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2011年7月30日土曜日

20110729 満田正さんの「福島原子炉包囲網日誌」7/18〜講演会「福島原発40年とわたくしたちの未来~原発震災の渦中から~」、青梅ーいわき市 放射線量測定

From満田正 
日付2011年7月20日21:37
件名福島原子炉包囲網(7/18)日誌


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7月18日(月曜日、休日)は、「福島原発40年とわたくしたちの未来~原発震災の渦中から~」と題しての講演会及びパネルディスカッションがハイロアクション福島原発40年実行委員会主催、脱原発福島ネットワーク、子どもを放射能から守る福島ネットワーク後援で、いわき市小名浜市民会館で13時~17時30分の4時間余にも及ぶのスケジュールで行われた。会場の600人近く参集した人々の熱気もさることながら、暑い会館内は私を含めた6人の東京から馳せ参じた老人連をぐったりさせた。
私はこのうだるような会館内の暑さに負けじと頑張ったが、他のメンバーがどのように頑張ったかを知らない。実際に、講演とパネルディスカッション、聴衆と講師陣の質疑応答を終えると、続いて、宣言採択、閉会の挨拶、そして司会からのお願いがあるにも関わらず、流石の満員の会場も人々が去り、1/3しか残らず、最後を締めくくりが寂しさを感じた。
ネット中継もされているというこの集まりが、福島地域のみならず、日本列島、地球規模での注目が集まったにも関わらず、この実態をどのように受け止めたであろうか。今後、数十年単位で、事後処理を計画して行かなければ事態の中で、この集会の惨状をどのように立て直さなければならないのだろうか私は自分の責任であるかのように私の心は暗い。
集会には、日本列島各地(東海村、6ヶ所村、静岡県浜岡、大阪、玄海村)からのメッセージが寄せられている。福島原子炉を包囲する流れは確実に進んでいるのだが、その核となり、支える中心はまだ見えてこない。シニアで結成された福島原子炉行動隊の動きが目立つのみである。何が原因で何が不足で我々は福島原子炉包囲網の遅滞を余儀なくされているのであろうか。
それは、この集まりの講演者の発言の中に回答がある。そして、の発言を理解する前に、私が理解する、福島原子炉包囲に対する逆ベクトルの実態を見ておくことが必要である。
その1は、情報戦争における圧倒的な不利な状況である。マスメディア、インターネットを筆頭に、政治家、官僚、大企業は確実に原子炉事故の政治的、産業的空白を図るべく莫大な情報を流し続ける。我々包囲網側からの情報は圧倒的に少ないのである。我々の情報量はネットワークそのものである。それはまだ、三桁に達しないだろう。
その2は、情報戦争に量よりは質の問題であるが、私は、今日も青梅市からいわき市に至る、道中での放射線量の測定を連続空間として行った。私は、この放射線量情報は福島包囲網にとって、極めて貴重であると考えているが、そうしたことがまだ充分に理解されていないどころか、私に続く動きはないのである。放射線量の時空間的連続データを抜きにして、如何して、福島原子炉の実態を把握できるのであろうか。しかもそれは大気放射線量の観測の域を出ていない。今後、動植物(食物)、水と土の時空的連続放射線量測定をどのように実現で来るのであろうか。
そして、第3は直接的な原子炉監視が、福島原子炉包囲網側から実現できていないことである。20km圏外からの監視小屋、30kmを囲う人の鎖、福島原子炉に届く1千万名のベクトルは、まだまだ見えないのである。その原因は、福島原子炉に向かうベクトルの分散である。それはそこに明らかに核となる存在が無いこともあるが、3.11に集中した一瞬ではあるが、福島原子炉に向かうベクトルが、あらゆる分断工作の中で、その強さを失いつつあることである。
最後に、福島原子炉包囲網の欠陥は、そのネットワークの質において欠陥だらけである。私は、青梅市からいわき市にいたる流れを独り築いているに過ぎない。包囲網は、日本列島、地球規模の各地から福島原子炉への流れを築くことである。気の遠くなるようなこの人の動きの構築、実は情報戦争の一角では、一時築かれたのであるが、それが、実態としての人の流れに結びつかなかった事実である。ボランティア集団は、福島原子炉を避けたその事実である。
そんな中で、日本列島、地球規模で情報発信された今日の福島いわき市で開かれた集いは福島原子炉包囲網としての大きなメッセージであったことは間違いない。そして、講師陣として選ばれた佐藤栄佐久作や石丸小四郎氏はその核となる人々である。特に石丸氏は福島県双葉郡富岡町において実に40年もの間、双葉地方原発反対同盟を中心的に支えてきた人である。彼は、40年もの間維持されてきた福島原子炉が劣化しており、地震・津波が無くてもいずれ破損せざる運命にあることを述べた。東日本大震災は、その時期を早めたに過ぎず、ましてや原子炉事故が予想外の津波による事故とする政府・東電の発言は全くの出鱈目、事故は津波でなく地震で起きたものだと言い切った。まさに天災でなくて人災である。40年間、福島原子炉反対を唱え続けた彼にとって福島原子炉を建設・維持してきた政府・東電は犯罪者集団であることを協調している。特に今回の地震は短期振動であり、莫大な配管網からなる福島原子炉にとって今回の地震が発する微振動はもっとも致命的であった。そして、もっとも警戒すべきは、政府・東電が企ててきた、事故のたびに繰り出す火事場泥棒、焼��け太り政策である。従来原子炉寿命は40年と定めながら60年に延長したり、連続運転13ヶ月を24ヶ月に伸ばしたりすることを大事故を起すたびに平然と行ってきたと言うのである。今回の事故で彼らは何を企むのか、益々警戒が必要となる。
佐藤栄佐久氏は福島県知事を5期も務めたベテラン知事である。が政府・東電に嵌められて6期目に知事辞任をせざるを得なかった話は有名であるが、彼もまた、石丸氏と同じく政府・東電が何を企てるかについては自らの経験で最大の警戒が必要であると説く。福島原子炉が、使用済み燃料棒2万余の貯蔵施設であることや、メリカと結託してモンゴルに使用済燃料棒を廃棄処分しようとするとが水面下で動いている。その企画が挫折して廃棄物処理場が何時浪江町など強制避難地域に急遽変更するかも知れない。絶対に浪江町の再起を確信して止まない浪江町長を断固支持するべきだとする、彼の訴えには迫力がある。福島は美しく島、数百ある鎮守の村の集まり、支えられたコミュニティが決して壊してはならないし、ダヤ人ではないが、千年を経て帰還した経験と同じに、福島県も千年を経ても、何時か新たな美しく島福島を復帰させるとする訴えには、現実性がある。福島1000年ビジョンが提起されたのである。
残念ながらうだるような暑さ、暗い会場の中で、講演者の話が私の頭に残ることはなかった。確か、この集まりは行動モードである。多くの人々が何を為すべきかを求めてやってきた。そうした人々への回答が無かったような気がする。パネルディスカッションでも、如何して事故は起こり、如何した状況の中で、今後如何行動すべきかというコーディネーター佐藤和良氏(脱原発福島ネットワーク)の司会の意向にも関わらず、確かな方向が見えたわけではない。
ただ1つ、言えることは、この集まりを契機として福島原子炉の管理が政府・東電に任せ切り頼りきりの姿勢から、福島県民による、地域住民管理へと確かな舵が切られたということである。この舵取りは見受けるところ、佐藤栄作久、石丸小四郎2人に搾られるようだ。この2人を支える構図が、佐藤栄佐久の再度の知事登場という形ではないだろう。それを期待する人々の隙間には、日本国家という巨大な魔物が忍び寄ることを喚起しなければならない。それは福島原子炉包囲網とは明らかに別のベクトルである。
私は、今日も7人の老人行動隊6人といわき市に出かけた。今日は従来のメンバー3人のほかに新人3人が加わる予定であったが、人は現地泉の放射能濃度がホットスポットで報じられているとし、前日夜遅くドタキャンとなった。私はと言えば、信用金庫のATMが連休中中止と知らずについつい金を使い果たして、当日の軍資金が無い。新たに加わった都立大学後輩Kに上野駅にて借金をする綱渡りの始末である。それでも、常磐線泉駅でのとんかつ屋で昼飯を食べていると、この新人Kに話しかけてきた御仁Nが実は新人とは水俣闘争以来の知り合いであるらしい。ほとんど、目が見えないKも彼からの話掛けで思い出し、チーム編成はまた7人となった。
それでも彼はフリーのルポライターある。閉会の後には、主催者との会話が弾んで、再度我々からは外れた。しかももう1人の新人は我が家の犬が死んだと奥方の電話で急遽東京に戻った。自動車2台6人でのJ-ブリッジ、広野町巡りは、自動車1台5人体制として勢力半減である。でもそのうち3人はJ-ブリッジ広野町巡りは始めてである。台風のための雨日より、私は3回目のJ-ブリッジ、広野町巡りである。そこでは、徐々に福島原子炉出撃拠点の規模の増大が目立ってきた。最初は自衛隊の車だけが目立っていたが、やがて自衛隊の車は少なく民間の車が増えてきた。それに今日は民間の車の多さには度肝を抜かせた。原子炉作業員が400人体制から1000人体制へと拡張されたらしい。自動車の多さもさることながら、常磐道を走る廃棄物処理業者の車が目立てきた。所謂、放射線濃度の高い汚泥廃棄物が、東京の焼却炉で燃やされているという話はまんざらでもない
今日はJ-ビレッジ、広野町に加えて、津波と火事で破戒された久方町に足を伸ばした。その惨憺たる光景にも心を痛めたが、警察の規制も激しく深入りは出来なかった。今までは通り過ぎなかった四倉港に立ち寄り、打ち上げられた船の数、津波で押し曲げられた鉄骨入りのコンクリート、凄まじい津波の傷跡を見てきた。巨大なテトラポット、重機をも押し流した津波の威力、その地獄絵は120日を経てもまだまだ、片付けの目処すら立っていない。それに福島原子炉は、片付けどころか、今破戒が進行中である。の明日を予想することすら出来ない。
以下、青梅からいわき市に到る放射線量の測定値を列記している。結論から言うと、心配された泉地域、小名浜地域の放射線量は低い。逆に我々が寝泊りした、四ツ倉周辺の放射線量は高い。青梅市は相変らず、中央沿線の放射線量にに比して高い数値である。放射線量は、曼荼羅のようにあらゆる絵模様を描いているようである。決して、政府・東電が言うような放射線量が減少するという甘い幻想は抱けないのである。


2011/07/18(晴れ)空気中放射線量(RADEX1503、単位μSv)
()内は復路の測定値
AM7:08青梅総合神社前0.14~0.20~0.18
AM7:08東青梅駅0.13~0.14
AM7:11東青梅駅待合室0.11(19日PM21:  東青梅0.09)
AM7: 河辺駅0.11~0.12(19日PM21:25河辺0.09)
AM7: 小作0.12(19日PM21:  小作0.07~0.08)
AM7: 羽村0.08~0.10(19日PM21:  羽村0.08~0.10)
AM7: 福生0.10~0.11(19日PM21:  福生0.10)
AM7: 牛浜0.08(19日PM21:  牛浜0.07~0.08~0.10)
AM7: 拝島0.07~0.08(19日PM21:  拝島0.07~0.08~0.10)
AM7: 昭島0.09(19日PM21:  昭島0.10)
AM7: 中神0.09~0.10(19日PM21: 中神0.09)
AM7: 東中神0.11~0.12(19日PM21: 東中神0.09)
AM7: 西立川0.11~0.12(19日PM21:03西立川0.08~0.09~0.10)
AM7:30立川0.08~0.10(19日PM  :03立川0.06~0.07~0.10~0.11)
AM7: 国立0.07~0.08(19日PM20:50国立0.07~0.08~0.12)
AM7: 西国分寺0.08(19日PM20:30西国分寺0.08~0.09~0.10)
AM7: 国分寺0.07
AM7:50三鷹0.08
AM8: 中野0.10
AM8: 四谷0.07
AM8: 御茶ノ水0.07~0.13
AM8: 神田0.08~0.10
AM8: 秋葉原0.10
AM8: 御徒町0.10~0.11
AM9:30上野0.10
PM6:30四倉デイステイ奥内0.33~0.40
PM6: 四倉デイステイ奥外0.27~0.28
PM6: 四倉デイステイ庭0.78~1.07~1.20
PM6: 四倉防波堤0.30~0.58
PM6: 四倉防波堤海岸砂表面0.59~0.54
PM6: 四倉防波堤芝生0.86
07/19(雨)
AM7:00工場0.27~0.18
AM8:  波立デイステイ0.25~0.35~0.48
AM8:  久ヶ浜0.11~0.14~0.15
AM8:  末続0.30~0.32
AM8:  広野町0.28~0.33~0.37 
AM8:  火力発電所周辺0.41~0.63~0.91
AM9:00 立ち入り禁止地域0.70~0.67~0.69
AM10:00 大滝温泉0.30
AM10:  広野町役場0.42~0.25(役場職員へのヒアリングでは、点観測で0.40程度)
PM12:20 四倉港0.12~0.14
PM12:  いわき市雑居ビル内0.10~0.11
PM14:03 常磐道中郷P0.15
PM14:35 常磐道友部P0.12~0.14~0.17
PM14:  常磐道石岡0.18
PM14:  常磐道土浦0.18~0.21
PM14:  常磐道利根川0.18
PM14:  常磐道入潮南0.11
PM14:  常磐道千歳大橋0.08~0.12
PM17:49 新越谷0.08
PM17:  東浦和0.11
PM17:  南浦和0.08~0.09
PM17:  武蔵浦和0.08~0.10
PM17:  西浦和0.08~0.07
PM17:  新坐0.05~0.07
PM17:  東所沢0.08~0.10
PM20:25 新秋津0.08~0.07
PM20:  新小平0.08~0.07
PM20:  西国分寺0.08~0.09~0.10
PM21:35 青梅0.08~0.10



2011/7/20 満田記)

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