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2011年5月27日金曜日

2011年5月27日「自治体間で広がる災害廃棄物処理格差 “元産廃Gメン”が提言する地方自治の新たな枠組み(上)」他〜東日本大震災復興への道 日経BP

自治体間で広がる災害廃棄物処理格差
“元産廃Gメン”が提言する地方自治の新たな枠組み(上)


------ 以下、一部抜粋 ------

ヘドロ、土砂、放射性廃棄物を含めると1億トン超

 環境省は東北3県の災害廃棄物発生量の推計をとりまとめて4月初めに発表したが、それによると宮城県約1600万トン、岩手県約600万トン、福島県約290万トン、3県合計で2490万トンとなっている。これは阪神・淡路大震災の1450万トンの1.7倍である。最も多い宮城県は、同県の一般廃棄物23年分に相当すると発表したが、47日の余震で被害はさらに拡大した模様である。また、茨城県や千葉県の津波や液状化の被害も甚大であり、2県の災害廃棄物の発生量は100万トン以上になると推定される。

 これらの推計には津波によって堆積したヘドロや土砂は含まれていないが、宮城県はヘドロ等の堆積量を災害廃棄物より多い2556万トンと推定している。福島第1原発の事故による放射性廃棄物は、発生量の推計ができない状況である。

 これらを総合すると、岩手県から千葉県までの5県合計で、ガレキ類などの災害廃棄物の発生量は少なくとも3000万トン(阪神淡路大震災の2倍)、ヘドロや土砂、放射性廃棄物を含めた場合は1億トンを超えることもありそうである。

 環境省は、災害廃棄物の処理が始まる4月初めまでには、主要な通達や指針を出し終えた。水産加工品の海洋投棄を容認し、災害廃棄物を産業廃棄物処理施設で処理する場合の規制(事前届出期間)を緩和し、倒壊家屋の解体や被災自動車の仮置き場までの移動を所有者に通告せずに行ってもよいとする踏み込んだ内容になっている。

 また、3月末には災害廃棄物処理事業費を全額国庫負担する(補助金97.5%、起債償還財源の地方交付税措置2.5%)と発表した。阪神・淡路大震災の災害廃棄物処理事業費は3400億円だったが、政府はこれより多い3519億円を52日成立した補正予算に災害廃棄物処理事業費として盛り込んだ。これは環境省の一般会計予算額(約2009億円)よりも大きい。しかし岩手県だけで撤去費用は31107000万円と試算されており、被災県の合計は最終的には1兆円を超えると推測される。



------ 以下、一部抜粋 ------

災害廃棄物の処理「全額国庫負担」の意味

 復興の最初に対応が必要になるのは災害廃棄物の処理であるが、環境省は廃棄物処理費を全額国庫負担する(補助金9割、地方交付税1割)と早々に空手形を切っている。しかし災害廃棄物の総量や総事業費を見積もっての上の約束手形ではない。

 阪神・淡路大震災の災害廃棄物は神戸市だけで800万トンと発表されているが、これには不法投棄された廃棄物は含まれていない。今回の震災では単純にその10倍として8000万トン、おそらく1億トンを超えることになるだろう。東北地方の20年分の廃棄物が1日で出たのだから、処分場が足りるわけがない

 混合廃棄物の処理費はトン3万円程度、がれき類だけならトン5000円程度だ。これに運搬費がトン5000円程度かかる。仮に総量1億トン、処理単価トン1万円とすると、事業費は1兆円になる。これは環境省の年間予算額の4である。災害廃棄物処理費の全額国庫負担という空手形は落ちない

 しかし環境省は心配していない撤去事業は自治体がやるので、自治体が管理している処分場のキャパシティを超えた補助金の申請は上がってこない。つまり申請額についてなら全額国庫負担ができるのである。

 現場には処分場がないために補助金を申請できない数千万トンの廃棄物が残されるだろう。現時点では道路もなくダンプも重機も燃料も足らず、廃棄物をどこにも運び出せないので、とりあえず適当な空地に積み上げているが、そのうち被災しなかった山林や海岸への廃棄物の大移動が始まるだろう。これはもちろん不法投棄である。被災地や被災港湾を造成するために使える廃棄物は使うなど、大胆な施策を打ち出さなければならない時期だが、もちろんそれには廃棄物処理法の停止という緊急措置が必要である。

「石渡 正佳(いしわた・まさよし)
千葉県河川海岸管理室長(元産廃Gメン)。1958年千葉県生まれ。産廃Gメン時代に出版した『産廃コネクション』(2002年)が2003年「日経BP・BizTech図書賞」を受賞。ほか多数の著書あり。日経BP環境経営フォーラムアドバイザー。」


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