全法」で話をさせていただきます。


差出人: 青木泰
日時: 2013年11月18日 3:18:56:JST
件名: 18日(月)<夜>「がれきの広域化と秘密保全法」で話をさせていただきます。


本日(18日月曜日)―大阪に堺市の件でお伺いし、夜(18時半)は、「エル大阪」(天満橋)で、下地真樹さんとお話しさせていただく機会を、内海さん、松下さんに作っていただきました。

皆様 よろしくお願いします。

秘密保全法については、山本太郎氏の9月の全国遊説などもあって、東京新聞に次いで、毎日や朝日も、本腰を入れて報道をはじめています。

特に毎日は、報道関係者の反対声明で、田原総一郎氏や鳥越俊太郎氏らと共に岸井成格主筆も秘密保護法廃案の横断幕を持って参加し、紙面にも並々ならない決意が表れています。

がれきの問題では、いろいろあったにせよ、この秘密保全法は、今民主主義を守ろうとする皆さんが力を合わせて廃案に持ち込む必要があると思います。

今回私は、資金流用化問題で、堺市を尋ねることになりました。住民の皆さんが、堺市が受け取った86億円の復興資金の返還を求める陳情を提出された件で、住民の皆さんや議員の皆さんと話し合うためです。

そこで夜(18時半~21時)には、エル大阪で、「がれきの広域処理と秘密保全法」について、話をさせていただきます。

がれきの広域化は、結局当初計画400万トンの3%の12万トンの達成量で終息しました。しかし予算は400万トンで予算立てしていたため、数千億円の余剰資金が資金流用の資金源になっていました。被災地の不幸を尻目に、省庁の利害のために、復興資金を横領する不正な犯罪行為です。

私は、がれき問題を通して、官僚たちの数々の不正と秘密主義を見てきました。その観点から言うと今この時期に「秘密保全法」の成立を狙うのは、これら役人、「官の不正を秘密」にすることが、隠された大きな狙いではないかと思っています。(その点は下記に書きました)

これらの点について、エル大阪でお話ししたいと思います。何時も突然ですが、よろしくお願いします。

秘密保全法、もう一つの狙い
「官の不正を機密に」 青木泰

<がれきの広域化で見た官僚たちの堕落>

がれきの広域化問題から見えてきた環境省の対応は、最初から最後まで官僚独裁と言ってよい対応だった。

詳細は後述するとし、官僚たちはがれきの広域化法と、放射性物質特措法を作り、これまでの放射性物質についての基準(クリアランスレベル)を80倍緩め、放射性物質の焼却まで実施して行った。

環境法は、もともと公害防止法として出発し、産業や事業活動に伴う環境汚染から国民を守るためのものであった。究極の毒性物質である放射性物質が、大量に環境中に放出され、その影響は、われわれの後世代に何代にもわたり悪影響をもたらすおそれがある。

にもかかわらず、直接目に見えない影響は、その実態を隠し、官僚たちがもっぱら突っ走ったのは、放射性物質を全国に拡散し、環境中に放出する焼却行為に走り、それをごまかす希釈を行うということだった。

これまでの公害や環境問題が教える有害物を「拡散」「焼却」「希釈」してはならないとする原則を踏外す行動だった。

そしてその裏で、官僚たちが行っていたのは、被災地につぎ込む予定で集められた復興資金を被災地の復旧・復興のために使わず、省庁の利害にかすめ取る行動だった。

火事場泥棒と同じ行為を、官僚たちは職権で行っていた。

復興資金のためのお金は、総額で25兆円。そのうち14.5兆円は、国が子ども手当てや高速料金無料化などで実施しようとした国民へのサービスを棚上げして捻出等したものであり、一方で個人や事業者は、10.5兆円を新たな徴税(個人―所得税の25年間2.1%増しと住民税10年間1000円増し、事業税―3年間増税)に応じ、復興資金作りに協力した。

国民の協力を得て集めた復興資金を被災地のために使わず、各省庁の財源に流用すると言うのは、堕落としか表現の仕様が無い行為であり、「官による違法・不正」で許せない行為である。

官僚機構の中にいる役人の誰もが、今までのところこれらの不正を告発することは行っていない。

しかしもし1人の勇気ある役人が、こうした実態を告発すれば、現政権が吹っ飛ぶような事態になる。現状の官僚機構からすれば、文字通りに政権を揺るがす行動となり、秘密にして、この告発を防ぐ必要がある。秘密保全法は、「官による不正」を覆い隠すことが、実は主な目的として急がれているのではないか?

<流用に走る官僚と国家を云々する官僚との違和感>

経産省の官僚が、ネット上で暴言を吐いたとして処分された。

「復興は不必要だと正論を言わない政治家は死ねばいいと思う」
「(復興増税は)年金支給年齢をとっくに超えたじじぃとばばぁが、既得権益の漁業権をむさぼるため」
「(天下りを示唆するような)あまり下まであと3年、がんばろっと」

彼、後藤久典が、行ったこれらの暴言は、官僚たちのがれき問題での対応を見ると、単なる氷山の一角だと分かる。

省益の追及と、横流しした公金をばら撒き、将来の天下り先を確保する。もっぱらの関心事は、省益、つまり自己の利害である。
被災地の「不幸」は、彼らにとってどうでもよく、したがって、原発の放射能汚染を止めたり、その被曝による影響に思いをめぐらせることもどうでもよいことなのだろう。

ところが秘密保全法の話に移ると、俄然様相が違ってくる。

現状のままだと「日本はスパイ天国であり、このままでは国を守れない」
「行政の情報は、できるだけ国民に明らかにすべきだが、国として守らなければならない秘密がある。」

東北大震災、原発事故やがれき問題で、官僚たちが取ってきた自分勝手な対応から見た時、彼らに守るべき「国」があるのかと疑ってしまう。

戦前関東大震災に当たって、あの帝国陸軍でさえ、予算を削って復興に注力した。戦争末期米軍の空襲に、次代を担う子どもたちを疎開避難させた。
東北大震災と福島原発の爆発に際して、あの帝国陸軍を例示しなければならないような政治と官僚たちの劣化がある。

今の官僚たちは、政治家を上手く使いながら、被災地の不幸に思いを寄せることが無い。国の将来=子どもたちの未来を考えることも無い。支援法には一銭もつけず、その一方でせっせと流用に励んできた。

明らかに秘密保全法は、どのような意味でも公共性を忘れた、我利我利亡者となった官僚たちを守るための法律なのだろう。

<法案を非公開、秘密裏に作る>

がれきの広域化処理では、秘密保全法を先取りするような対応が始まっていた。

・    がれきの広域法案を作るに当たって設けられた「災害廃棄物安全評価検討会」(いわゆる有識者会議)は、環境省の役人が勝手に人選し、純粋に科学的、技術的な評価を行わなければならない有識者会議を、非公開にし、
・    その上、そこで検討してきた議論も、原子力安全委員会が8000Bq/kgの見解を出すと右にならい、議事録すら途中から取らなくなった。
・    何がどのように議論されたのかも抜きにして、広域化特措法と放射能汚染対策特措法を決めてしまった。

官僚たちは、国民の税金で働く場を得、本来的には国会で決まった法案、予算に基き、時の政府の決定に基き、政策について運用・施行してゆく役割を持っている。

ところが、法を非公開で、議事録も無しに開いた有識者会議に基き、自分たちの勝手に動き出したのだ。これらの経過は、官僚たちによる議会制民主主義を無視し、乗っ取るクーデター行為と言ってよい。

<被災地の復興予算を最初から過大に立てる>

もちろん彼らが勝手に動くためには、予算措置が必要である。この面では、がれきの広域化においては、次のような仕掛けで巨額の余剰金を生み出した。
(筆者たちも最初からこれらのことが分かっていた訳でない)

・    第一番目は、がれきの発生量の過大見積もりである。被災3県で、当初は2400万トンと発表し、広域化400万トンと発表した時には、2250万トンに。そしてそれも下方修正し、1800万トンまで減った。しかし予算は、最初の過大な見積もりに基きたてられた。
・    第二番目は、がれきの処理は、被災市町村、被災県そして広域化処理という形で進め、広域化は、被災市町村でできない分を被災県が引き受け、被災県が処理できない分を全国の市町村に広域化するということだった。

ところが、宮城県では、県内4ブロックに分け、県内処理でまかなう計画を立てながら、広域化する計画を2重に立てていた。一番ひどかったのは、石巻ブロックでは、宮城県が685万トン引き受け、そのまま鹿島JV(ジョイントベンチャー)に685万トン業務委託しながら、293万トン広域化すると発表していた。

293万トンは県内処理と広域化処理の両方に2重に計上されていた。1トン当たり10万円の処理費として約3000億円の架空形状(原文ママ)である。

岩手県でも、再調査(H24年4月)の結果、広域化するがれき量が激減していたのに、環境省はデスクワークで5~10倍にがれき量を増やし、広域化が必要と予算組みし実行した。

このように実態としては、広域化にまわす分が無かったため、広域化を始めた後、「再調査の結果」がれき量がなくなったと、下方修正し、予定期日を前に次々と終息させた。

このように広域化が必要ないのに、がれきの広域化に予算を使い、無駄遣いをしただけであった。これらの経過は、住民サイドで情報開示請求で、逐一事実を調査し、住民監査請求や民事訴訟などで、環境省や行政に迫って言った。

こうした中で、既報のように岩手県では、岩手県の広域化一覧表の請求に対して、黒塗りで非開示し、環境省発表と岩手県の発表の矛盾点を隠すと言ったことも行われた。

この情報非開示には、岩手県に異議申し立てを行い、岩手県の情報開示審査会は、黒塗り部分を開示する答申を出すことになった。
こうした経過を考えた時、秘密保全法が成立すれば、環境省の指示により堂々と情報隠しを行うことになるだろう。
このように現に進んでいる実態を考えても、秘密保全法が隠すのは、官の不正と断言することができる。

<復興資金を省庁の一般財源への流用>

このように過大な予算を組み、余剰金を生み出しながら、その余剰金を国庫に返さず、巨額の余剰金を省庁の財源にした。これが復興資金の流用問題である。

24年度までの分として、情報開示請求(震災復興プロジェクト・近畿による)によって分かった環境省の流用分は、約550億円に上る。
このあたりまで来ると明らかに官僚たちがやっていることは、法に違反し、裁量権を悪用した業務上の横領・窃盗行為である。

そして彼らが考えていることは、繰り返すが、自分たち官僚の利害でしかない。

弾圧と口封じのための矛先は、反体制の諸団体と野党に向けられる以上、政党は野党になったとたん、弾圧と取締りの対象となる。

現野党から進み、維新の会他保守政党が糾合されて、与党になり、公明党が弾き飛ばされれば、当然弾圧は公明党に向けられ、そして維新の会、最後には自民党にも及ぶであろう。

東北大震災・福島原発の爆発事故以降、官僚たちの独裁化の動きは、急であり、復興資金流用化&ファンド化に見るように、独自の巨大財源を持ちつつある。
この事実を事実として受け止め、官僚独裁と対処して行こう。
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2013年11月12日火曜日

20131112 青木泰さんからのメール「タチアナ集会 あと10日を切る 11月21日(木)」


差出人:青木泰
日時: 2013年11月12日 9:25:43:JST
件名: タチアナ集会 あと10日を切る 11月21日(木)


皆様 お世話様です。

いよいよタチアナ集会、あと10日を切り、11月21日(木)の講演会が、近づきつつあります。ウクライナのタチアナさんは、15日(金)には来日し、この集会に先行する埼玉(16日)、仙台(18日)、盛岡(19日)、福島(20日)の各地で講演会を行い、東京ー霞ヶ関での集会に駆けつけてくれます。この情報の拡散と集会への賛同をお願いします。


1)タブーに挑戦したウクライナ調査団


この集会に賛同の意見を寄せてくださった園田氏は、反原発運動の大きな広がりの中でも、一般的には放射能による危険性への意識が薄く、食べてもよいと言った迷信が広がっていることに危惧され、賛同してくれました。

今回の取り組みは、「NPO食品と暮らしの安全基金」による2年間をかけての調査で、すでにインターネット上は、この調査団に参加した皆さんから情報発信がなされていました。

しかしこの調査企画は、ウクライナにおける放射能汚染の影響調査という点を越えて、壮大な「調査・実験」であったことが分かりました。

現状、子ども支援法の適用をめぐって、1msvか20msvかの論争が繰り広げられています。そうした中でも今回の調査・実験は、1msvレベルの低線量の被曝地域でも、健康被害が出ていると言うことを、9家族、150日間をかけた実験によって確認したのです。

最初の調査によって、ウクライナの子どもたちが、いわゆるぶらぶら病といわれる被曝症状に似た症状で苦しんでいることが分かりました。訪れた小学校(~14歳)では、約7割ぐらいの子どもが、痛みなどの症状を訴え、同じ食物を食べている家族にも同様の症状が現れていました。

これ自体は、通常の調査ではなかなか分からないことで、調査団と子どもたちが直接話ができたことがきっかけでした。

しかしそれだけでは、それらの症状が、放射能によるものなのかは分からず、被曝症状と言うのは単なる想定に過ぎません。

そこで企画した「NPO食品と暮らしの安全基金」代表の小若順一氏は、長年食品の汚染や毒性問題に取り組んだ経験から、健康に影響を与える最小作用量(*1)という点から、この問題に迫ることにしたのです。

つまり原因と考えられるものを絞り、それを除去することで、症状が回復されるかどうかを見る、9家族(約50人弱)について150日にわたる壮大な「調査・実験」です。現地の食べ物の放射能汚染度を測定し、汚染度の高い食べ物(きのこと川魚)を取り除き、それに代えて汚染されていない肉(牛肉、鶏肉、豚肉など)と牛乳を食べてもらう。

これは、アレルギー源と考えられるものを取り除き、症状を回復させると言った時にも用いられている方法ですが、これだけの長期間、9家族で、しかも外国の地で行うと言うのは、壮大な「調査・実験」としか呼びようの無い実験です。

この実験が成功したのは、この企画の現地のコーディネイターとして働いてくれたタチアナ・アンドロシェンコ女史の協力が不可欠でした。

ご自身もこの実験に参加したタチアナさんを「NPO食品と暮らしの安全基金」が、日本に招待し全国5箇所で講演会が行われます。

タチアナさんからは、この実験が行われたチェルノブイリ爆発事故後の27年経過したウクライナの状況と皆さんの生活ぶりやこの実験後の皆さんの様子など、これまでの情報では知りえなかったことをお話していただきます。

私たちも直接お話を聞き、低線量汚染地域での「健康被害の真実」に触れ、
日本における福島原発による汚染対策を考えてゆきたいと思います。

*1:最小作用量(http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=3453)と言う概念です。
  :最小毒性量 
http://www.env.go.jp/water/dojo/noyaku/hisan_risk/hyoka_tih/com06/ref05.pdf

2)講演会の内容
2013年11月21日(木)13時30分~16時40分
講演シンポジウム 日本の放射能被害を防ぐ
ウクライナのタチアナ女史が語るー「低線量汚染地域・健康被害の真実」
『事故後27年のチェルノブイリから考える』


NPO「食品と暮らしの基金(小若順一代表)」が、企画呼びかけした国際的なプロジェクトが、低レベル放射能による人体への影響を独創的な調査方法によって、明らかにしました。

低線量汚染地域で生活し、安全基準の範囲の食事をしていても、少しずつ蓄積する放射能の影響が、食べていた食事を、ほとんど放射能汚染されていな食事に切り替え、5ヶ月間(=150日)食べさせることによってそれらの諸症状を劇的に改善しました。
 
このプロジェクトは、逆転の発想で、子どもたち子どもたちを蝕み、この切り替えによって改善したと言うのは、安全基準のあり方や、低線量汚染地域といっても影響を受けると言うことを実証した試みと言えます。

11月21日、ウクライナで今回のプロジェクトのコーディネイターとして、自らの頭痛もこれによって改善させたタチアナ・アンドロシェンコ女史をお招きしての講演会です。
紹介ページ http://kokucheese.com/event/index/122365/

タチアナさんから報告を頂いた後、

シンポジウムでは、タチアナさんに加え、何度もチェルノブイリに赴き、今回の企画を進めてきた「食品と暮らしの安全基金」代表の小若順一氏と今回の対処策の持つ意味を専門家の立場から内部被曝問題の第1人者である松井英介医師にお話しいただきます。

そして自らもチェルノブイリに行き現地調査をされ、参議院議員当選後は、秘密保全法の問題を全国各地を回って訴え、大手マスメディアや各界からの反対の声を引き出す大きな役割を担った、タブーに挑戦する山本太郎参議院議員にも参加していただき、

東日本の汚染地域において、非汚染地域に疎開する意味や、安全な食品を摂取する意味を考えて行く場にしたいと考えます。

講師:ウクライナ、タチアナ・アンドロシェンコ看護師
(報告:「食品と暮らしの安全基金」小若順一代表)
コーディネータ:松井英介医師
コメンテイタ―:山本太郎参議院議員

日時:2013年11月21日(木)13時30分~16時40分  (開場12時30分)
場所:衆議院第1議員会館―多目的ホール(定員200名) 丸の内線:国会議事堂前から3分、有楽町線:永田町から5分

主催:「食品と暮らしの安全基金」&11・21東京実行委員会

入場無料
資料代:800円

参加の申し込みは、「申し込みフォーム」からお願いします。
https://ssl.kokucheese.com/event/entry/122365/

電話(&FAX)でのお申し込みは、042-391-7102<松崎>までお願いします。

連絡先:11・21東京実行委員会 共同代表 萩原春代、さくら直海
    042-391-7102<松崎>
     

3)協賛・賛同のお願い

11・21東京実行委員会は、上記衆議院会館多目的ホールでの集会を準備しています。
この取り組みに賛同される個人、団体はぜひ協賛していただき、取り組みの成功にご協力お願いします。賛同金:個人1000円、団体2000円。
賛同される方は、上記連絡先にお申し込みください。

<11.21 タチアナ講演会 賛同人と賛同団体>
(2013年11月10日)

賛同人
<東京都>
佐倉直海(LLP国際環境農業開発事業組合副代表)
萩原春代(生き生き学習法研究会代表)
佐藤れい子(元千葉県立衛生短大非常勤講師)
和田秀子(ママレボ編集長)
矢口節子(豊島の健康と環境を守る会)

土居保良(歯科医師)
青木泰(環境ジャーナリスト)
旗利彦(元都立高校教師)
奈須りえ(元大田区議)
西松朋子(大田区)

壺井香雪(ギャートルズ)
内野真里(社団メディカルレディースサポート理事)
近藤波美(デザイナー)
沖坂隆(ごみ焼却を考える会InTama)
鈴木武彦(杉並区)

松崎伊都子(東村山市)
小川清(〃)
鈴木吾幸(〃)
高橋江里子(東久留米市)

<埼玉県>
加納好子(子供の未来を守る・宮代)
園田真見子(志政フォーラム)
加藤晶子(彩の国資源循環工場と環境を考える広場)
武井和彦(高校教員)
内田千花(所沢市)

塩崎雅一(三郷市)
森田伸明(さよなら原発@東村山)

<神奈川県>
瀧川きみえ(神奈川ネットワーク運動・横須賀)
榎本めぐみ(横浜市)
西岡政子(横浜市)

<その他地域>
松井英介医師(岐阜環境医学研究所)
松下勝則(震災復興プロジェクト・近畿)
福田由紀子(静岡ハートネット)

<団体>
NPO法人ごみ問題5市連絡会
内部被爆を考える市民研究会(川根眞也)
豊島・健康と環境を守る会
326放射性物質拡散阻止・政府交渉ネット

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◆「日本の放射能被害を防ごう」 講師:タチアナ女史・小若順一 11/16さいたま 11/18盛岡講演 11/19仙台  11/20郡山 11/21東京