差出人: 青木泰
日時: 2014年2月27日 19:38:45:JST
件名: 鮫川&指定廃棄物 山本太郎議員の質問主意書に環境省『爆発』を認める
皆様へ
お世話様です。
鮫川問題について、山本太郎議員の質問主意書への環境省の答弁内容についてまとめました。
官僚たちは、災害廃棄物の処理について、このようにいい加減に行い、その一方で資金流用に手を出していました。
―鮫川村での指定廃棄物の焼却処理事業での爆発事故についてー
環境省 嘘がばれても、「報告を受ける立場にない」
-山本太郎議員の質問主意書での質問に驚く官僚答弁―
2014年2月23日 環境ジャーナリスト 青木泰
既報のように昨年指定廃棄物の焼却処理事業に入ってわずか10日で、爆発事故を起こした環境省。メディアコントロールのために、「爆発」を隠し、消防署にも届けず、コンベアーの破断事故として責任逃れに走っていたことが改めて分かった。
福島原発事故のメルトダウンを隠した時と同様に対応である。
しかし地響きを立てた爆発音を聞いた地元の人の口をふさぐことはできず、当日の事故通報がなかったことから翌朝調査に入った消防署の報告が、消防庁に「爆発事故」として行われていたことが、山本太郎参議院議員事務所の調べで分かった。
11月7日に行われた山本議員参加の下、環境省への事情聴取に、地元の和田央子氏やおしどりマコ氏らも参加し、326政府交渉ネットの事務局メンバーが爆発事故問題で交渉した。
その交渉の中で環境省が答えに窮し、応えなかった場面が、何度かあった。その点を質問主意書として今国会が始まってすぐに提出していたが、2月に入ってその答えが、ようやく帰ってきた。(*1:質問主意書の内容と答弁書)
1)「報告を受ける立場にない」と言いながら「爆発」を認める。
今回の質問主意書は、その時交渉時に環境省が答えに窮した点を、改めて質問した点などで構成されていた。
環境省が答えに窮したのは、現場からの事故の第一報を受けた環境省の高橋担当官が、山本太郎秘書の湯川氏の次の質問を受けた時。
「事故の時に現場からどのように報告されたのか?」
「異音(いおん)がした」と言ったのか「爆発があった」と言ったのか?―と聞いた時だった。
大体この種の事故報告で、「異音がした」などと言う言葉はない。
環境省の事故調査報告では、「異音がした」と報告していたが、直接の交渉の中では、嘘を言うことができず、黙ってしまい、答えられなかったのである。
その環境省との交渉の後、消防庁の報告として、鮫川の事故は「爆発」事故であったと報告されていることが分かり、所管の消防庁は爆発事故と認めているのに、環境省は爆発事故でないと言い続けるのかと質問主意書で聞いたのである。
それに対しての環境省の答弁が、「消防庁から報告を受ける立場にない」と言う答弁であった。
時代劇の殿様が言うような「苦しゅうない」「吾輩は報告を受ける立場にない」と言った答弁であり、高慢な役人の許せない答弁である。
ただそうはいったものの、別項では「爆発が発生した旨の(消防庁の)報告について知っている。」と答え、この答弁書で環境省は初めて「爆発」の事実を認めている。
そしていつものようにその責任を委託した民間会社(日立造船)の現場所長に「現場からの報告は『異音』となされた」「所長が火災であると認識しなかったため(爆発事故は火災の一種)当該通報は行われなかった」としている。しかしこのような答弁で許されるはずはない。
指定廃棄物と言う高濃度に汚染された廃棄物を、焼却し減容化するという世界で初めての危険な処理を行いながら、「爆発事故」を起こしてしまったのである。
これまでは、爆発事故とは認めず、月刊誌「世界」(岩波書店)臨時増刊号「イチエフ・クライシス」昨年12月7日発売(*2)の取材でも、爆発を認めない対応に終始していた。
2)「爆発」を認めた上で、環境省に求められる対応
今回の質問主意書によって、環境省は始めて「爆発」の事実を認めた。では何をすべきか?
まずこれまで事故報告書にすら「爆発」を認めず、自己保身の立場をとってきたことを謝罪し、「爆発」を認めたことを内外に明らかにすべきである。
当然有識者による再発防止策の委員会についても、一からやり直す必要がある。
その前提にたって、爆発事故の原因と、爆発による周辺環境中への飛散や作業員への影響についてきっちっとした調査を行うべきである。
実証事業に入る時の環境省の説明は、安全で、事故の心配はないというものであった。しかし今回の事故とその事故への環境省の対応で分かったことは、一番危険な「爆発事故」があっても、「爆発」があったことすら隠し、ほとぼりの覚めたころに「爆発」を認め、しかもその責任を委託業者に押し付けるというものだ。
しかしここまで明らかになれば、次のように整理することができる。
今回の消防庁の報告のように鮫川村の焼却事業の現場で起こったことが、爆発事故だとしたら、現場からの環境省になされた事故の第1報は、「爆発があった」となされていることになる。
その上で、「爆発事故があった」と言う報告を隠し、消防署への爆発事故=火災報告をストップさせたのは、環境省と言うことになる。
そうでなければ、業務委託を受けていた日立造船が、何らかの理由で「爆発事故」の事実を隠して、環境省に報告したことになる。
しかしそもそも「異音がした」などと言う日本語はなく、(*3)そのような報告が実際になされていたとしても、その報告を受けた環境省の高橋担当官は、その嘘を見抜けなかった瑕疵は問われることになる。
鮫川村の現場で起きたことが、爆発事故であったことが、今回消防庁の報告として認められ、事実確認された。
この事実に基づけば、「異音」報告に拠って、事実を隠して業者自身の不利益を逃れようとした日立造船は、「虚偽の事実」を報告し、業務上の背任行為を行ったことになる。そのような業者との契約を継続することの違法は明らかである。
また爆発事故と報告されていたのに、それを隠し、消防庁への報告を怠ったのならば、環境省の責任者の「虚偽報告」による謝罪と処罰は避けられない。
そしてこのような環境省が差配する指定廃棄物の処理について全国的な見直しが必須となる。
まず求められるのは環境大臣による謝罪会見である。
3)「地権者18人の内、16人と契約」
先の交渉の中で、問題となったもう一つの大きな点は、鮫川村の実証事業は、地権者からの賃貸借契約の下に進められていたが、一部の地権者の承認を得ず、偽の承認書の下に事業が進められていたという点である。
この点は、昨年10月の鮫川村に関する質問主意書でも、地権者が自分の了解の無いまま、所有地が勝手に使われている点について、承諾の契約書は偽のものであると、警察に告訴した事実が尋ねられていた。
その時点では、賃貸契約を行ったのが、業務委託を受けた日立造船か環境省かが分からなかったため、事業の所管官庁の環境省の責任として、尋ねていたが、知らぬ存ぜずという答弁だった。
ところが交渉の中で、おしどりマコ氏が、副大臣にその点について通知していたことを話し、「知らない」と言うのは嘘だと分かり、今回改めて環境省に尋ねていた。
その答えが、地権者は18人で、16人と契約しているという答弁である。
つまり地権者2人分の土地は、契約なしに使っているということを、行政官庁が認めたのである。
事業はすでに進められている。今後事業が開始される予定と言う時点での話ではない。不法に地権者の土地を使用しているとしたらとんでもない話である。
直ぐこの事業を止めるべきであろう。
4)計画している指定廃棄物の事業内容を明らかにしない違法
計画している指定廃棄物の事業の全国での具体的な実態について、尋ねた件については、帰ってきたのが次のような答弁である。「現在3カ所で指定廃棄物の処理事業を進めつつあるが、それ以外は調整中であり、明らかにできない。」
環境省が、市町村と調整に入っている事業は、もちろん環境省の予算上計画された事業である。環境大臣や官僚たちのポケットマネーで進める計画ではない。
国の予算を使った計画を立てながら、計画中の事業の推進場所やその内容を明らかにするように求めた質問に、調整中だから明らかにできないという。
前代未聞の対応である。国会議員の国政調査権すら否定するトンデモ対応である。
予算化した事業が「調整中」で進まないと言うのならば、なぜどのような理由で進まないのかを明らかにし、そもそも計画自体が妥当性を持っていたのかを、国会議員の釈明に応えて明らかにする必要がある。
事業の計画は、勝手に進め、役所に都合のよい有識者会議でオーソライズし、予算立てした後も、実態を明らかにしない。環境省の官僚たちは、いつからこのような独裁的な権限を平気で行使するようになったのか?
本来予算措置の中で、今回鮫川に見られたような焼却処理が必要なのか?安全なのかが検討されなければならないものであり、隠し立てする根拠はない。
明らかにできないと言いながら、その計画案を持って、環境省は、市町村や県と調整中であり、異なる行政機関と交渉している内容は、当該行政官庁として、内容上責任があり、当然情報公開の対象事項である。
質問主意書で応えないと言うのは、違法答弁であり、許されるものではない。
5)まとめ
今回の鮫川への対応に現れた環境省の官僚独裁を垣間見せる対応、そして公害規制省としての劣化は、目を覆わんばかりである。
そもそも放射線特措法で、指定廃棄物は環境省が責任を持って処理すると言いながら、ふたを開けてみると、減容化を名目にして、民間委託した事業先で、汚染廃棄物を焼却する等の計画を、進めてきた。
わずか10数万トンの指定廃棄物をなぜ焼却処理しなければならないのか?保管方法として示されている方法では、なぜ可能でないのか?焼却した時の危険性についてどのように検証されたのか等の検討ない。
その上、事故があれば事故を隠し、法律に違反してまで、自己保身に走る。そうした対応を取ることが、今回改めて分かった。
今回の環境省の醜悪な対応とその事実を、今後予定されているあらゆる市町村、住民に知らせ、この危険な処理を止めさせよう。
*1:福島県鮫川村での農林業系副産物の仮設焼却炉による減容化実証事業等に関する質問主意書の件 山本太郎参議院議員
<質問主意書の内容>
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/186/syuh/s186005.htm
<答弁書>
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/186/touh/t186005.htm
* 2:「世界」臨時増刊号 「放射能ごみと民主主義」ルポ・福島「鮫川村騒動」
山本俊明 (ジャーナリスト)
* 3:筆者注。「異音があった」と言う報告は、明らかに、「爆発事故」を前提とした言い方である。
もし爆発事故でなければ、「機械が作動しなくなった」「コンベアーが動かなくなった」と言う報告から入る。
「異音があった」と言っても何のことか分からないからである。
ではなぜそのように説明しなかったかと言うと、「機械が作動しなくなった」「コンベアーが動かなくなった」と言う報告では、何が原因で作動しなくなったのか?と話が続くからである。そうなるとコンベアーのカバーが裂けたと言うことになり、「なぜ裂けたのか」と言うことになり、爆発に行き着いてしまうからである。
そこで浅知恵を絞って「異音がした」という報告があったことにしたのである。
実際汗をかく仕事をしたことも無く、屁理屈(虚業)の世界で生きている役人の集大成が「異音があった」と言う言い換えと言える。
このよう言葉遊びの虚業の世界で人生を終える役人たちは哀れであるが、もちろんこのような役人に勝手に税金を使われる国民としては、許せない。
-------------
0 件のコメント:
コメントを投稿