2011年8月26日金曜日

20110826 福本勤先生からのメール、「読者各位のご質問の一部と回答」

福本勤先生からの8/26日付けメールを掲載します。読者からの質問に答える内容です。福本先生に感謝。
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差出人: 福本勤
件名: 放射性物質汚染可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理(8)等への読者各位のご質問の一部と回答
日時: 2011826 18:41:59:JST

セシウ 137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理について(8)への 読者各位のご質問の一部と回答
福島県内災害廃棄物処理の環境省方針:主灰&飛灰の取扱い 推奨出来ない再生利用  汚染可燃瓦礫の焼却試験を実施:問題点  望ましい可燃瓦礫全部の高リサイクル効率の高効率発電焼却  原発&ごみ発電の状況  被災3県に関する情報

ご質問の回答の殆どは、拙文シリーズ(1)(8)の中にあるのですが、長々と書いているからでしょうか、きちんと丁寧に お読み戴ける時間がないようです。以下と同じ拙文を添付しています。複数通届いたらご容赦下さい。     

2011826日    福 本  勤


★ご質問と回答(1)

-----Original Message-----
From: 山本節子  Sent: Thursday, August 25, 2011 9:26 AM
To:
Subject: Re: 望ましい可燃瓦礫全部の高リサイクル効率の高効率発電焼却

福本様、いつも情報有り難うございます。私は現在、帰国中です。
早速ですが、8月24日のメールについて、二つほどお尋ねしたいので よろしくお願いします。       

ご質問1.「環境省が福島県で行った焼却試験については、報告書があるのでしょうか。」       

○返事(回答)  同報告書を添付させて戴きます。 

ご質問2.「同省が、当然行うべき対照試験を怠ったのは、現在の焼却技術では放射性廃棄物は破壊できないと分っているからではないかと考えます。この点、福本様が「彼らの主張の間違いが実証されるのを回避したのかも」と記されているのに、同意見です。」                                      

○返事(回答)  山本様は「環境省が、当然行うべき対照試験を怠ったのは、現在の焼却技術では放射性廃棄物は破壊できないと分っているからではないかと考えます」と仰せですが、焼却、排ガス、排水処理等のどんなに進んだ処理技術でも放射性物質を破壊する事は出来ません。例えば、排ガス中の、放射性物質を含む飛灰を捕集したり、排水に含まれている放射性廃棄物を吸着したりする事によって、生活環境中に放出される放射性物質の量を減らす事は出来ます。問題なのは、放射性物質を含む飛灰の捕集効率、排水に溶けている放射性廃棄物の吸着効率です。ご質問3への下の返事もご参照。

ご質問3. 「しかし、この後、福本様は、汚染廃棄物は全量、高効率焼却炉(ごみ発電施設)で焼却するのがベストであると主張されていますが、この繋がりがよく分りません。そこには論理の飛躍があるように見えるので、ご教示いただければ幸いです。」

 返事(回答)  論理の飛躍はないと思います。 本報告シリーズ(1)(7)では、こういうご質問が出ないように書いている積りですが、説明が長すぎて、充分お読み・ご理解戴くお時間がないのではないかと思います。こういう方、諸先生が他にも多いようですので、改めて説明させて戴きます。

放射性物質の一つのセシウム137Csの殆どは、例えば CsCO3(ガス、蒸気状でない)の形で 飛灰の中に含まれているものと思われるのですが、その一部が ガス・蒸気状で存在する可能性を完全に否定できません。排ガス中にセシウム137Cs ガス状で存在して(含まれて)いますと、セシウム137Cs はバグフィルターを通り抜けてしまいます【セシウム137Csにしろ 何にしろ、ここで問題・対象にしているものは、原子(例えばセシウム137Cs)状で生活環境中に見える形で存在することは少なく、分子(例えばCsCO3)の粒状~紛松状(推定)で存在しています】。 これについての詳細は、「セシウム 137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理について(1)~(7)」 をご参照下さい。 

飛灰の中に含まれているセシウム137Cs 或いは CsCO3等 は、バグフィルターなどで大部分捕集できます。問題になるのは捕集効率です。この捕集効率が99.9%以上と環境省や検討会委員は主張してきています。そこで99.9%以上かどうかを、実験・試験で確かめる必要あると僕は言ってきた次第です。

もう一つの「セシウム137Csの一部がガス、蒸気状で存在する可能性」ですが【この場合 ガス、蒸気状、セシウム137Csは、バグフィルターを通り抜けてしまいます】、これも実験・試験で確かめる必要あると僕(福本)は言ってきた次第です(発表されているデータが少ないので)

放射性物質が生活環境中に少しでも出ないようにする必要があることから、かなり強く言ってきており、「実験・試験で確かめるように」 と再三再四言ってきていました。                         

しかし、99.9%以上は兎も角、その程度になる可能性はあり、蒸気状で存在するセシウム137Csも 極少か無視小かゼロの可能性もあります。「・・・・(1)~(7)」 をご参照下さい。 詳しく述べています。

セシウム137Csなどの含有量が最も高いと思われる可燃性災害廃棄物を試験焼却して、バグフィルター等排ガス処理装置を通過した排ガス中の、セシウム137Csなどの濃度がゼロ~検出下限値未満~無視小(生活環境に影響を及ぼさない濃度)になることが、確認出来さえすれば、焼却して、発電効率が20%以上の高発電効率発電(高いサーマルリサイクル効率)をするのが、電力が足りなくなっていて困っている折柄でもあり、ベストと言ってきています。そうすれば、セシウム137Csなどで汚染されたリサイクル品が市場に出回る心配も皆無になります。これ【上記のセシウム137Csなどの含有量が最も高いと思われる可燃性災害廃棄物を試験焼却して、バグフィルター等排ガス処理装置を通過した排ガス中の、セシウム137Csなどの濃度がゼロ~検出下限値未満~無視小(生活環境に影響を及ぼさない濃度)にすること】は、それほど難しい問題ではありません。繰り返しになりますが、上記の確認の為の、実証試験をするように、環境省~有識者検討会委員に 再三再四 言ってきた次第です。もしも、生活環境に影響を及ぼす濃度のセシウム137Cs などが検出されれば、バグフィルター等排ガス処理装置をより高度にすれば、不検出に出来る筈です。この際、費用の増加は当然避けることは出来ません。この程度の問題で、国~環境省~有識者検討会委員がスッキリした答を出せないのを、不可思議に思っています。                                          
筆者の上記提言を酌んでか酌まずにか、環境省は7月13、14日に焼却試験を行いました。しかし、セシウム137Csなどの含有量が東電・福島第1原発敷地外の福島県の中で、最も高いと思われる可燃性災害廃棄物を、試験焼却して、バグフィルター等排ガス処理装置前後のセシウム137Csなどの濃度が果たしてどれだけになるかになるかの測定が行われていません。                                               

① セシウム137Csなどの含有量が低いと思われる可燃性災害廃棄物2割と、② 毎日出ている生活ごみ8割との混合物の試験焼却をして、バグフィルター等排ガス処理装置後のセシウム137Csなどの濃度測定が行なわれているのですが、これでは上記確認の為の実証試験になりません。

これを書くのに手間暇が 結構かかりましたが、不明の点が未だありましら、遠慮なくお尋ね下さい。    

日経BP社のECO JAPAN リポートに井部正之ジャーナリストが連載の「どうなる放射能汚染物の処理【1】すべては燃やしてからで本当によいのか」は感心できるリポートでなく残念ですね。


★読者の質問と回答(2)質問者の氏名は都合により省略

原発事故の影響を受けた可燃性災害廃棄物は、電力不足の今 全部 発電効率(リサイクル効率。サーマル/ヒートリカバリー効率)が20%以上の高効率発電焼却施設で焼却するのがベストと愚考し、以前から 高効率発電焼却施設での焼却(言わばバイオマス発電)を繰り返し主張・発表してきています。

発電効率≒リサイクル効率 が高い焼却処理、その他処理、リサイクルは、資源・環境保護の上で優れた処理・リサイクルであり【筆者は資源・環境保護の上でベストの処理・リサイクルをサステナ処理と呼んでいます】、資源・環境保護・コストの上で優れた処理・リサイクルであれば、マテリアルリサイクル(物質回収)でも焼却発電(サーマルリサイクル)でもよく、要するにリサイクル効率~発電効率の数字の高い方の処理、リサイクルが、概して資源・環境保護の上でより優れていることになります。    

しかし、リサイクル効率~発電効率が20何%と高い焼却発電でも、焼却と聞くだけで、アレルギー反応を起こして焼却反対、反対と叫ぶ方がおられ、質問をしてこられる読者がかなりおられます。      

資源・環境保護・コストの上で優れていれば、福島県等からのリサイクル品について放射能汚染の心配をする必要のない焼却発電をするのがよいのではないでしょうか というのが僕の返事です。

リサイクル効率が20%を超えるマテリアルリサイクル/ケミカルリサイクルは、多くありません。         

★読者の質問と回答(3)質問者の氏名は都合により省略。

「セシウ 137Cs等の放射性物質で汚染された可燃性廃棄物の焼却排ガスの処理について(8)」の6項において、「この法令の中心になっている焼却施設の構造・維持管理基準は、資源・エネルギーの浪費的、税金無駄使い的になっています。」と書きましたが、「何故資源・エネルギーの浪費的、税金無駄使い的になっているのか」との質問がありました。

平成9年1月の「ダイオキシン類(DXNs)発生防止等ガイドライン」(新ガイドライン)をベースに、平成9年8月に改正、12月に施行された廃棄物処理法に関してですが、この廃棄物処理法の200kg/h以上の焼却施設の構造・維持管理基準では、800℃以上燃焼ガスの滞留時間は2秒以上と規定されました。

一方、200kg/h未満の小型の焼却炉の場合、800℃以上燃焼ガスの滞留時間が0.1秒でも、排ガス中のDXNs濃度が排出基準値濃度未満になる焼却炉が広く使われています。200kg/h以上の焼却炉と未満の焼却炉とでは、DXNsの発生・排出が大きく異なる訳でもありません。           

従って、滞留時間が0.1秒の燃焼室にしますと、燃焼室の大きさは 滞留時間が2秒の燃焼室の大きさに較べて1/20になります。燃焼室が小さくなりますと、建設資材量、建設費が小さくなるだけでなく、滞留時間が2秒の燃焼室の温度を800℃以上に保つ為の助燃A重油量が不要になります(資源・エネ節約)。      

滞留時間が0.1秒の燃焼室である200kg/h以上の焼却施設の可否は兎も角、0.51秒程度の燃焼室はあり得ます。そうすれば、資源・エネルギーの消費量は大幅に少なくなり、浪費的でなくなります。     

燃焼ガス滞留時間2秒以上や燃焼室温度800℃以上は構造・維持管理基準の一部なのですが、このような構造・維持管理基準は決めずに、煙突から出る排ガス中のDXNs排基準だけを決めるように、筆者は新ガイドライン作成検討会委員長(嘗て研究室が隣同士)に当時強く主張しましたが、構造・維持管理基準まで決めてしまいました(背後に全国炉改造で5年間潤った焼却炉メーカー)。 DXNs排基準だけを決めれば、焼却施設の構造は、メーカーや使用者が決めることになり、焼却施設の構造の技術開発進む筈でした【福本勤:「開発意欲そぐ焼却施設構造基準」。朝日新聞論壇。2000年3月18日】。  

2011826日         福 本  勤

()環境技術実践機構 理事                            
日本サステナ㈱取締役 
環境保全工学研究所 代表          
中国 清華大学  客員教授          
京大工博  福 本     勤                                                             

環境保全工学研究所 
658-0001神戸市東灘区森北町4-15-16 
TEL078-411-9606       
E-mailt2fukumoto@gaia.eonet.ne.jp
URLhttp://www.eonet.ne.jp/~fukumoto/
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