差出人: 青木泰
日時: 2013年11月18日 3:18:56:JST
件名: 18日(月)<夜>「がれきの広域化と秘密保全法」で話をさせていただきます。
本日(18日月曜日)―大阪に堺市の件でお伺いし、夜(18時半)は、「エル大阪」(天満橋)で、下地真樹さんとお話しさせていただく機会を、内海さん、松下さんに作っていただきました。
皆様 よろしくお願いします。
秘密保全法については、山本太郎氏の9月の全国遊説などもあって、東京新聞に次いで、毎日や朝日も、本腰を入れて報道をはじめています。
特に毎日は、報道関係者の反対声明で、田原総一郎氏や鳥越俊太郎氏らと共に岸井成格主筆も秘密保護法廃案の横断幕を持って参加し、紙面にも並々ならない決意が表れています。
がれきの問題では、いろいろあったにせよ、この秘密保全法は、今民主主義を守ろうとする皆さんが力を合わせて廃案に持ち込む必要があると思います。
今回私は、資金流用化問題で、堺市を尋ねることになりました。住民の皆さんが、堺市が受け取った86億円の復興資金の返還を求める陳情を提出された件で、住民の皆さんや議員の皆さんと話し合うためです。
そこで夜(18時半~21時)には、エル大阪で、「がれきの広域処理と秘密保全法」について、話をさせていただきます。
がれきの広域化は、結局当初計画400万トンの3%の12万トンの達成量で終息しました。しかし予算は400万トンで予算立てしていたため、数千億円の余剰資金が資金流用の資金源になっていました。被災地の不幸を尻目に、省庁の利害のために、復興資金を横領する不正な犯罪行為です。
私は、がれき問題を通して、官僚たちの数々の不正と秘密主義を見てきました。その観点から言うと今この時期に「秘密保全法」の成立を狙うのは、これら役人、「官の不正を秘密」にすることが、隠された大きな狙いではないかと思っています。(その点は下記に書きました)
これらの点について、エル大阪でお話ししたいと思います。何時も突然ですが、よろしくお願いします。
秘密保全法、もう一つの狙い
「官の不正を機密に」 青木泰
<がれきの広域化で見た官僚たちの堕落>
がれきの広域化問題から見えてきた環境省の対応は、最初から最後まで官僚独裁と言ってよい対応だった。
詳細は後述するとし、官僚たちはがれきの広域化法と、放射性物質特措法を作り、これまでの放射性物質についての基準(クリアランスレベル)を80倍緩め、放射性物質の焼却まで実施して行った。
環境法は、もともと公害防止法として出発し、産業や事業活動に伴う環境汚染から国民を守るためのものであった。究極の毒性物質である放射性物質が、大量に環境中に放出され、その影響は、われわれの後世代に何代にもわたり悪影響をもたらすおそれがある。
にもかかわらず、直接目に見えない影響は、その実態を隠し、官僚たちがもっぱら突っ走ったのは、放射性物質を全国に拡散し、環境中に放出する焼却行為に走り、それをごまかす希釈を行うということだった。
これまでの公害や環境問題が教える有害物を「拡散」「焼却」「希釈」してはならないとする原則を踏外す行動だった。
そしてその裏で、官僚たちが行っていたのは、被災地につぎ込む予定で集められた復興資金を被災地の復旧・復興のために使わず、省庁の利害にかすめ取る行動だった。
火事場泥棒と同じ行為を、官僚たちは職権で行っていた。
復興資金のためのお金は、総額で25兆円。そのうち14.5兆円は、国が子ども手当てや高速料金無料化などで実施しようとした国民へのサービスを棚上げして捻出等したものであり、一方で個人や事業者は、10.5兆円を新たな徴税(個人―所得税の25年間2.1%増しと住民税10年間1000円増し、事業税―3年間増税)に応じ、復興資金作りに協力した。
国民の協力を得て集めた復興資金を被災地のために使わず、各省庁の財源に流用すると言うのは、堕落としか表現の仕様が無い行為であり、「官による違法・不正」で許せない行為である。
官僚機構の中にいる役人の誰もが、今までのところこれらの不正を告発することは行っていない。
しかしもし1人の勇気ある役人が、こうした実態を告発すれば、現政権が吹っ飛ぶような事態になる。現状の官僚機構からすれば、文字通りに政権を揺るがす行動となり、秘密にして、この告発を防ぐ必要がある。秘密保全法は、「官による不正」を覆い隠すことが、実は主な目的として急がれているのではないか?
<流用に走る官僚と国家を云々する官僚との違和感>
経産省の官僚が、ネット上で暴言を吐いたとして処分された。
「復興は不必要だと正論を言わない政治家は死ねばいいと思う」
「(復興増税は)年金支給年齢をとっくに超えたじじぃとばばぁが、既得権益の漁業権をむさぼるため」
「(天下りを示唆するような)あまり下まであと3年、がんばろっと」
彼、後藤久典が、行ったこれらの暴言は、官僚たちのがれき問題での対応を見ると、単なる氷山の一角だと分かる。
省益の追及と、横流しした公金をばら撒き、将来の天下り先を確保する。もっぱらの関心事は、省益、つまり自己の利害である。
被災地の「不幸」は、彼らにとってどうでもよく、したがって、原発の放射能汚染を止めたり、その被曝による影響に思いをめぐらせることもどうでもよいことなのだろう。
ところが秘密保全法の話に移ると、俄然様相が違ってくる。
現状のままだと「日本はスパイ天国であり、このままでは国を守れない」
「行政の情報は、できるだけ国民に明らかにすべきだが、国として守らなければならない秘密がある。」
東北大震災、原発事故やがれき問題で、官僚たちが取ってきた自分勝手な対応から見た時、彼らに守るべき「国」があるのかと疑ってしまう。
戦前関東大震災に当たって、あの帝国陸軍でさえ、予算を削って復興に注力した。戦争末期米軍の空襲に、次代を担う子どもたちを疎開避難させた。
東北大震災と福島原発の爆発に際して、あの帝国陸軍を例示しなければならないような政治と官僚たちの劣化がある。
今の官僚たちは、政治家を上手く使いながら、被災地の不幸に思いを寄せることが無い。国の将来=子どもたちの未来を考えることも無い。支援法には一銭もつけず、その一方でせっせと流用に励んできた。
明らかに秘密保全法は、どのような意味でも公共性を忘れた、我利我利亡者となった官僚たちを守るための法律なのだろう。
<法案を非公開、秘密裏に作る>
がれきの広域化処理では、秘密保全法を先取りするような対応が始まっていた。
・ がれきの広域法案を作るに当たって設けられた「災害廃棄物安全評価検討会」(いわゆる有識者会議)は、環境省の役人が勝手に人選し、純粋に科学的、技術的な評価を行わなければならない有識者会議を、非公開にし、
・ その上、そこで検討してきた議論も、原子力安全委員会が8000Bq/kgの見解を出すと右にならい、議事録すら途中から取らなくなった。
・ 何がどのように議論されたのかも抜きにして、広域化特措法と放射能汚染対策特措法を決めてしまった。
官僚たちは、国民の税金で働く場を得、本来的には国会で決まった法案、予算に基き、時の政府の決定に基き、政策について運用・施行してゆく役割を持っている。
ところが、法を非公開で、議事録も無しに開いた有識者会議に基き、自分たちの勝手に動き出したのだ。これらの経過は、官僚たちによる議会制民主主義を無視し、乗っ取るクーデター行為と言ってよい。
<被災地の復興予算を最初から過大に立てる>
もちろん彼らが勝手に動くためには、予算措置が必要である。この面では、がれきの広域化においては、次のような仕掛けで巨額の余剰金を生み出した。
(筆者たちも最初からこれらのことが分かっていた訳でない)
・ 第一番目は、がれきの発生量の過大見積もりである。被災3県で、当初は2400万トンと発表し、広域化400万トンと発表した時には、2250万トンに。そしてそれも下方修正し、1800万トンまで減った。しかし予算は、最初の過大な見積もりに基きたてられた。
・ 第二番目は、がれきの処理は、被災市町村、被災県そして広域化処理という形で進め、広域化は、被災市町村でできない分を被災県が引き受け、被災県が処理できない分を全国の市町村に広域化するということだった。
ところが、宮城県では、県内4ブロックに分け、県内処理でまかなう計画を立てながら、広域化する計画を2重に立てていた。一番ひどかったのは、石巻ブロックでは、宮城県が685万トン引き受け、そのまま鹿島JV(ジョイントベンチャー)に685万トン業務委託しながら、293万トン広域化すると発表していた。
293万トンは県内処理と広域化処理の両方に2重に計上されていた。1トン当たり10万円の処理費として約3000億円の架空形状(原文ママ)である。
岩手県でも、再調査(H24年4月)の結果、広域化するがれき量が激減していたのに、環境省はデスクワークで5~10倍にがれき量を増やし、広域化が必要と予算組みし実行した。
このように実態としては、広域化にまわす分が無かったため、広域化を始めた後、「再調査の結果」がれき量がなくなったと、下方修正し、予定期日を前に次々と終息させた。
このように広域化が必要ないのに、がれきの広域化に予算を使い、無駄遣いをしただけであった。これらの経過は、住民サイドで情報開示請求で、逐一事実を調査し、住民監査請求や民事訴訟などで、環境省や行政に迫って言った。
こうした中で、既報のように岩手県では、岩手県の広域化一覧表の請求に対して、黒塗りで非開示し、環境省発表と岩手県の発表の矛盾点を隠すと言ったことも行われた。
この情報非開示には、岩手県に異議申し立てを行い、岩手県の情報開示審査会は、黒塗り部分を開示する答申を出すことになった。
こうした経過を考えた時、秘密保全法が成立すれば、環境省の指示により堂々と情報隠しを行うことになるだろう。
このように現に進んでいる実態を考えても、秘密保全法が隠すのは、官の不正と断言することができる。
<復興資金を省庁の一般財源への流用>
このように過大な予算を組み、余剰金を生み出しながら、その余剰金を国庫に返さず、巨額の余剰金を省庁の財源にした。これが復興資金の流用問題である。
24年度までの分として、情報開示請求(震災復興プロジェクト・近畿による)によって分かった環境省の流用分は、約550億円に上る。
このあたりまで来ると明らかに官僚たちがやっていることは、法に違反し、裁量権を悪用した業務上の横領・窃盗行為である。
そして彼らが考えていることは、繰り返すが、自分たち官僚の利害でしかない。
弾圧と口封じのための矛先は、反体制の諸団体と野党に向けられる以上、政党は野党になったとたん、弾圧と取締りの対象となる。
現野党から進み、維新の会他保守政党が糾合されて、与党になり、公明党が弾き飛ばされれば、当然弾圧は公明党に向けられ、そして維新の会、最後には自民党にも及ぶであろう。
東北大震災・福島原発の爆発事故以降、官僚たちの独裁化の動きは、急であり、復興資金流用化&ファンド化に見るように、独自の巨大財源を持ちつつある。
この事実を事実として受け止め、官僚独裁と対処して行こう。
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